■紀の川・小5男児殺害事件から9年 ずっと踏み倒される賠償金
和歌山県で小学5年生の男の子が隣人の男に殺害された事件から5日で9年となります。遺族がずっと直面しているのは男による賠償金の「踏み倒し」。理不尽な現実を変えるには何が必要なのでしょうか。
息子を亡くした、和歌山県紀の川市の森田悦雄さん(75歳)。
【息子の都史君を亡くした・森田悦雄さん】「都史くん…9年目を迎えてお父さんが来て、みんな見守ってくれているから」
9年前の2月5日、息子の都史くん(当時11歳)が近くに住んでいた中村桜洲受刑者(31歳)に刃物で切りつけられ、命を奪われました。
有罪確定後、森田さんが起こした民事裁判でおよそ4400万円の賠償を命じる判決が2018年に出ましたがいまだに支払われていません。
悦雄さんには葬儀や弁護士費用などの経済的な負担がのしかかりました。
【息子の都史君を亡くした・森田悦雄さん】「追い込まれて、色んな事があったけど。病院来るまで、都史くんがお父さんをずっと待ってくれていたんで、それを思ったらまだまだ」
加害者による賠償金「踏み倒し」は少なくないものの、判決から10年間支払いがなければ、支払う義務がなくなってしまいます。阻止するには再び裁判を起こす必要があり、遺族にさらなる負担がかかります。
■“理不尽な現実”どうにかして 兵庫県・齋藤知事と意見交換
このような実態について、兵庫県の齋藤知事と意見交換をしたのは、27年前の神戸連続児童殺傷事件で、次男を殺害された土師守(はせ・まもる)さんらです。
斎藤知事は、葬儀や治療費などの負担を軽減する「見舞金」制度などを、2月の議会に提出すると説明。土師さんらは兵庫県の動きを評価した上で、被害者や家族が直面する「賠償金」などの課題についても訴えました。
【息子の淳君を亡くした・土師守さん】「再提訴の費用や転居の費用、(事件の)直後に必要ではないが、かなり金銭的にもかかることがあるので、全額とは言わないにしても、ある程度の支援を今後考えてもらえたらと思う」
【兵庫県・斎藤元彦知事】「さらに必要な再提訴費用とかについては、また検討しながら、充実させていきたいなと考えています」
誰しもが当事者になりうる犯罪被害。被害者の家族にのしかかるさらなる負担は解消されるのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月5日放送)