全長約6.5キロ!日本最大級の運河 水辺の町で発足した大プロジェクトの成果は… 神戸・和田岬【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年12月22日
【兵動さん】「今回は神戸にやってまいりました。和田岬です。海が近い素敵なところです。後ろにあるのは『ノエビア スタジアム神戸』。ヴィッセル神戸さんのホームスタジアムです。J1リーグ優勝おめでとうございます。縁起がいい場所からスタートです」
■思わず「これ何?」兵動さんの予想はいかに…
【兵動さん】「これ何ですか?いや、何ですかっていうコメントしか出ないわ」
写真を見た兵動さんから、まさかの発言が飛び出しました!これは1972年(昭和47年)に神戸市内で撮影された写真です。
【兵動さん】「これ川ですよね。(後ろにある)山は動かないですよ。ここに木があるんですよね。貯木はこの番組で結構やっているんですよ。それ関連かな」
それでは聞き込み開始です。
【兵動さん】「こんにちは。これ、昭和47年の写真でしてね。この川がどこの川か分かりますか?」
【街の人】「そこの運河違う?ノエビア(スタジアム神戸)の向こうに行ったらあるよ」
早速、有力な情報を得ました。運河について、他の人にも尋ねてみます。
【街の人】「昔は臭いがして。(貯木が)原木やから臭かったんですよ。今は水きれいだし、魚もいっぱい泳いでます。透き通ってきれいです」
実は周辺には、運河に架かる橋がたくさんあるのです。もう少し絞り込むため、聞き込みを続けます。
■昔ながらの駄菓子屋さん?を発見
歩き出すと、気になるお店を発見した兵動さん。
【兵動さん】「すごいな、めちゃくちゃおもちゃあるやん。“昭和ガチャガチャ”やって。おもしろい。駄菓子屋さんでもあるのか。うわ、すごいな。ここ好きやな。こんにちは」
店内には懐かしの駄菓子が所狭しと並んでいました。
【兵動さん】「うわ!懐かしい!駄菓子屋さんですか?」
【淡路屋 3代目店主 伊藤由紀さん】「駄菓子屋じゃない、クレープ屋なんです」
【兵動さん】「どういうこと?」
【伊藤さん】「クレープ屋を始めたら、開けた当日から子どもしか来なくて。仕方ないから駄菓子を置きだしたら、こんなことになって」
【兵動さん】「もともとクレープ屋さんなんや、ここ」
【伊藤さん】「はい。その前は食堂なんです。私は3代目で。(以前は)食堂をやっていたんですけど」
昭和30年代に創業したこちらの「淡路屋」というお店は、かつては周辺の造船所で働く人たちでにぎわう食堂だったとか。
【兵動さん】「あ、ほんまや、クレープ屋さんや」
クレープのメニューを見つけました。
【兵動さん】「何にしよう」
【伊藤さん】「ミニクレープが一番食べやすいと思います」
【兵動さん】「100円!?じゃあミニクレープのチョコレートで」
駄菓子屋さんでクレープという、なかなか他では見られない組み合わせ。しかも100円という安さはうれしい価格です。
【兵動さん】「めちゃくちゃおいしい。生地の感じも。これだけ生クリーム入ってて、これで100円!」
【伊藤さん】「楽しいんですよね、子どもたちといるのが。もうかりはしないけどね」
ここで本題へ。
【伊藤さん】「(昭和)47年(の写真)。私は生まれてるね。44年(生まれ)。これね、運河でしょ。(運河は大きい?)大きい。めちゃくちゃ長いですよ」
【兵動さん】「貯木って昔は結構あったんですか?」
【伊藤さん】「あったんですよ。ずっと、20年くらい前までは木が浮いてましたよ」
【兵動さん】「材木が有名なところって、どこに話を聞きに行ったらいいですかね?」
【伊藤さん】「材木橋の近くですね」
教えてもらった材木橋へ行ってみます。
■日本最大級の面積を誇る「兵庫運河」
【兵動さん】「あ、ここや。あっちに“材木橋”って書いてある。で、こっちに“兵庫運河”って書いてあるな。これが運河か」
「兵庫運河」は全長およそ6.5キロ、面積では日本最大級の規模を誇る運河なんです。
【兵動さん】「水きれいやん。昔はあんまり良くなかったって話やったけど」
さらに、運河の向こうに何かを見つけました。
【兵動さん】「あそこに何かしゃれたお店があるね。行ってみようか」
見つけたお店に行ってみると、店内にいすなどの家具がたくさん並んでいました。
【兵動さん】「こんにちは。ここはいす屋さん?」
【北の椅子と 店主 服部真貴さん】「北欧ビンテージ家具屋なんです。50~60年代くらいのデンマークのビンテージ家具を扱っています。(お店は開業から何年?)ここの場所で開けてから10年になります」
さらに、お店の2階にはカフェがあるということで、せっかくなので見せてもらいました。
【兵動さん】「和田岬で一番しゃれてる店ですね」
広々とした店内に味のある家具が並び、木のぬくもりが感じられます。
ここで、写真について聞いてみます。
