国が初めて、飲酒に関するガイドライン案を作成する方針だということです。 「減酒」をどこまで「厳守」すべきなのか?この飲酒ガイドライン案の作成にも関わっている、筑波大学の吉本尚准教授に聞きます。
■1日の純アルコール量は男性40g、女性20g未満
ガイドライン案では、生活習慣病リスクを高める飲酒量として「純アルコール量」をもとに考えられていますが、1日男性40g以上、1日女性20g以上だとリスクが高くなるということです。このような数字が初めて示されました。 さらに1日の量が60gを超えた場合は、急性アルコール中毒やけがのリスクも高まると指摘されています。
【筑波大学 吉本尚准教授】
「普段飲まない方でも、60gを超えるとけがなどのリスクが増えるということが分かっています。そういう飲み方をしない人と比べると、10倍ほどけがをしやすいと言われています」
酔っぱらってけがをしてしまうリスクが高くなるということです。
■このガイドラインは厳守するべきなのか?
今回のガイドライン案では、飲酒量の基準とともに飲酒のリスクについても示されました。 アルコール性肝疾患つまりアルコールによる肝硬変の死亡件数ですが、年々、右肩上がりで増えているのが分かります。 そしてさまざまな病気の発症リスクもあります。
発症リスクと純アルコール量ですが、脳梗塞は男性で週300g、女性は週75gで発症リスクが高くなってきます。 食道がんは男性は少量でもリスクは高まり、乳がんは女性だと週100g、胃がんは男性は少量でもリスクは高まりますし、女性は週150g。高血圧というのは少量でも発症リスクが高まるというこです。 お酒というと肝臓のイメージがありましたが、こういった病気の発症リスクを高まるのですね。
【筑波大学 吉本尚准教授】
「アルコールによる疾患リスクが200以上の疾患があると言われておりますので、食道がんや乳がん、胃がん、高血圧などは代表的なものです」
「酒は百薬の長」で少量の酒はいいと言われていましたが、そういうものでもないということなんでしょうね。
【筑波大学 吉本尚准教授】
「少量飲酒、少なく飲む飲み方をした時にどういうリスクが高まるのかという研究が、すごく進んだということもあります。以前のような、百薬の長だけではなくなっているということです」
■上手なお酒との付き合い方
どのようにお酒と付き合っていけばいいのでしょうか?
・すきっ腹で飲まない。
・チェイサーやノンアル飲料を挟む。
と示されました。 飲む量も、飲み方にも気を付けた方がいいということですね?
【筑波大学 吉本尚准教授】
「そうですね。空腹だと、お酒が進んでしまうということがありますので、何でもいいので少しお腹に入れておくということが必要かもしれません。そしてチェイサーとかノンアルコール飲料が今はたくさんありますので、そういったものをうまく使うとお酒の量が減りやすい、スピードが速くなくて済むと言われています」
チェイサーは水がいいですか?飲むタイミングはいつぐらいがいいでしょうか?
【筑波大学 吉本尚准教授】
「チェイサーは何でもいいですね。ソフトドリンクと言われているもので水、炭酸水など、いろいろなものでいいと思います。タイミングはお酒とお酒の間に入れると、スピードが少しゆっくりになって健康のためにはいいですね」
さらに、こんな考え方をオススメされています。 「休肝日ではなく、休脳日という考え方を!」 休肝日はよくききますが、どういうことなんでしょうか?
【筑波大学 吉本尚准教授】
「飲まない日を作るっていうのは、昔から休肝日と表現をされておりましたけれども、実は休まるのは肝臓だけではなく、全身のいろいろな臓器が休まります。その中でも脳を休めようという考え方が、すごく大事だと言われています。お酒飲むと楽しいので、楽しいことをどんどん繰り返したい、そういったことをやると脳がもっと欲しいもっと欲しいと命令を出して、どんどんお酒の量が増えてしまいます。それを休ませるということが大事です」
■お酒の種類よりは含まれる純アルコール量が重要
視聴者からLINE質問がきています。
‐Q:飲むお酒の種類によってリスクは変わりますか?
【筑波大学 吉本尚准教授】
「多少変わりますが、研究者の中では、お酒の中に入っている純アルコール量がリスクの1番大事なところと言われております。純アルコール量を意識するといいかなと思います」
これからの時期、飲酒の機会が増える方もいるかと思いますが、お酒との上手な付き合い方がこのように具体的に広がるということが大事だと思います。 純アルコール量が目安になるということを覚えておいていただきお酒を楽しまれてください。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月24日放送)