小林製薬の紅麹(べにこうじ)サプリをめぐる問題が発覚してから22日で2カ月です。
健康被害を訴えていた人は、新たな課題に直面し、今も苦しんでいます。
■紅麹サプリメント摂取で健康被害も 「誰も責任ある回答しない」
兵庫県姫路市に住む男性(61)のもとに送られてきたのは、医療費の補償に関する小林製薬からの手紙。
【紅麹サプリを摂取していた姫路市の男性(61)】「郵送で文面が送られてきました。被害者側から(医療費を)支払ってほしければ、電話をしてくださいという趣旨の手紙」
男性は2023年7月から、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を摂取していたところ、体調に異変が生じ、検査を受けると腎疾患を発症していることが分かりました。
現在、男性の体調は回復していますが、経過観察のために毎月、通院しています。
こうした紅麹サプリによる健康被害は増え続け、これまでにサプリを摂取した5人が死亡、275人が入院し、相談件数は約12万件にのぼっています。
4月25日、医療費の補償について対応を始めた小林製薬。
紅麹サプリを飲んでいた場合、「初診料」や「検査費用」は交通費も含めてすべて負担し、それ以外の「医療費」などについては、”症状と摂取に関連性が疑われる場合”にのみ負担するとしています。
姫路市の男性は、問題が発覚する前から病院を受診していて、それを含めて補償されるのか指定された相談窓口に確認すると…。
【紅麹サプリを摂取していた姫路市の男性(61)】「何を払ってくれるの?(診断書や領収書は)どれを出したらいいの?」
【小林製薬のコールセンター】「受診費用に関しては、どのあたりまで大丈夫か、担当部署より直接ご返答させていただきます」
その場では明確な答えは得られず、その後も、何度も電話をしなければなりませんでした。
結果的に、「問題が発覚した日以降」が「初診」とされたため発覚以前の受診については、診断書などをもとに今後、判断すると伝えられました。
【紅麹サプリを摂取していた姫路市の男性(61)】「必要な情報が必要な人のところに行っていないので、イライラするだけ。こちらの聞きたいことに、誰も責任を持った回答ができないのは、今回の被害に対する会社の姿勢が表れているとしか思えません」
■紅麹原料を使用した“看板商品”が作れない 損害あるも補償の対象にならず
そんな中、小林製薬からの補償を待っているのは、紅麹サプリを摂取した人だけではありません。
滋賀県東近江市にある「パンのカワバタ」で30年間販売していた、淡いピンク色の「いのちのパン」は、小林製薬の「紅麹原料」を使用した”看板商品”でした。
使っていた紅麹は品番が異なり健康被害も確認されていませんが、念のためパンを自主回収し、製造も中止に。 今は紅麹を抜いた食パンを届けています。
【パンのカワバタ 川端宏明代表】「この前言われたのは、『赤い方がいいわ』って。紅麹パン食べていた人は」
問題発覚後、初めて出店したイベントでは、川端さんは気が沈まないよう着ぐるみを着て、人一倍大きな声で接客。
【パンのカワバタ 川端宏明代表】「カレーパンおまけしとくわ」
【客】「ありがとうございます」
しかし、一番人気だった「いのちのパン」の“のれん”は掲げることができません。
【パンのカワバタ 川端宏明代表】「これ(のれん)を出すとまずいですよね。過去の話になってしまいましたよね。2度と作れないのかなって」
小林製薬の紅麹原料は225社に販売されていましたが、パンのカワバタは仕入れ先を介していたため、リストに名前はなく、小林製薬からの連絡は一度もありません。
川端さんは21日、小林製薬の社長にあてて、補償などの説明を求める要望書を送ることにしました。
【パンのカワバタ 川端宏明代表】「向こうからのアクション待っていては、まず無理だろう。これだけ大変な思いをしましたというのと、これらを踏まえてお話しましょうと」
厚生労働省によると、小林製薬の紅麹と健康被害との因果関係は今も分かっておらず、特定までのめども立っていないといいます。
サプリを摂取した人や企業は、どこまで補償されるかわからない不安の中で過ごしています。
(関西テレビ「newsランナー」2024年5月22日放送)