9日午後、衆議院が解散され、関西の議員も早速選挙モードに突入しています。
また、裏金問題をめぐる自民党の公認の可否については、野党から厳しい追及が行われました。
■9日午後、戦後最短の解散となった衆議院
【額賀福志郎衆院議長】「日本国憲法第7条により衆議院を解散する。内閣総理大臣、石破茂」
そう読み上げられた直後、「万歳!万歳!」という声がいたるところから上がりました。
9日午後4時ごろ、解散した衆議院。石破首相の就任からわずか8日後、戦後最短の解散です。
これに先立ち行われた党首討論で、野党は10月1日に開会したばかりの国会を早々と閉じることに反発。
【立憲民主党 野田佳彦代表】「これね、“裏金隠し解散”じゃありませんか?会期延長して予算委員会開こうじゃありませんか」
立憲民主党の野田代表は、解散よりもいわゆる裏金事件の追及をすべきだと主張しましたが…。
【石破茂首相】「予算委員会を開くかどうかは、国会がお決めになることでございます」
そして、野田代表が地震と豪雨災害が襲った能登半島では投票は困難だと指摘。
【立憲民主党 野田佳彦代表】「あの被災地を見て選挙できると思いましたか?輪島だけで土砂災害が60カ所あるんですよ。道路の寸断、通行止めが40カ所あるんですよ。おかしいですよ!あれで選挙執行できると思ったんですか?」
【石破茂首相】「今の政治に対していろんな思いを最も持っておられるのはひょっとしたら被災地の方々かもしれない。そういう方々の思いが決してないがしろになることがないように、この選挙の執行に関しましては私が責任を持って万全を期してまいります」
■そもそも何のための選挙なのかと追及される一幕も
また、日本維新の会の馬場代表は…。
【日本維新の会 馬場伸幸代表】「この解散は国民の皆さま方に何を問おうとしている?」
そもそも何のための選挙なのかと問うと、石破総理は。
【石破茂首相】「新しい内閣ができたことは事実でございます。そしてまた、そこにおいて私として、いろんなことを皆さま方におはかりをしながらいろんな審議を経ながら実現してまいりたいと思っています」
「私どもの政権としてやろうとしておりますことに対してご信任を賜るということが今回の解散総選挙の意義だと考えております」
【日本維新の会 馬場伸幸代表】「何を問われているのかよく分からない」
野党が石破内閣に対する不信任決議案を提出しましたが、本会議で採決されず、衆議院は解散。総選挙に向かって走り出すこととなりました。
解散に先立ち、自民党はいわゆる“裏金議員”の公認問題について…。 萩生田元政調会長、西村元経済産業相など、すでに非公認の方針が示されていた6人に、旧安倍派の6人を加えた12人の非公認を決めました。
【石破茂首相】「私どもがこの選挙で勝ちますことが日本の国のためである」
9日午前、石破首相は森山幹事長、小泉選挙対策委員長らと共に選挙対策本部の会議に出席。
その中では旧安倍派の前議員が「一度、処分したのにおかしいじゃないか」と強い口調で不服を訴える場面がありました。
■非公認となった前議員からは困惑の声
厳しい表情を見せた旧安倍派の前議員は…。
【旧安倍派 大塚拓前衆院議員】「これまで報道されているようなやり方について自民党の在り方としていかがなものかという意見は申し上げました」
一方で、裏金問題と関係のない前議員は「2ケタの非公認は妥当だ。このくらいやらないと選挙に勝てない」と話しています。
執行部は「当選の可能性がない人や地元の理解が得られていない人は非公認」などと説明していて、非公認の決定は電話で連絡がいったということです。
決定の後、取材に応じた森山幹事長は…。
【自民党 森山裕幹事長】「ルールに基づいて、また総裁が今まで発言してこられたことに基づいて決めさせていただいた」
Q.不記載の額ではない?
