以前は“おしゃれ上級者が楽しむもの”というイメージも強かった『古着』。今、市場が年々拡大しています。
市場調査を行う矢野経済研究所の調査によると、国内のファッションリユースの市場規模は年々拡大していて、1兆円市場に迫る勢いとなっています。
盛り上がる古着ビジネスの裏側を取材しました。
■好調なセカンドストリート…その裏に“併売サービス”
大阪市内、梅田・茶屋町にあるアパレルのお店。どこのブランドかな?という雰囲気ですが、全部古着です。
『セカンドストリート』は古着などを扱うリユースの全国チェーン店。業界トップクラスの売り上げで、国内800店舗を目指し拡大中です。
スーパーセカンドストリート八尾店を取材すると、店内にはカラーパンツの棚から子供服コーナーまで豊富な商品がズラリ。
買い物客:
「古着への抵抗感はあまりないですね、それこそ自分が着なくなった服もまた今度売りに来ようかなと思っているので、そういう使い回しが環境にいいのかなって思います」
若い人には「古着を買う」だけではなく「着なくなった服を売る」というニーズも高まっていて、店の買取コーナーでは、流行モノよりも定番のデザインに高い値段がつく傾向があるようです。また、これからシーズンを迎える服ほど、買取額は上がるとのことでした。
セカンドストリート好調の裏には、実際の店舗とネット販売をつなげたこんなサービスも…。
セカンドストリート 今泉有道社長:
「うちの場合は併売という形でオンラインを運用していまして、実際お近くの店に取り寄せをするサービスもありますので、オンラインで見た商品の実物を見て確認ができるというところが、うちの強みではあるかなと思います」
ネットで商品を選び、近くの店舗に取り寄せることができます。実際に古着の状態を見てから買うことができ、安心というわけです(※対応していない商品もあります)。
■お金に余裕のある中高年から個性を追求する若者まで
続いて取材したのは、若者向けのアパレルブランドとして全国に160店舗を展開する『ウィゴー』。手頃な値段で中高生を中心に人気があります。
そんなブランドが、創業のルーツであるアメリカ村で、今再び古着の販売に力を入れています。ウィゴーの古着部門の売り上げは2年で2倍近くに伸びているそうで、店内も賑わいをみせています。
男性客:
「服が(周りと)かぶってきたんで違う服を着ようかなと。いいですね、色んな種類とかもあって、自分の好みの服もあって」
その母親:
「昔はよく古着を着ていて、懐かしいなって思いながら一緒にお買い物してます」
若者でも買いやすい価格帯の商品が多く、特に人気歌手のあいみょんさんや、俳優の菅田将暉さんが着ていた服がほしいという声も多いとのこと。
そんな中、店長が紹介してくれたのが…。
ウィゴーヴィンテージ アメリカ村店 山村直登店長:
「デニムジャケットは“これぞビンテージ”と言えるアイテムにはなると思います」
1930年代から50年代にかけて作られたアメリカのデニムジャケット、そのお値段は…。
山村店長:
「大体20万円くらいです。今は30代前半から50歳くらいのお客様が多いですかね。以前古着ブームがあったんですが、その時にお金がなくて買えなかったっていう人が『今やったら買える』って買っていただいたりとか」
お金に余裕がある中高年から、個性を追い求める若者まで、幅広いターゲットの心をつかんでいるのが、ウィゴーの古着です。
■SNS×SDGs…古着の世界にまた新たな盛り上がり
一方、TikTokで人気を集めているのが「チャンキー@古着屋巡り」というアカウント。
ユニークな動きのチャンキーくんが日本各地の古着屋を紹介し、200万再生を超える動画もあります。そんな彼らの事務所をのぞいてみると…。
たくさんの古着を仕入れてネットで販売する事業も同時に進めていて、商品の発送に、動画の編集にと大忙しな毎日です。
古着を扱う活動のきっかけになったのは大学生の頃にコロナ禍に見舞われたことでした。
チャンキー@古着屋巡り 今大樹さん:
「居酒屋のアルバイトができなくなって、収入もなくなってしまいますし…」
何とかして稼がなければ…と3人で古着の販売を始めたことが実を結び、今では新たなチャレンジにも踏み出しているとのこと。
“チャンキー”こと鍛治泰成さん:
「どうもチャンキーです!ここが、僕たちが作ったお店です。もしよかったら」
薄田ジュリアキャスター:
「お洋服たくさん!オシャレじゃないですか、渋いコーディネートとか結構個性的な柄のトップスもたくさん並んでますね」
次の事業の柱にしようと、去年12月にオープンしたのが『古着屋olfe.』。客のニーズに柔軟に応えられるような、幅広い古着の仕入れを心がけているそうです。
チャンキー@古着屋巡り 今大樹さん:
「『古着=可能性』って思っているんですよ。イチから古着だけでここまでできたという可能性。再利用という点で持続可能な社会に少しでも貢献できるような事業として、これからも拡大していければなと思っています」
SDGsの意識の高まりやSNSの普及によって、古着の世界はまた新たな盛り上がりを見せていました。
(関西テレビ4月19日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)