赤字が続く滋賀県の近江鉄道が、4月から新しい経営体制に変わりました。23年度は赤字が見込まれ、そうなると「30年連続赤字」となります。苦境のローカル鉄道は、どう変わるのでしょうか?
【近江鉄道 飯田則昭社長 4月1日】「近江鉄道です。きょうから変わります、よろしくお願いします」
近江鉄道の社長自らアピールした新しい経営体制。その背景には、「30年連続の赤字見込み」がありました。
琵琶湖東側の10の市と町をつなぐ近江鉄道は、1898年に開業し、ピーク時に年間輸送人数が1000万人を超えていました。
しかし利用客は減少し、現在はピーク時の半分以下。さらに老朽化した施設の修繕費用などで経営状況が悪化し、鉄道部門が30年連続で赤字の見込みとなっています。
近江鉄道は全線を無料で利用できる日を作ったり、窓にお絵描きができる電車を走らせたり、さまざまな利用促進策を実施するも、根本的な解決には至らず。
滋賀県などが廃線も視野に議論しましたが、新たに整備するバスなどの費用が、存続よりも多くかかることが分かり、存続することになりました。
【滋賀県 三日月大造知事】「近江鉄道線は全線存続することとする」
そして4月1日、「上下分離方式」と呼ばれる新たな経営体制に移行しました。
これは、電車の運行は引き続き近江鉄道が行う一方で、線路や駅舎などのインフラは沿線の自治体などが管理するというもの。管理費用は県と沿線自治体で半分ずつ負担します。
【近江鉄道 飯田則昭社長】「私どもは電車の運転、それからお客さまへのご対応に特化することになりました。設備投資とか修繕で(費用が)かからなくなったところを、お客さまサービス向上のために、私どもは資金をしっかり使わせていただこうと思っています」
また、利用客の要望に応えて交通系ICカード「ICOCA」の来年度導入を目指すと明言しました。新体制で走り出した近江鉄道は、赤字の“トンネル”から抜け出せるのでしょうか。