写真に残る展望台 子供があふれていた泉北ニュータウン 近年再び若い世代に人気 【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年08月10日
【兵動さん】
「今回、泉北高速鉄道・泉ヶ丘駅からスタートです。ここは泉北ニュータウンの中心地です。初めて寄せていただいたんですけど、ものすごい立派な大きな駅ですね」
大阪府堺市の南部に位置する「泉北ニュータウン」。高度経済成長期に全国で開発が進められたニュータウンの一つで、西日本最大の規模を誇ります。子育て世代が多く入居したこともあり、かつては生徒数が1500名を超えるマンモス小学校も数多くありました。
■三角形の展望塔・足元には昭和な子供たち どこの風景?
そんな泉北ニュータウンを写した1枚の写真があります。1972年(昭和47年)に撮影された写真ですが、どこの風景なのでしょうか?
【兵動さん】
「ほほほ、こうなっています。昭和ですよ」
【兵動さん】
「お子さんが写っていて、何か昔の遊びで、地面を見てるんですかね。そして塔なんかな、上からみんなどっか見てはるみたいな感じですけど。この塔が今もあるかないかですね」
■「あの辺りにありそう」 早速有力情報か?
兵動さん、まずは駅前で聞き込み開始です。
【兵動さん】
「こんにちは。この辺の方ですか。『newsランナー』いう番組で、こういう場所を探しているんですけど」
【街の人】
「(指さしながら)あの辺にありそうな気がするんですけど」
【兵動さん】
「そうですか?あの辺は…ないと思うわ」
街を歩くといろんな人が情報をくれますが、中には適当な方も…
ところでこの泉ケ丘駅では、駅前の活性化計画のポスターが目につきます。新しいプロジェクトが始まっているんですね。
【兵動さん】
「2025年(泉ヶ丘駅前活性化計画)開業予定。ニュータウンって、ちょっとお年を召された方が多いイメージあるけど、進化してるね」
全国のニュータウン同様、少子高齢化の影響を受け、最盛期に比べて人口は減っているものの、実は今でも若い世代に人気の街なんです。
兵動さん、駅前にいた親子に声をかけました。
【兵動さん】
「もう昔から(ここに住んでいます)?」
【母】
「はい」
【兵動さん】
「娘さんどうです、住みやすいですか?」
【娘】
「ちょうどいいよね。今、大学の課題で『自分の住んでいる街を紹介しよう』みたいなのがあって、『住みやすくてちょうどいい』って題名にしました」
【兵動さん】
「番組で、昔の写真を持って、同じ所を訪ねているんですけど」
【母】
「(駅前から見える塔を指さして)ここじゃないかな?あれ?違うかもしれない」
街の皆さんが「あれでは」と言う、気になる建物を見に行ってみると…
【兵動さん】
「写真をぱっと見た時に『あれちゃうか』と思うんや。でも形が全然違う」
塔がある建物は「ビッグバン」という宇宙船をイメージして作られた堺市の屋内遊戯施設。「銀河鉄道999」などの作者である松本零士さんが館長を務めていたことでも有名です。
兵動さん、さらに街で聞き込みです。若い世代が住みやすいと話す、泉北ニュータウンの魅力も気になるところです。
【兵動さん】
「公園の中に売店が出てるなあ。これ何してはるんですか?」
【出店者】
「マルシェ的な」
【兵動さん】
「マルシェ的なお店を出してはるの。ここはガパオライスとか照り焼きチキンですか」
【出店者】
「オーガニックの(食材を使った)お弁当屋さんをしてるんです」
【兵動さん】
「こちら方は野菜を育ててはるの?」
【出店者】
「2年前に農家になったところなので、地域の人たちに知ってもらいたくて参加しています」
緑豊かな大蓮公園は街の人の憩いの場です。この公園をより楽しめるようにと3年前から始まった市民マルシェ「LIFE is PARK」。公園ランチもできるとあって人気を集めています。
兵動さんはオーガニック野菜のサラダをいただくことにしました。
【兵動さん】
「野菜がシャキシャキしてる。新鮮で。これとガパオライス食べて、最後野菜買って帰ったら今日一日“勝った”みたいなもんやね。何が勝ったか知らんけど」
皆さんに写真の場所を聞いてみましたが、首をかしげて…
【出店者】
「こっち来て、5、6年なので、全然分からないです」
【兵動さん】
「昔ながら住んでいる皆さんがいる場所とか、そんな話聞けそうな場所ってあります」
【出店者】
「団地。泉北ニュータウンできた時から長くあるみたいなので」
【兵動さん】
「あっちで聞いたほうがいいかもしれません」
