自民党総裁選には、今回、初めて複数の女性議員が立候補しています。
多様性や女性活躍に詳しい専門家は、「多様な争点が浮かび上がり、2人の女性議員が立候補した意味は大きい」と話します。
■自民党総裁選への女性の立候補は13年ぶり
今回、初めて複数の女性議員が立候補した自民党の総裁選。
女性の立候補は2008年、現在の小池百合子東京都知事以来13年ぶりとなります。
去年、3人の男性候補が戦った総裁選の討論会で「女性の健康問題」がテーマとなった際には…
【石破茂候補】
「女性が何に苦しんでいるかを男性がどれだけ理解しているのか。自分自身のことを考えて十分だとは思っていません。率直に反省しお詫びをしなければいけない」
女性候補がいない中で女性政策を語る限界を認める場面もありました。
■総裁選の討論会で語られた女性をめぐる問題
あれから1年、今年の討論会では、女性をめぐる様々な問題が語られました。
【自民党 高市早苗前総務相】(女性の政治参画について)
「私も女性候補として戦ってきた時につらかったのは、非常に性的な嫌な内容を書いた怪文書ですとか、こういう攻撃がございました。女性の場合は特に苦労されると思います」
「党本部として、大変下品な攻撃であったり、怪文書なんかの場合であったら法的な措置であったり、こういったことをしっかり体制を強化して、女性の候補者を応援していきたいなと思っております」
【自民党 野田聖子幹事長代行】(子どもの虐待問題について)
「子を育てる母親は、もう紙一重なんです。私ですら、言うことを聞かない息子、言っている意味が分かんなくて失敗をする息子に対して、自分でも抑えなきゃいけないけれども抑えきれない時もままあります」
「若いお母さんたちに、しっかりとしたピラー(柱)と、支えとなるように頑張っていただきたいと、引き続き頑張っていただきたいと願っています」
【岸田文雄前政調会長】(女性の自殺者増加について)
「コロナ禍において多くの皆さま方、特に女性の皆さま方のストレス、負担、大変大きいものがあると思います」
「望まない孤立、孤独に対して、社会としてさまざまな連携やあるいは相談、意思疎通、こういったことが図れる仕組み、こういったものを社会としても用意をしなければならないと考えています」
【河野太郎規制改革担当相】(雇用問題について)
「コロナの間に、次の仕事のためのトレーニングができる、次にもっと能力を生かせる、あるいはさらに給与の高い仕事に移れるようなトレーニングをこの期間にできるように、オンラインのトレーニングなんていうのもあります」
「また、男女の差、正規、非正規の格差が大きくて、非正規に女性が多いというところから格差ができていますから、正規、非正規の格差を縮めていく必要があると思います」
■専門家 女性の立候補で「より多様な争点が浮かびあがる」
多様性や女性活躍に詳しい専門家は、「2人の女性議員が立候補した意味は大きい」と話します。
【相模女子大学大学院 白河桃子特任教授】
「(女性候補が)2人いるということは、各人の違いに目が向けられるようになります。特に高市候補と野田候補は政治的な立場が大きく違います。ですからより多様な争点が浮かびあがります」
【相模女子大学大学院 白河桃子特任教授】
「例えば選択的夫婦別姓、同性婚の是非、子育ての支援、それから弱者への配分の分配のありかた、それからジェンダー問題。さまざまなことが活発な論戦になると思います」
「女性がいればいいということではなくて、女性にも多様な人がいて多様な意見があると、そうすると男性候補は初めて、自分の本音のような意見を、わきまえずに言わないといけない場面が必ず出てくる」
■子育てと両立の地方議員「男性中心の議員のイメージを変えるきっかけに」
兵庫県高砂市の市議会で、議員活動と子育てを両立させている島津明香議員。
これまでに、議員の育児休暇など議会規則を変えるきっかけを与えてきました。
島津議員は、総裁選に女性議員が複数立候補することで、「男性中心の議員のイメージを変えるきっかけになるのでは」と話します。
【兵庫・高砂市議会 島津明香議員】
「本来多様な国民に合わせた政治っていうのを行っていかなければならないです」
「(議員が)多様になっていくことは、私自身も非常に重要だなと思っています」
「今まで光があたらなかったところも議論の対象になってくる。そういうことが国民に広まっていくっていうような動きに関しては、本当に喜ばしいことと思っています」