大阪府八尾市の小学校で1年生の女子児童が、遠足でお茶を買えずに熱中症になったとして、女子児童と両親が八尾市に損害賠償を求めて、大阪地方裁判所に提訴しました。
■「学校側が熱中症防ぐ対策を拒否した」女子児童と両親が八尾市に賠償求め提訴
訴えによると、当時八尾市立小学校の1年生だった女子児童は、2022年5月、学校の遠足に参加しました。 両親は女子児童の体力が他の児童と比べて低いことを心配し、事前に学校側に「お金を持たせるので、お茶がなくなったら買って与えてください」、「しんどいと言ったら迎えに行く」と伝えていました。
しかし、遠足当日、持っていたお茶がなくなった女子児童が、教諭に頼んでもお茶を買ってもらうことができず、学校に帰った後に体調が悪化し、その後38℃を超える発熱で救急搬送され、熱中症と診断されました。 遠足の途中に女子児童は「ママ呼んでください」と訴えたものの、両親に連絡もなかったということです。 遠足当日は前の日の夜から朝までかなりの量の雨が降り、湿度が高かったとみられるほか、気象庁によると最高気温は27度と夏日になってました。
女子児童と両親は学校側の対応が「熱中症を防ぐ対策を拒否したもの」などとして、八尾市に対し合わせて220万円の損害賠償を求めて裁判を起こし、27日、大阪地裁で第一回口頭弁論が開かれました。 原告側の代理人によると八尾市側は争う姿勢を示しているということです。
■「小学1年生だと、先生が言うことは絶対」「お金が欲しいわけではない。二度とこんなことを起こしてほしくない」と両親
関西テレビの取材に対し、女子児童の両親は次のように述べました。
「まさかこんなことになるとは思ってもいませんでした。娘は体も小さく、体力に不安もあったので、周りに迷惑をかけるかもしれないと思い、遠足に行かせないことも考えました。それでも学校の教諭から『これも経験ですから』と言われ、子供にお金も渡して、お茶がなくなったら買うように学校側に伝えて参加させたのです。
八尾市内でも別の学校では、遠足時に先生方が飲み物を児童向けに買うこともあるようです。しかし娘の小学校では、こうした事態に備えた予備の水を持参することもありませんでした。熱中症の予防は基本的なことだと思います。小学1年生だと、先生が言うことは絶対だと受け止めてしまう。促してでも飲ませる体制でないといけないと思います。
娘は救急搬送される救急車の中で、『しんどい、しんどい』と繰り返していました。回復しましたが、最初は早退することもありました。子供の命が失われる恐れもあったと思います。学校や市の教育委員会の対応に疑問があり、なあなあにしていたら、また同じことが起きるのではと思い、今回裁判を起こしました。お金が欲しいわけではありません。二度とこんなことを起こしてほしくないと思うからです。これを機に、熱中症対策を徹底する学校になってほしいと思っています」
(関西テレビ 2024年2月27日)