【兵動さん】「いろいろ話を聞いていたら、そこに材木橋っていう橋があると。そういうことを考えてここでお店をされているんですか?」
【北の椅子と 服部さん】「いや、ここは実は製材所だったんです。よかったら、きっとこんな話も私より父の方が分かるかなと。ちょっと連絡取ってみます」
お店の隣にある製材所を経営するお父さんに、話を聞かせてもらえることになりました。
【兵動さん】「この辺は、昔は木の町だったんですか?」
【三栄 社長 服部鋭治さん】「そうですね。(地名が)“材木町”なんでね、ここは。兵庫運河が明治32年にできたんですね。ちょっと行ってみましょうか」
一緒に兵庫運河を見に行くことに。
【三栄 服部さん】「魚もたくさんいるでしょ。あれはチヌですね」
昔は汚れていたという兵庫運河ですが、今は澄んだ水の中にたくさんの魚が泳いでいました。
【兵動さん】「兵庫運河って知っている人は多いんですか?」
【三栄 服部さん】「(多いと)思いますけどね。運河としてはね」
この辺りは、平清盛が日宋貿易の為に整備した「大輪田泊(おおわだのとまり)」、そして江戸時代には、「兵庫津(ひょうごのつ)」と呼ばれた有数の港町でした。ところが…。
【三栄 服部さん】「和田岬というのがあって、そこが(船の)難所だったんです。明治32年に、内側に運河を作ったんですね」
1899年(明治32年)、小型船舶の迂回路として兵庫運河が完成したということです。その運河を利用して、木材などが運び込まれていました。
【三栄 服部さん】「1960~70年代頃は水面が見えないくらい(木が浮いている)貯木場だったんです。だから汚れてた」
そこで、周辺の企業が集まり「兵庫運河を美しくする会」を発足。神戸市と共に地域ぐるみで兵庫運河の美化に努めました。そして、原木輸入から製材輸入に変わり、兵庫運河から木材はなくなりました。
その後、今から10年ほど前に、「兵庫運河を美しくする会」をはじめ、地元漁協や環境団体、近隣小学校などが協力して『兵庫運河の自然を再生するプロジェクト』を立ち上げたのです。
■「神戸で一番の里海に」と水質改善の取り組み
プロジェクトのメンバーで、環境や生物に詳しい安井幸男さんが、この日も兵庫運河に生息する生き物の調査をしていました。ケフサイソガニという小さなカニなどが確認できたそうです。
【安井幸男さん】「(兵庫運河は)神戸で一番汚い海だったんです。それをみんなで、神戸で一番の里海にしようと」
さらに、神戸市が整備した人工の砂浜があるとのこと。普段は立ち入り禁止ですが、特別に入らせてもらいました。足元を見ると水はきれいに澄んでいて、砂浜にヤドカリや天然のアサリなどが生息しています。以前は汚れていたとは思えない美しさです。
【兵動さん】「(汚れていた)当時を知っている人からしたら、びっくりするやろうね」
ここで兵動さん、橋げたの形が気になったようです。
【兵動さん】「この(写真の)丸いやつ(橋げた)、ここの橋(げた)は大体ああいう感じなんですか?」
写真に写っている橋げたと、目の前にある橋げた、どちらも円柱の形をしています。
【三栄 服部さん】「これは旋回橋なんですけど、僕の知っている限りでは回ったことはない」
目の前にある円柱型の橋げたは、「和田旋回橋」と呼ばれる可動式の橋でした。船が通る時に回転することで臨時の通路ができるのですが、現在は固定されています。
【三栄 服部さん】「(旋回橋の上を)兵庫駅から和田岬まで(電車が)走っていて」
和田旋回橋は電車が通る鉄道橋だそうです。
【兵動さん】「あの線が(JR)和田岬線ですか。(電車に)こぼれるんじゃないかっていうくらい人が乗って移動している(昔の)映像を見たことある。あれがこの線ですか。なるほど、だいぶ和田岬のことが分かってきた」
「JR和田岬線」は、朝夕のラッシュ時のみ運行する、たった2.7キロの路線として知られています。
ここで、そろそろ写真について教えてもらいます。
【三栄 服部さん】「多分ね、(写真の橋は)“清盛橋(きよもりばし)”だと思います。まず(後ろに写っている)山の形と、(山の左に見える)この森ね、真光寺さんというお寺があります」
【兵動さん】「場所的には全て合致しているということですね」
【三栄 服部さん】「(写真の右上を指して)この辺に清盛塚があります」
まずは、清盛塚を確認しに行きます。
【兵動さん】「こちらが先ほど教えていただいた清盛塚ですね。あの橋が清盛橋か」
写真の撮影場所と思われる清盛橋を見つけました。
【兵動さん】「清盛橋、間違いないな、この橋やな。(写真と景色を見比べて)あ、山ばっちりやん。(写真の山と)形が一緒やもん」
やはり、清盛橋が写真の撮影場所でした。
【兵動さん】「はい、チーズ。兵庫運河、昔は臭いを放つような運河だったんですが、今はいろんな方の取り組みでめちゃくちゃきれいになっています。駄菓子屋さんも楽しいです。どうもありがとうございました」
(関西テレビ「newsランナー」2023年12月15日放送)