■板張りにしたベビーサークル…2歳女児の手足縛り監禁し放置
大阪府富田林市で、2歳の女の子の手足を縛って放置し死亡させた罪などに問われている男に懲役6年の判決が言い渡されました。桃田貴徳被告(52)は2022年6月、内縁関係だった小野真由美被告(47)と共謀し、富田林市の自宅で小野被告の孫の優陽(ゆうは)ちゃんの手足を粘着テープで縛り、四方を板張りにしたベビーサークルに監禁。 そのまま2泊3日でユニバーサル・スタジオ・ジャパンに出かけ、優陽ちゃんを熱中症で死亡させた保護責任者遺棄致死の罪などに問われています。
これまでの裁判で複雑な家族関係も明らかになりました。小野被告は、自身の三男とその妻が離婚し、生後半年ほどの孫の優陽ちゃんを引き取りました。 そして小野被告の四男、小野被告と桃田被告の間にできた五男の5人で暮らしていました。 検察側はこうした関係から桃田被告は、優陽ちゃんを含めて長年家族関係にあり、保護する責任があったほか、小野被告が監禁する際桃田被告もその場にいたなどと指摘し、懲役7年を求刑しました。
■「内縁関係は解消した」争点は“保護者責任性”
一方、桃田被告は「(事件以前に)真由美さんとの内縁関係は解消し、同居もしていなかった。(優陽ちゃんの)養育者ではないと思う」と話し、優陽ちゃんを保護する立場にないと、無罪を主張しました。 また、小野被告が、優陽ちゃんをベビーサークルに入れていたのは、便をなげたり床に陰部をこすりつけたりするようになったからで、桃田被告は「他の方法を考えられなかった」と説明しました。
■「身勝手な犯行」 祖母と内縁関係の男に“懲役6年の判決”
そして、13日の判決を迎えました。
【藤原美弥子裁判長】「育児疲れではなく日常的な虐待だった」
大阪地裁堺支部は、ベビーサークルに入れる行為について、「劣悪な空間に閉じ込めることが正当化されないのは明らか」として逮捕・監禁罪の成立を認定しました。
また、「桃田被告は2年半にわたって同居していて優陽ちゃんを保護する立場にあり、事件直前には家に仮眠に立ち寄るなど内縁関係は完全には解消されていなかった」として、保護責任者遺棄致死罪の成立も認めました。 その上で、「ベビーサークルに入れることが常態化している中で、遊びに行っており身勝手な犯行だが、主導したのは小野被告だった」などとして、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。
■裁判を傍聴した記者が感じた事件の印象や原因
大阪地裁堺支部前に、裁判を全て傍聴した菊谷記者に話を聞きます。
–Q:桃田被告の責任が認められましたが、裁判ではどんな様子でしたか?
【菊谷雅美記者】「桃田被告は、裁判長が述べる判決理由をまっすぐ前を向いて聞いていましたが、実刑判決だったため、そのまま落ち着いた様子で連行されて行きました」
–Q:傍聴し続けて今回の裁判をどう受け止めていますか?
【菊谷雅美記者】「当初は、冷酷で身勝手な保護者の下で起きた事件という印象を受けましが、裁判を傍聴していると発達の遅れがあった優陽ちゃんの養育に悩みを抱え行きついた先が閉じ込めという行為であった一面も見え、さらに家族構成など複雑な事情もあり、誰が子どもを守る責任があるのか難しい判断となりました」
–Q:2024年1月30日には、小野被告の初公判が予定されていますね。
【菊谷雅美記者】「はい。小野被告の責任も注目されますが、桃田被告が審理の最後に『責任はみんなにあります』との発言が印象に残りました。事件以前に、小野被告は何度も子ども家庭センターなどに養育の悩みを相談していたことも分かっていますが、裁判で、小野被告は『求めていた具体的なアドバイスはもらえなかった』と話しています。また、一時は施設に通わせることも検討したものの同居していない父親の反対で断念するなど、外部に“助け”を求めながらも、事件を未然に防ぐことはできず、そうしたところにも少なからず責任があるようにも感じられました」
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月13日放送)