■欧米では既に導入
民事裁判でIT化が進み、3月1日から当事者が裁判所に行かなくてもウェブ会議システムを利用して、口頭弁論に出席できるようになりました。
一例目となる大阪高等裁判所の法廷に用意されたモニターには、ウェブ会議システムを使って参加した当事者が映し出されました。
こうしたウェブ会議を使った口頭弁論は、ヨーロッパやアメリカではすでに導入されていて、日本でも国民にとって利用しやすい裁判を目指して、始まりました。
■裁判長がパソコンに向かい「弁論始めます」
今回は一審が、奈良地方裁判所で開かれた裁判の控訴審で、まず裁判長は手元のパソコン画面に向かって、「それでは弁論を始めます」と呼びかけました。
そして事前に提出された書面から、双方の主張について確認し、原告側から実施を求められていた証人尋問を行わないと決定し、判決の日時を指定して終了しました。
関係者によると裁判が始まる前に問題なく接続できるか確認していたということで、目立ったトラブルはなく、口頭弁論は終了しました。
■「裁判所に行く手間省ける」と原告 一方で「当事者が意見述べるときは、直接行く方が伝わる可能性」との見解
原告側の弁護士はウェブ会議を使った口頭弁論について、「遠方から裁判所に行く手間が省けて便利だが、当事者が意見を述べる場合などは裁判所に行く方が、訴えたいことが伝わるのではないでしょうか。その日の裁判の内容によって、ウェブ会議を利用するか実際に裁判所に行くかを検討していくことになると思います」
「一方で気になるのは、ウェブ会議システムではカメラに映る範囲が限られていて、参加者がいる場所に当事者以外の第三者がいないかどうか、確認できません。こういったセキュリティの面で裁判所には検証を続けてほしいです」とコメントしました。
民事裁判では、2025度までに、訴状もオンラインで提出できるようになるなどIT化が進められています。