■昔から住んでいる人がいるという団地で“写真の塔”に迫る
ということで大蓮公園の向かいにある茶山台団地へ移動しました。
【兵動さん】
「ここは集会所かな」
【茶山台図書館にいた藤井千秋さん】
「茶山台図書館といって、使われなくなっていた集会所を、子供からお年寄りまで、みんなが集える場所として、住民でまわしています。本も住民から寄贈です」
【兵動さん】
「(藤井さんは)ずっとこちら(の人)なんですか?」
【藤井さん】
「結婚するタイミングで、ここの茶山台に引っ越してきました」
【兵動さん】
「今の若い方が引っ越してきたりするの?」
【藤井さん】
「しますします。茶山台は『ニコイチ住宅』ができたりで、若い世代で入ってくる方が増えていますね。『ニコイチ住宅』というのは、団地の2軒を1つにした住宅があるんです」
近年この「ニコイチ住宅」が、広さの割に価格がお手頃ということで、空き家待ちが出るほどの大人気なんです。ライフスタイルに合わせて横だけでなく、フロア違いで縦につながるバージョンもあります。さらにニコイチでない通常のお部屋でも流行りのDIYが可能で、若い世代にヒットしている理由です
【藤井さん】
「うちはニコイチじゃないんですけど、『2戸借り』で、向いの家を2つ借りています」
若い世代に大人気の茶山台団地、そのオシャレなお宅を拝見させてもらいました。
【兵動さん】
「きれいなお宅。立派なリビングと寝室で。十分な広さやな」
【藤井さん】
「これで45平方メートルの間取りになります。家賃は階によって違いますが(1戸で)だいたい4万円前後。(もうひとつ向かいに借りている物件は)子供たちの部屋。子供が3人いまして、男の子も女の子もいるんで、プライベート空間を持たせてあげたくて(2戸借りしている)」
【兵動さん】
「そういうことができて、子育て世代には大人気やわ」
■昭和45年から住んでいる“お母さん”に出会う
古くからこの団地に住む人がいるということで、紹介していただきました。
【団地に古くから住んでいる人】
「昭和46年に引っ越してきたんです」
「私は1年ほど早い。ちょうどベビーブームだったんです」
【兵動さん】
「僕が昭和45年生まれなんです。第2次ベビーブーム。お母さん!」
【団地に古くから住んでいる人】
「その頃はすごかったですね、盆踊りでも何でも。子供がわいわいしててね。けんかしていたら『コラー』いうて、(団地の)お年寄りがね。よその子でも怒っている良き時代」
【兵動さん】
「昔のおじいちゃんって怖かったんやから。でも別に恨むとかじゃなくて、『あのじいさん来たからちゃんんとしな』みたいな、そういういい時代でしたね。今はまた(藤井さんみたいな)若い人が来てくれて、また活気も戻ってきているわけですから」
【団地に古くから住んでいる人】
「うちの子が昔お年寄りに守ってもらったみたいに、今は私らが“見守り隊”している。『じいじ、ばあば』言うて、小さい子がなついてくれる」「あいさつもよくしてくれる」
【兵動さん】
「これ(写真の塔)はどこにあったんですか?」
【団地に古くから住んでいる人】
「今、子供の城ができているんです、そこに」
【兵動さん】
「ビッグバンのことですか。駅前にありましたね、すごい建物」
【団地に古くから住んでいる人】
「ビッグバンの上の所にあったんです。山のてっぺん」
【兵動さん】
「登ったことありますの?」
【団地に古くから住んでいる人】
「みんなあります、ここに住んでいる人はほとんど。子供連れて」
「いつの間になくなったのかなと思う」
「その代わりに今のビッグバンができたんです。そのために壊したと思う」
【団地に古くから住んでいる人】
「上がったらPLの花火が全部見えた。もう(人が)鈴なりです」
【兵動さん】
「おんなじ所から写真撮りたいんですけど」
【団地に古くから住んでいる人】
「ビッグバンの入り口の横に、山に登る階段があるんです。その上にそびえ立っていた」
■写真の展望塔は「ビッグバン」の上の山に立っていた
兵動さん、教えてもらった場所へ向かいます。
【兵動さん】
「(案内看板を読んで)『てんぼうひろば』。広場はまだあるんや」
「ああ、ここにドーンて、そびえ立ってたんや。石垣が今も残っている。間違いないです」
【兵動さん】
「それではいきましょう。ハイ、チーズ。泉北ニュータウンができたときもすごい勢いやったんですけど、今また新しい方が入ってきて、第2の盛り上がりを見せていただいた気がします」
(関西テレビ「newsランナー」2023年7月21日放送)