悲劇の夫から『殺人犯』に 「事故で溺れた」と偽り 妻を殺した罪 『無罪』を訴えた夫 最高裁が上告を棄却 懲役19年の判決確定へ「再審で無実を明らかにしたい」と弁護人 2024年09月19日
和歌山県白浜町で妻を溺れさせ、殺害した罪に問われた夫の上告を最高裁が棄却。 これにより、懲役19年の判決が確定しました。 「それでも僕はやっていない」と語っていた夫。 判決を受け、弁護人は「再審で無実を明らかにしたい」とコメントしています。
■シュノーケリング中に妻を溺れさせ殺害した罪
野田孝史被告(35)は2017年、和歌山県白浜町でシュノーケリング中に妻の野田志帆さん(当時28歳)を溺れさせて殺害した罪に問われています。
■胃の中の『砂の量』から『事故による溺死ではない』と検察が判断 夫を殺人罪で起訴
志帆さんの治療に当たった救命医が、治療中に胃の中から「砂が出てきた」と供述し、その量が約37グラムと推定されたことから、検察は事故による溺死ではなく「海底付近で押さえつけられた」事件として当時、一緒にいた野田被告を殺人罪で起訴。
↑武田正裁判長
2021年3月、1審の和歌山地裁(武田正裁判長)は検察側の「砂」を根拠とする殺害の立証を認め、野田被告に懲役19年の判決を言い渡し弁護側が控訴。
■「事件前に不倫」「妻に複数の生命保険をかける」「『溺死に見せかける』と検索」
↑斎藤正人裁判長
ことし3月、2審の大阪高裁(斎藤正人裁判長)は「『胃の中にのみ相当量の砂があるのは不自然』というだけで殺人事件と認定した1審判決は不合理」としながらも、野田被告が事件前に不倫をしていて、志帆さんに複数の生命保険がかけられていたことやインターネットで「溺死に見せかける」などの検索を行っていたことなどから「保険金目的の殺害計画をうかがっていたことは明らか」と指摘。
■「事故や自殺の可能性も低いながら認められるが、死亡状況は計画に完全に符合する」高裁は控訴棄却
そのうえで、「事故や自殺の可能性も低いながら認められるが、死亡状況は計画に完全に符合する」として野田被告側の控訴を棄却しました。
野田被告は、2審判決後関西テレビの取材に対し、「1審判決は全部覆っているのに、事故の可能性が残るのに有罪になるのはおかしい」 「それでも僕はやっていないと言いたいです」と訴えていました。
■上告するも最高裁は夫側の上告を棄却 懲役19年の判決確定
野田被告側は、判決を不服として上告していましたが、最高裁・第2小法廷(草野耕一裁判長)は、17日までに上告を棄却。 これにより懲役19年の判決が確定することになりました。
■「無実の野田さんを刑務所に行かせることになり、非常に残念。再審で無実を明らかにしたい」と弁護人
↑津金貴康弁護士
1審から野田被告の弁護人を務める津金貴康弁護士は、「無実の野田さんを刑務所に行かせることになり、非常に残念です。再審で野田さんの無実を明らかにしたいと考えています」とコメントしています。
(関西テレビ 2024年9月18日)