『万博』でにぎわった吹田は「アサヒビール」発祥の地 昭和の空気残る商店街をぶらり【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2024年02月16日
【兵動さん】「今回は大阪モノレール万博記念公園駅前からスタートです。あちらは太陽の塔ですね。前回の万博ということでね」
1970年、大阪・吹田市で開かれた日本初の万国博覧会、通称“大阪万博”は「人類の進歩と調和」をテーマに77カ国が参加。およそ6400万人が訪れました。
■吹田はあのビールメーカーのお膝元
これは1970年(昭和45年)頃に大阪・吹田市内で撮影された写真です。どこの風景か分かりますか?
【兵動さん】「ここに『エキスポ70』って書いているから、70年だろうと。こちらは銀行、今の三菱UFJ銀行になっているという。で、こちらは駅でしょうね。前はきれいなロータリーになってますけど」
それでは聞き込み開始。早速、歩いていた女性2人組に声をかけてみます。
【兵動さん】「こんにちは。今、話すの無理?何歳?」
【街の人】「20歳です」
【兵動さん】「20歳のお姉さんにはちょっと…これ1970年(の写真)やから、お父さんお母さんも生まれてないんじゃないかな。ぱっと見て、分かる?」
【街の人】「吹田市の駅っぽい」
【兵動さん】「吹田駅。JRは吹田駅?阪急は?」
【街の人】「吹田駅」
【兵動さん】「阪急も吹田駅があるの?」
【街の人】「はい。でも“アサ”…ビール?」「阪急じゃない?」「アサヒビール工場」
写真をよく見ると、建物に書かれた「アサ」の文字が見えます。吹田駅のそばにある、アサヒビールの工場ではないかとのこと。
【兵動さん】「ほんまや、言われたら(写真の文字が)見えた。アサヒビール(工場)ということは、JRじゃなくて阪急になるの?」
【街の人】「阪急(吹田駅)の方が近いと思います」
早くも有力情報を得た兵動さん、阪急吹田駅へ行ってみることに。
【兵動さん】「というわけで、阪急吹田駅に着きました」
ここで聞き込みを続けます。
【兵動さん】「こんにちは。ちょっと教えてもらえますか?これ…」
【街の人】「吹田駅?ここは阪急、JRは向こう。(写真は)JR。これ三和銀行でな、駅舎」「(国鉄)吹田の駅や」
【兵動さん】「昔のJRの駅?(先ほど声をかけた)お嬢ちゃんに聞いたらね、アサヒって書いているからアサヒビールの…」
【街の人】「アサヒビール、あるある」「(指をさしながら)その白い壁あるやろ。あれアサヒビール(吹田工場)」
【兵動さん】「アサヒビールってこの当時はもっと大きかったんですか?」
【街の人】「いやいや、(写真を指さし)こんなん」
【兵動さん】「ほんまや、煙突が立ってますわ。これ全部アサヒビール(の工場)だった?」
アサヒビールの位置関係から、写真の場所はJR吹田駅で間違いなさそうです。
■写真の場所に到着 しかし何かが違う?
【兵動さん】「JR吹田駅に着きました。(写真を指さし)ここに置き物がある。これがあれか?鳩か」
写真に写っている鳩の像を見つけました。
【兵動さん】「あそこにあるUFJ銀行(旧・三和銀行)、ほんであれが(JR)吹田駅やろ。ん?鳩の位置もよく分からないことになってない?そうなると」
写真に写っている風景と、今のJR吹田駅前を見比べてみると、銀行と駅舎、そして「鳩の像」の位置関係が微妙にずれているのが分かります。一体どういうことなのでしょうか?駅前の「旭通商店街」で聞き込みを続けます。
【兵動さん】「こんにちは」
自転車で通りかかった女性にあいさつすると…。
【街の人】「聞いていいですか?今昔さんぽのコーナー?」
【兵動さん】「そうです。見てくれてる?これ1970年の写真でね、どこやと思います?」
【街の人】「三和銀行ってことは、これ(三菱UFJ銀行)かな?」
【兵動さん】「そうやんね。でも三菱(UFJ銀行)があったら、駅の方向が変わっているとしても…この鳩のシンボル、知ってます?」
【街の人】「あれ、どこかにあったよね」
【兵動さん】「ほんまはここに立ってないとあかんねんけど、あっちに立ってるねん、今」
【街の人】「あれ?ほんまや」
【兵動さん】「ちょっとずつ(写真と現在の場所が)違うねんけど。ずっと吹田に住んでるの?」
【街の人】「8年前に吹田に引っ越してきて、もともと堺市民なんですけど」
【兵動さん】「吹田はどう?住みやすい?」
【街の人】「住みやすいです。(買い物するところもたくさんある?)あるので、私はずっと住んでますね。堺に帰らず」
【兵動さん】「そうなんや。お酒は飲むの?」
【街の人】「飲みます。(ビールは?)飲みます」
【兵動さん】「どこのビール飲むの?」
【街の人】「やっぱりアサヒビール」
さらに、通りかかった男女2人組にも声をかけてみます。
【兵動さん】「どちらに今から?」
【街の人】「今から帰る」
【兵動さん】「吹田に遊びに来てはったん?吹田のどこに遊びに行くの?」
