イスラエルと、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの戦闘は、12月7日で2カ月となりました。 双方とも徹底抗戦の構えで、犠牲者の増加に歯止めがかからなくなっています。
イスラエルとハマスの戦闘が始まって2カ月がたち、これまでにガザ地区の死者は1万6250人に上っています。 イスラエルで取材にあたっているFNNパリ支局の森元記者に、戦況や人質解放の行方、イスラエルの狙いなど現地から中継で伝えてもらいます。
【FNNパリ支局 森元記者】 「私はガザ地区とイスラエルの境界から1.5キロ離れた場所にいます。この場所に先ほどもハマスからロケット弾が飛ばされてきました。ロケット弾が飛来した場合15秒で飛んできますので、その場合、すぐにシェルターに避難しますのでご了承ください。後ろに見えるのが、ガザ地区北部になります。先ほどドーンという大きな音とともに、黒い煙があがりました。そしてひっきりなしに銃撃の音や、砲撃とみられる音が続いていて、激しい地上作戦が継続されていることがここからでもよくわかります」
その様子というのは時間を置かないで、よく起こりえることなんですか?
【FNNパリ支局 森元記者】 「そうですね、砲撃や銃撃の音はずっと響いているような状況です。そして大きな煙が出るよう、そういった状況は今日はあまり見られはしないんですけれども、先ほど1回そのような状況がありました。他にも、頻繁ではないんですけれども、時々ハマスの方から、ロケット弾が飛んでくるという緊張したような場所になります」
■イスラエル軍の目標はハマスの最高幹部ヤヒヤ・シンワル氏
ガザの避難民だけではなく、ハマス側に拘束されている人質の状況というのも非常に心配です。 イスラエル軍によりますと、これまでに110人は解放されましたが、いまだに138人がハマス側に拘束されています。 ハマスは女性の人質について追加解放を拒否していて、イスラエルのネタニヤフ首相は「人質全員を帰国させられる可能性はない」と発言しました。 人質の解放、どこまで進むのでしょうか?
【FNNパリ支局 森元記者】 「ネタニヤフ首相の発言については、人質の家族から非常に大きな反発がありました。イスラエル軍は人質救出が最優先事項として、作戦と外交努力のいずれも行っているんですが、ハマスの殲滅に重きを置いているような印象をインタビューでは受けました。イスラエル軍は『作戦は地上の人質の存在を考慮に入れている。意図的に危険にさらしたりはしない』としていますが、イスラエルのメディアによると解放された人質は、『拘束されていた場所のすぐ近くで爆発があって、イスラエルに殺されるのではないか、怖かった』そのように話していたそうです。人質にとってのこの2カ月というのは、本当に長く苦しい終わりの見えない期間だと思います。解放された人質は音を出さずに泣いて、音を出さずに笑うそうです。とにかく一刻も早い人質の救出が望まれます」
そういう意味でも人質の方は解放された後も、苦しい日々を強いられているのです。
■武力衝突の終わりは見えてきているのだろうか
戦闘開始から2カ月で多数の犠牲者が出ていますが、武力衝突の終わりは見えてきているのでしょうか?
【FNNパリ支局 森元記者】 「アメリカメディアは政府高官の話として、現在のような大規模な地上作戦というのは、2024年の1月までには終了して、その後は、ハマスの戦闘員らに的を絞った作戦に移行するのではと伝えられています。イスラエル軍の広報官は国家の安全保障のためにもハマスの幹部だけではなく、ガザを統治するハマスそのものを排除する必要があると話しています。ただ今回ガザの中では非常に多くの子供が犠牲になっています。今後、憎しみの連鎖が続いていくかもしれず、そういう意味では、「終わり」というのはどこにあるのか、先が見えない状況です」
とにかく今のような市民が犠牲になる戦闘は1日でも早く終わらせる必要があります。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月7日放送)