弁当店の店内で客が店員に向かって投げつけたのはお金…。
客:
「置いてきゃいいんだろ!金払ったら客だろうがコラァ!」
店員:
「払ってもらってないです、投げただけです」
客:
「投げたよ?一緒だろ!」
店の電子レンジが使えないことに激怒したのです。
店員などに対し暴言や理不尽なクレームをつける「カスタマーハラスメント」、いわゆるカスハラです。
スーパーのレジでも…。
客:
「早くしろよ、オラ!(レシート)いらねえよ!」
さらに、こんな客も…。
客:
「なんで見つかるまで探さねえんだよ!え?すみませんでしたじゃなくて見つかるまで探せって言ってんだよ」
客になかなか逆らうことができない店員につけこむ迷惑な行為。街で聞いてみると…。
女性:
「この間も、おっさんが怒鳴ってたよな。何を怒っているのは知らんけど、店の人とお客さんがでっかい声で延々と揉めてるみたいな」
飲食店勤務の女性:
「客がお酒を頼んでいてこっちは伝票を付けてるのに『飲んでない。お金払わん』とか言われて。酔っぱらってるから、自分が飲んだこと忘れてるんか知らんけど、もう『わかりました』みたいな感じで対応した」
酒店勤務の男性:
「昔の得意先さんで、手に入らないものを「何とかしろ、できへんのやったらあんたのところと取引やめる」と言われた。おれは神やぞ!みたいにこられてもね」
お客様は神様なのか、暴言や行き過ぎたクレームは、罪になるのか…。菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「もちろん正当な、例えば部品が足りないとか、欠陥があるなどといった内容を主張するのは何の問題もないです。ところがそれを越えて、非常に荒っぽい言葉を使う、相手を罵倒する、さらに犯罪行為にまで…ということになると行き過ぎで、法律違反となります」
――例えば、飲食店で閉店時間を過ぎたのに客が居座る場合、また店からテイクアウトした飲み物のストローが入っていないことに後から気付き、店員に電話で「今すぐ持ってこい!」と要求する場合はいかがでしょう?
菊地弁護士:
「まず居座りの場合は、退店要求を断り続けると『不退去罪』となる可能性があります。これは要求されてもそこから立ち退かないという罪です。
『お客さん、もうお引き取り願えますか?』というような退店要求があることが前提で、それからもなお居座り続けたらこの罪に問われる可能性があります。何分くらいから罪になり得るのかというのは、どれくらい強固に居座り続けたかということにもよりますので、一律に時間では言えないのですが、1時間、2時間いたら110番されてもしょうがないかなというようなつもりでいて下さい。
またストローはサービスなのか商品なのかという議論はあると思いますが、仮にサービスだとしても、『今すぐ持ってこい!』というような度を越したような恫喝は民事上の慰謝料請求にもなり得ます。さらに『持って来ないと殴るぞ!』などということになると、強要とか恐喝といった犯罪にもなり得ます。節度ある冷静な怒りで相手に伝えていただきたいと思います」
――お店側としては、ひどい場合には「出入り禁止」の措置も可能なんですね?
菊地弁護士:
「そうですね。差別とか不当な拒否は問題があります。ただ、あまりにもひどいクレームをつけるような顧客に対しては、私企業ですから『もう取引ノー』とすることは可能だと思います。目の前にいる相手は一人の人間で、自分と同じ人格を持っているという認識を持って、客として接して頂ければと思います」
(関西テレビ9月21日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)