【街の人】「“押入れ農園”。家の中で、水耕栽培で、押し入れ使って野菜とかを育てたり」
【兵動さん】「そんなことやっている人がいらっしゃるの?すごい、知らなかった」
なんと、押し入れで野菜を作っている場所があるとのこと。
■「昭和の空気」が残る商店街で聞き込み続行
さらに、「新旭町通商店街」を歩いてみると…。
【兵動さん】「さっき言ってはったの、ここじゃない?」
【兵動さん】「押し入れでこういう風に野菜を作るねんって。面白いな」
ユニークな商店街は他にもありました。「新旭町通食品街」にやってきた兵動さん。
【兵動さん】「うわー。俺が子どもの時、通っていた商店街と一緒や。昭和の空気が残っている」
商店街の中にある鮮魚店の前を通りかかり、お店の人に声をかけてみます。
【兵動さん】「こんにちは」
【お店の人】「来るの遅いですやん」
【兵動さん】「(商品が)だいぶ売れてますね」
すでに多くの商品が売れた後でした。
【お店の人】「大体、スーパーで出来合いのを買ったりしはるからね、お客さんは。昔みたいなことはないですわ。頭のない魚ばっかりでね」
【兵動さん】「頭がついている魚を見たことない子どももいるやろうね」
【お店の人】「だから小学生の子に『こんな魚やで』って教えたりもするし、先生方もみんな来てくれるからね」
ここでも写真を見てもらいます。
【兵動さん】「昔の写真と同じ所から写真を撮るというのでね。駅前なんですよ。これ三和銀行、今の三菱UFJ銀行なんですよ。それで駅舎がここにあって。で、鳩がここにあるんですね。さっき行ったらね、この(鳩の)銅像がこっちにあったんです。銀行も、全部(位置)が微妙に違う」
【お店の人】「(当時は)駅もむちゃくちゃ汚かったです」
【兵動さん】「昔の駅ってそんなんでしたよね。(写真が撮影された)1970年って万博なんですよ」
【お店の人】「70年の万博って言ったら初めて大阪でしているから、その頃はすごい人やったで」「“迷子ワッペン”やな」
当時の万博会場では、累計約4万8000人が迷子になったそうです。迷子対策に「迷子ワッペン」というものが作られていました。
さらに商店街の中を歩いてみると、和菓子屋さんがありました。
【兵動さん】「こんにちは。松月堂さん、和菓子(のお店)やね。これ1970年の写真なんです」
【お店の人】「これ、パラダイスって書いてますね。パチンコ屋さんかな。昔あったんですよ」
昔、駅前に「パラダイス」というパチンコ店があったことを覚えていました。そして…。
【お店の人】「多分これね、駅がずれたんじゃないですか。こっち側になっているでしょ、今。昔なんか聞いたことあります」
昔の吹田駅の駅舎は、1979年の駅前再開発の際に位置が少しずれて、駅ビルを含む商業施設「吹田さんくす」としてオープンしたのです。
■意外と万博会場からは遠かった?
昔の話はこの商店街の理事長が詳しいそうなので、話を聞いてみます。
【兵動さん】「鳩の銅像みたいなのが、ずれた所にあるような気がして」
【新旭町通商店街 理事長 野田和生さん】「駅前を触りましたからね、だいぶ。ちょっと動いていますね」
この「平和の塔」は1960年に国鉄吹田駅前に建てられましたが、駅前再開発の際に一時的に撤去され、1980年、現在の位置に移設されたのです。
それでは、撮影場所はどこなのでしょうか?
【兵動さん】「(写真に)“EXPO70”って書いてある。吹田やから、万博にすぐ行けるから盛り上がったんですか?」
【新旭町通商店街 理事長 野田和生さん】「盛り上がったんですけど、すぐは行けないんです」
【兵動さん】「吹田イコール万博じゃないですか?」
【新旭町通商店街 理事長 野田和生さん】「でもちょっと行きにくいんですよね。(JR)千里丘(駅)とか、(JR)茨木(駅)とかの方が万博の会場には近かったです」
【兵動さん】「そこにアサヒ(ビール吹田工場)さんがあったでしょ」
【新旭町通商店街 理事長 野田和生さん】「ずっとあります。百何十年あります」
【兵動さん】「お酒は飲みはるんですか?」
【新旭町通商店街 理事長 野田和生さん】「ちょっとだけ。(Q.何を飲む?)ビールです」
【兵動さん】「どこのビール?」
【新旭町通商店街 理事長 野田和生さん】「アサヒビールです」
【兵動さん】「お膝元やからね」
それでは、撮影場所はどこなのでしょうか?
【新旭町通商店街 理事長 野田和生さん】「(写真を指さし)駅がこの辺なので、通路がありますから、渡っていただいて、この辺から撮っていただいたらいいと思います」
いよいよ撮影です。
【兵動さん】「はい、チーズ。やっぱり吹田って面白いですね。住みやすい街やし。1970年の万博(会場に)なかなか行きにくい場所だと初めて知りました。皆さん、ありがとうございました」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月9日放送)