19日午後、兵庫県議会では、パワハラなどの疑惑をめぐって、斎藤知事に対する不信任決議案の審議が行われました。
斎藤知事はほぼ表情を変えることなく、じっと前を見つめていました。
この問題を取材してきた、関西テレビ神戸支局の鈴村菜央記者が兵庫県議会の様子について、報告しました。
【関西テレビ神戸支局 鈴村菜央記者】「19日午後3時すぎに、自民党の兵庫県議団が不信任決議案の動議を提出しました、その後審議が行われ、さきほど共同で不信任決議案が出され、まもなく全会派一致で可決される見通しです。斎藤知事が議会の判断をどう受け止めるのか、その発言に注目が集まっています」
【newsランナー 吉原キャスター】「ご覧のように、報道陣もたくさん集まって斎藤知事を待っています」
毎朝、斎藤知事が「囲み取材」に応じる兵庫県庁には19日朝も、多くの報道機関が待機していました。 告発文の存在が明らかになってからおよそ半年。
【斎藤知事(19日午前10時頃)】(Qどういう選択をするか、きょう19日に決断する?)「大変重い議決ですから、私自身にとっても県政にとっても大事な判断になりますから、タイミングも含めてしっかり熟慮していきたい」
19日朝、これまで同様、自身の進退について明言を避けた斎藤知事。 不信任決議案が可決された場合、斎藤知事は10日以内に議会を解散するか、辞職、または失職を選択することになります。
議会の解散も選択肢に入るなか、県議たちも様々な思いを持ってこの日を迎えました。
【自民党 北野実県議】(Q知事はどう判断されると思いますか?)「それは知事に聞いてください、わからへんわ」
【維新の会 中村大輔県議】「解散する大義が全くないので、解散はしないと信じているんですけど、それもわからないので。最後までは」
ことの発端はことし3月、元西播磨県民局長が斎藤知事が職員を怒鳴りつけるハラスメント行為など7つの疑惑を告発する文書を配布。 当初、斎藤知事はこれを真っ向から否定しました。
【斎藤知事(ことし3月)】「業務時間中なのに、『嘘八百』含めて、文章作って流すという行為は、公務員としては失格」
元局長は、県の公益通報窓口にも通報したものの、県は事実無根として、懲戒処分しました。 しかし、その後、疑惑の一部が事実であることが判明。 調査のため百条委員会が設置され元局長も証人として出席する予定でしたが、ことし7月、死亡しました。
元局長の死を受け、状況は一変します。 県職員およそ4000人が加盟する労働組合が斎藤知事に辞職を申し入れ。
【兵庫県 片山安孝副知事(当時)】「なんで斎藤知事を支えられなかったのかと、ほんまに私は悔しくてしゃあないですよ」
斎藤知事の最側近、片山安孝副知事が、責任を取り辞職。 職員だけでなく、議会からも大きな反発の動きが。 選挙で推薦を受けた自民党からも事実上の辞職要求をつきつけられました。
四面楚歌のなか、斎藤知事は百条委員会に出頭。 委員から厳しい追及を受けました。
【斎藤知事(今月6日の百条委員会)】(Qトップとして道義的責任を感じているか感じていないか?)「道義的責任というものが何かわからないので、明確にコメントできませんけれど、今の県政の状況を招いているということについては県民の皆さんに深くお詫び申し上げたい」
(Q道義的責任を感じているか感じていないか、お答えいただけない?)「道義的責任というのが何かというのは、私はわからないです」
その後、知事選で推薦を受けた日本維新の会からも、辞職要求を受け、知事への不信任決議案が可決される見通しとなったのです。
全ての県議から「NO」を突きつけれることになった斎藤知事。 議会の解散か、それとも失職か。決断の時です。
【自民党 黒川治県議】(Q知事はどう判断されると思います?)「それはまったくわかりません。『まな板の上の鯉』という、そんな状況ですかね」
【維新 中村大輔県議】「解散する大義が全くないので、解散はしないと信じているんですけど、それもわからないので最後までは」
【自民党 長瀬たけし県議】「語弊を恐れず言えば、いい機会だと思うんです。兵庫県議会議員選挙の投票率は決して高くないので、これだけ県政に関心が高まっているときに、皆さんがその思いを投票という形で表すことができるのはよいのでは、私は(解散)やるべき」
【自民党 内藤兵衛県議】(Q応援した責任は感じられていますか?)「(軽くうなずいて)うん責任はね、どういう責任というか、それはちょっと複雑ですけど」
【議会の傍聴人】(Qどういうところを見届けたいと?)「不信任案がどうなるかですね。知事の表情とかもここならわかるので、見届けたい」
【議会の傍聴人】「県民に向き合って終わるのか、最後まで自分の言葉を話さず終わるのかを見に来ました」
(Qこれまでは自分の言葉では話してないと感じている?)「はい、ないですね」
19日午前11時、本会議が始まります。
【吉原キャスター】「いま、斎藤知事が一礼して、議場に入ります。ほとんど表情は変わりません。いつもと同じような表情で、議場に入りました。斎藤知事にとって、大きな決断を迫られることになります」
19日の午前中の議会では、県の補正予算案などについて審議が行われ、すべての議案が可決された午後3時すぎ、議会が動きました。
議員から、声が上がりました。
【自民党 富山恵二議員】「この際、動議を提出いたします。斎藤元彦兵庫県知事に対する不信任決議案について、議事日程に追加することを求めます」
県議会の最大会派である自民党から、斎藤知事に対する不信任決議案の動議が提案され、その後、無所属議員を含む他の議員も同調し、全議員86人が共同で決議案を提出しました。
【自民党 戸井田祐輔議員】「文書(告発文)問題調査特別委員会調査の中で、告発文書の内容に真実が存在し、文章が『嘘八百』ではなく、告発者への対応が告発者探しや情報漏えいの疑いを指摘されるなど、不適切と言わざるを得ないことが明らかになったにも関わらず、斎藤知事は真実相当性がない、誹謗中傷性が高いとして、県の対応は適切だったという従来の考えを変えることなく、頑なな姿勢を取り続けています」
このあと、記名採決が行われ、不信任決議案は全会一致で可決されました。 議会の決定を受けて斎藤知事はどのような判断を示すのでしょうか。
番組に出演した兵庫県明石市の前の市長・泉房穂氏は、不信任決議案の可決までに、次のように述べました。
【泉房穂前明石市長】「私自身は、不信任の直前に辞職の可能性はゼロではないと思っていました。かつて、東京都の舛添要一知事(当時)は、不信任決議の直前に辞職しました。 今後は、(知事の選択は)『二択』という形で言われますけど、実際は二択じゃなくて、自分で辞めるか、10日間を待って失職するかでも違います。 加えて、議会解散もありますが、私は解散は筋が通らないと思います。16億円もの県民の税金の無駄遣いだと思いますから、それは避けて欲しいと願っています」
斎藤知事は19日朝にも続投の意思を表明していました。
【泉房穂前明石市長】「(斎藤知事の考えは)分かりやすいと思いますよ。自分は非はないんだと。 辞職をするということは、非を認めることにつながるって考えでしょうから、ただ不信任決議は自分でどうこうできませんから、不信任決議を受けた後、自分で辞めずに、10日間の期間を待って、失職して、次の選挙に立候補して、民意を問うというのは、彼の中では筋が通った話かと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2024年9月19日放送)