【自民党 森山裕幹事長】「額を特別考えたわけではありませんが、結果として額がどうなったかはあるかもしれませんけど、この金額以上、この金額以下ということを決めたわけではありません」
非公認となった前議員からは、「県連から公認申請がなされていたのに(非公認の判断に)驚いている。党からは説明がないので、どういう線引きだったのか困惑している」との声が聞かれました。
■これまでと異なる「三つ巴の争い」に
9日午後2時半ごろ、議員会館では…。
【立憲民主党・前職 森山浩行さん】「(秘書に)東京の事務所を閉めて(大阪に)来てもらうので、僕は今日(大阪に)帰ったらもう来ないけど」
【秘書】「私が後から行くのでその時に(荷物を)持っていきます」
解散であわただしく地元に帰る準備をしていたのは、大阪16区から立候補予定の立憲民主党の前職、森山浩行さん(53)。
9日の夜には早速、地元の堺市内で選挙の会議が入っているといい、完全に「選挙モード」です。
【立憲民主党・前職 森山浩行さん】「選挙は野党側にいる以上、一刻も早くいつでもやるべき。だって今の政権良くないんだから。受けて立つ」
堺市堺区・北区・東区で構成される大阪16区。
ここ15年ほどは、森山さんと公明党の重鎮・北側一雄副代表との事実上の一騎討ちでしたが、公明党は今回、北側さんに代わって、世代交代として新人を擁立。
さらに、これまで公明党の候補者がいる選挙区に擁立をしてこなかった維新も候補者を立てる方針で、これまでの構図とは異なる、三つ巴の争いとなります。
【立憲民主党・前職 森山浩行さん】「これまでも自公政権でも維新でもない選択肢で、この選挙区で戦ってきたので、貫いていく形になる」
■衆院選に向けて続々と動きが 投開票は10月27日
公明党公認で、自民党からも推薦を受けて立候補予定の参議院議員、山本香苗さん(53)。北側さんから選挙区を引き継ぎます。
9日は地元・堺などの支援者たちが、東京にいる山本さんの元を激励に訪れました。
【地元の支援者】「(国会に)いないと困る方なので、全力で応援させていただく」
去年、参議院からのくら替えが決まり堺で活動を続けてきた山本さん。立憲の前職に維新の新人という強力なライバルを前に、「チャレンジャー」の気持ちで戦うと話します。
【公明党・新人 山本香苗さん】「自民党に(政治とカネの)問題があることで(公明党にも)影響はもちろんこれまでもあったが、乗り超えていかないといけない。号砲が鳴った後、(選挙戦が)事実上スタートしている。一瞬も無駄にしないようにがんばりたい」
一方、9日の朝早くから堺市の新金岡駅前でチラシを配っていたのは、維新の公認で立候補予定の新人・黒田征樹さん(44)。
黒田さんは2011年に堺市議に初当選。13年あまり市議を続けてきましたが、2023年、党内の予備選挙で勝利し、国政に挑戦することに。
維新はこれまで、公明がいわゆる大阪都構想に協力することと引き換えに、16区に候補者を立ててきませんでしたが、協力関係がリセットされたことで、今回は「全面対決」となります。
衆院選に初挑戦となる黒田さん。秘書を務める息子と一緒に選挙選を戦います。
【日本維新の会・新人 黒田征樹さん】「どうなるか分からない。一番知名度がないと思っているし。自分との戦いやから、他(の候補者)がどこで何をしてようが、自分はやることやるだけですね」
衆院選に向けて動き出す候補者たち。公示は10月15日、投開票は10月27日に行われます。
■石破首相と立憲・野田代表の党首討論「石破さんちょっと一歩引いている感じがした」
9日には、石破首相と立憲・野田代表との党首討論が行われました。長年、石破氏の取材をしてきたジャーナリストの鈴木哲夫さんは「自分というより自民党を意識。石破さん一歩引いている感じがした」と印象を述べています。
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「僕が期待していたのは、『石破対野田』の論戦。石破さんはこれまでいろんなことを言ってきた。野田さんは総理経験もあり反省もあって、2人の政治家同士の議論だと思った。だけど結論を言うと、『野田対自民党』になりました。つまり石破さんが、自分というより自民党を意識して、ここから先は踏み込まないと、要するに穏便に答弁したという印象がある。石破さんちょっと一歩引いている感じがしましたね」
■非公認12人のうち「3人はどんなにやったって勝てない人」と鈴木さん
9日の党首討論でも追求されましたが、いわゆる裏金議員の公認・非公認問題。非公認が6人増えて、合わせて12人になりました。この対応について、鈴木哲夫さんは「裏金議員12人非公認は…果たして意味があるのか!?反省の処分ではなく『選挙対策』」だと言います。
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「そもそも考えてください。きょう新たに6人と言ったけど、どこに線を引いたのか。この線引きが非常に曖昧です。お金の額でもない。本当は全員非公認にするべきでしょう。結局は選挙を考えて、非公認にしといた方が選挙にとってプラスじゃないかと。実際そう発言している議員もいるわけです」
「この12人の中で、私が取材した感じでは、3人はどんなにやったって勝てない人がいるんです、事前の調査で。そういう人は非公認として、その人が出ないようにしよう。代わりに自民党の誰かを立てるとかね。だから裏金うんぬんじゃなく、選挙戦略として非公認することによって、その人を引っこませようという意図が見えて、これでいいんですかと私は思う」
■「石破さんの頭の中は、選挙に勝つことを最優先」
裏金問題での公認・非公認の問題で、石破首相の発言は二転三転して、衆議院の解散の時期についても発言にブレがありました。
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「石破さんの頭の中は、ただ選挙に勝つことを最優先して、党内のいろんなバランスに気をつかって、力学に今もう完全に縛られているというのが、僕の見方です。きょう野田さんも言っていたけど、予算委員会やってしっかり議論して選挙をやるって言っていたのに、どこ行ったんですか?」
「どうも私が取材する感じでは、自民党が情勢調査をやっているんだけど、単独過半数に届かないぐらい厳しい数字なんです。そうすると森山幹事長とかは『とにかく少しでも早く選挙やって』と。国会で議論なんかやったら裏金とか追及されるわけです。そういうことを周りが進言して、石破さんがそれに乗っかっている感じがするんです。だけどそれでいいんでしょうか。石破さんに世論が期待したことは、要するに裏金問題でも国会の議論もちゃんとやるということですよね。でもそれがやれないと、選挙結果に非常に厳しく影響が出るかな。立憲も調査をやっているんです。また報告しますが、割と良い数字が出ているそうです。選挙でどうなるのか注目ですね」
選挙戦は事実上きょうからスタート。投開票は10月27日となります。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年10月9日放送)