いま、墓参りのあり方の多様化が進んでいます。 その背景には、悩ましい事情も。取材しました。
お盆といえば墓参りです。 13日、京都の大谷祖廟には、最高気温37度超えの猛暑の中、多くの人が手をあわせる姿が見られました。
【墓参りに来た人】「大阪から来ました。おねえちゃんが子供生まれるから、無事に生まれますようにってお話しました」
【墓参りに来た人】「日々ありがとうございますって、これからもよろしくお願いしますって。頼むことばっかりで…」
一方、こちらは大阪・大東市の墓地。 熱心にお墓の掃除をする男性がいました。
【大阪石材工業 坂田勝典さん】「墓石の掃除と、ろうそく立てが汚れているので、きれいにさせてもらいます」
こちらは、近年人気が高まっている「墓参り」の代行サービスです。
【大阪石材工業 坂田勝典さん】「水ばちを倒してまで掃除してくれるのは、石材店くらいしかない。こういうところまで掃除してますというので、(作業後に)写真に収めてる」
丁寧に掃除したあとは、花や線香をお供え。 基本プランの料金は1万7600円で、リピートする人も多いということです。
【大阪石材工業 坂田勝典さん】「件数的にはお盆が一番多いですね。基本的には予約いっぱいです」
実はお盆に墓参りをする人が、ここ10年ほどで大きく減っています。
かつては半分以上が墓参りをしていたのに対し、いまは3割を超える程度となっています。 墓参りをする人からも、こんな声が…。
【墓参りに来た人】「ちょうどおととし、奥さんの方の実家の墓は、墓じまいも考えまして。色々家族で話し合って、私らの方で見ていこうということで、なかなか考えました。私もそこそこ年になってきたんで、こっから先は息子に任せようかなと思うんですけど」
そんな中で、お墓の在り方には、いま、大きな変化が。
和歌山県・太地町のお墓にやってきたのは、たくさんの機材を積んだ、作業員です。
【ビーテイル 尾屋徳久代表取締役】「頭の部分を解体して、納骨室を壊して土に埋めて、整地するっていう作業になります」
いま増加している、「墓じまい」。 こちらの会社では、数年前までは年間20件ほどだった申し込みが、10倍近くになっているということです。
【ビーテイル 尾屋徳久代表取締役】「法要をしてもらったと話をするときに、泣かれる方もおられたり、お墓ってすごく思い入れが強い方が多いので、進んで墓じまいというよりは、仕方なく、やむなく、墓じまいという方が圧倒的に多いと思います」
作業を終えたトラックに付いていくと…。 あらわれたのは、大量の墓石が積み上げられた、巨大な「塔」です。
【ビーテイル 尾屋徳久代表取締役】「咲楽縁(さくらえん)という供養塔になります。だいたい2000基ぐらいあると思うんですけど」
通常、墓じまいをした後、墓石は処理されることが多いですが、こちらの会社では供養塔の一部とすることで、「手を合わせられる場所」を残しているといいます。 「墓じまい」の増加に伴い、供養塔に集まる石も急増していて、このままだとあと半年ほどでスペースが埋まってしまうということで、急いで新たな塔を建てる準備を進めています。
【ビーテイル 尾屋徳久代表取締役】「黒い石が敷かれている向こう側に、(新たな塔の)建設を予定しています。できるだけ早く次のもの(塔)を作れたらなと思っています」
作業を終えたトラックに付いていくと…。 あらわれたのは、大量の墓石が積み上げられた、巨大な「塔」です。
【ビーテイル 尾屋徳久代表取締役】「咲楽縁(さくらえん)という供養塔になります。だいたい2000基ぐらいあると思うんですけど」
通常、墓じまいをした後、墓石は処理されることが多いですが、こちらの会社では供養塔の一部とすることで、「手を合わせられる場所」を残しているといいます。 「墓じまい」の増加に伴い、供養塔に集まる石も急増していて、このままだとあと半年ほどでスペースが埋まってしまうということで、急いで新たな塔を建てる準備を進めています。
【ビーテイル 尾屋徳久代表取締役】「黒い石が敷かれている向こう側に、(新たな塔の)建設を予定しています。できるだけ早く次のもの(塔)を作れたらなと思っています」
話を聞かせてくれたのは、大阪出身で、いまは静岡県に住んでいる、大木真実さん(44)です。
【「手のひら墓石」を購入 大木真実さん(44)】「2年ほど前に、父と母が立て続けに亡くなってしまって、この先お墓を誰が見るかとか、お手入れのことが難しいかもしれない。墓じまいを決断した」
遠く離れた墓の管理が難しく、墓じまいを決めたものの、どこか虚しさを感じたという大木さん。 そんな中で「手のひら墓石」を知り、購入したといいます。
【「手のひら墓石」を購入 大木真実さん(44)】「帰ってきたときに必ず目に入るので、『あ、あるな』いう気持ちにはなる。母とかのことを思い出したりとか、何かのタイミングのときに、手に取って気持ちを寄せるというか」
(Q.供養には仏壇などの選択肢もあるが?) 「やっぱり仏壇ってなると、置き場所が難しいということがあったり、手軽さ、一緒に移動できるところが、今の自分の生活にもなじんでいるかなと」
変わりゆく、「墓参り」の在り方。 家の中でも先祖を想える、そんな新たな形も、広まっていくかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」2024年8月13日放送)