映画を無断で短く編集し、字幕やナレーションをつけてストーリーを明かす、いわゆる「ファスト映画」。
2年ほど前からYouTubeなどへの投稿が増加。違法な動画として問題になっています。
去年、このファスト映画を公開して広告収入を得ていた男女3人が、著作権法違反の罪で全国で初めて摘発され、有罪判決が確定しました。
5月中旬、この3人に対し民事での責任を求める訴えが…。
3人が公開した54作品のファスト映画によって受けた損害を回復させるとして、大手映画会社など13社があわせて5億円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴したのです。
刑事裁判で、3人のうちの1人は「他にやっている人がいたので、大丈夫と思っていた」と話していましたが、刑事責任に加えて、民事でも大きな代償を払うことになりそうです。
ファスト映画をめぐる損害賠償請求について、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「私は今回の損害賠償請求額5億円は妥当で、今後の抑止にもなってほしいと思います。法律でこういう場合に損害を被った側の損害額については、『ファスト映画がなかったとしたら得られた収入・利益』に非常に多い『再生回数』を掛け算して求められるため、5億円どころかもっとになるんですね。今回それを5億円に圧縮して請求しているということなので、これは裁判の結果5億円に近い賠償金額が出る可能性もあり得ます。
ポイントとして『他の人がやってるから、いいじゃないか』ではなく、知的財産権の侵害というのは極めて重い事案だということを、覚えていただきたいと思います。原告になった会社側は、この金額を実際に回収できると思っているかどうかはまた別ですが、抑止効果として世間に訴えているということはあるかと思います。皆さん十分に注意していただきたいと思います」
(関西テレビ5月25日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)