奈良県橿原市でおととし、交際相手の当時4歳の娘に暴行を加えて死亡させた罪などに問われ、裁判員裁判で無罪を主張している男に対し、奈良地裁は19日、「無罪」判決を言い渡しました。 男は裁判で、「暴行はしていません」と無罪を主張し、検察側は「懲役8年」を求刑していました。
■当時の交際相手の4歳娘に暴行加え死亡させた罪に問われ裁判 山下被告は「無罪」を主張
起訴状などによると、大阪府門真市の山下翔也被告(28)はおととし年6月、奈良県橿原市のマンションで、当時交際していた女性の娘の田川星華ちゃん(当時4歳)の腹部を何らかの方法で圧迫する暴行を加え、死亡させた傷害致死などの罪に問われています。 これまでの裁判で山下被告は「暴行はしていません」と無罪を主張していました。
■検察側『懲役8年』を求刑「行為は極めて悪質 謝罪や反省もない」
裁判で検察側は、山下被告が星華ちゃんの母親と交際後、「星華ちゃんに強く当たり、つねるなどの行為をするようになった」などと指摘。 「幼い被害者にしつけと称して、繰り返し怒って暴行を加えるなど行為は極めて悪質」だと主張し、「謝罪や反省もなく、強く非難される」として懲役8年を求刑していました。
また星華ちゃんの母親は裁判で、「4歳の娘は何度も怖い思いをし、激痛に耐えたうえ、命まで奪われた。被告は裁判で自身の責任と全く向き合わず反省もしていない。娘の痛みはわからなくてもせめて自分の罪の重みを感じてほしい」などと意見陳述し、「可能な限りの厳罰」を求めていました。
■弁護側「日常的に暴行を加えていたのは母親」「被告はやっておらず無罪」
一方、弁護側は次のように無罪を主張していました。
【弁護側】「被害者に日常的に暴行を加えていたのは母親であり、自分が疑われるかもしれないと言う思いから証言を変遷させていった。被害者は、※胸腺が萎縮していることなどを踏まえると、(死亡するまで)3カ月ほど虐待されていたことも考えられ、これは被告が母親が出会う前から虐待の環境下に置かれていたといえる。腹部の圧迫も母親による心臓マッサージによる行為とも考えられる。被告にわかっているのは自分がやっていないということ。疑わしいだけではなく、様々な可能性があり裁判の証言や証拠を常識的に考えれば疑問が残る。被告はやっていない」
※虐待を受けた子供は胸腺が委縮するという研究がある。