■「ドキドキするような試合。当社の予想とちょっと違った展開」
白熱する日本シリーズ。第3戦ではオリックスが勝利し、オリックス2勝、阪神1勝となりました。今後の両チームの勝利のカギは何なのか?阪神で“不動のショート”として活躍された鳥谷敬さんに聞きました。
ここまでの3試合を見て、どんな印象をお持ちですか?
【鳥谷敬さん】
「両チームともピッチャーが良いので接戦になるんじゃないかと思っていたら、1戦目、2戦目が8対0でした。そして3戦目は5対4と僅差で、私は球場にいたのですが、本当に見ている方がドキドキするような試合でした。当社の予想とはちょっと違った展開になっていると思います」
■第3戦 “宗選手のヒット”と“宇田川投手の三振”がポイント
きのうの第3戦を振り返ります。2回に阪神が先制しましたが、その後オリックスが5得点で逆転。7回に阪神は3点を返し1点差にまで詰め寄ったものの、5対4でオリックスが勝利しました。 鳥谷さんが第1のポイントにあげたのが、「5回オリックスの攻撃、宗選手の日本シリーズ初安打、貴重な2点タイムリーツーベース」です。
【鳥谷敬さん】
「宗選手は2試合ヒットが出なかったんです。5回は阪神のミスがあった中で、2点タイムリーはチームとしても非常に大きいですし、宗選手にヒットが出たということも非常に大きく、この回の3点は試合の流れがオリックスに向かう、そういったヒットだったと思いますね」
「(5回の宗選手)バッターとしては調子も悪くて、2ストライクまで追い込まれて条件が悪かったのですけど、そこで1本が出た。宗選手の活躍は、阪神としては怖いですね」
第2のポイントが、「8回阪神の攻撃、2アウト2塁、一打同点の場面。オリックス宇田川投手が阪神木浪選手から三振」という場面です。
【鳥谷敬さん】
「1塁があいていたので、木浪選手を歩かせて次のバッターと勝負でもよかった、勝負を避けてもよかったんです。木浪選手は3本ヒットを打っていて調子もよかった。でも宇田川投手と木浪選手のパワーバランスで勝負を選択するんです。ここを抑えることで9回の阪神の打順が9番から始まることもあって、オリックスベンチの采配は完璧だったんじゃないかと思います」
これはベンチからの指示なのでしょうか?
【鳥谷敬さん】
「投手本人に『そのバッターと次のバッターどっちと勝負しやすい』などと聞く場合もあります。ですがこの場面、木浪選手が出ると逆転のランナーになることもあって、全体的なバランスを考えて、中嶋監督はキャッチャー出身ならではの判断で勝負を選んだのが、きのうの試合でポイントになったと思います」
■阪神はプレッシャー オリックスはリラックス?
阪神がシーズン中にはあまりなかったミスをする場面が見られています。日本シリーズではあることなのでしょうか?
【鳥谷敬さん】
「3戦目なので、緊張というのはあまりないと思います。ただオリックスは3年連続日本シリーズ出場で、阪神はいつぶりだっけ。日本シリーズを経験した選手がほぼいません。そういう意味でプレッシャーもあったり、独特の球場の雰囲気もあったと思います。きのうの甲子園球場、阪神ファンばかりかと思っていたら、ヒーローインタビューしたらオリックスファンが意外なぐらい結構いたんですよ。見た目は阪神ファンばかり見えるんですが、実はいるんです。いつもの甲子球場とは違うので、阪神としてはやりずらさがあると思います。打開策はあるなら教えてほしいですね」
関西ダービーで異様な熱気があり、選手に届く歓声も違うのでしょうか?
【鳥谷敬さん】
「プレッシャー相当あると思うんですよ。しかもタイガースとしては負けていて。有利な展開だとまた違うんですけど、きのうは追っていかなきゃいけなくて、球場の雰囲気も変わってくるので、プレッシャーもあると思いますね」
オリックスの球団公式インスタグラムが話題になっています。宮城投手、山本投手らが試合前に“甲子園カレー”を味わっている姿を投稿しているんです。日本シリーズの試合前にリラックスしていて、バタバタした感じが見えないんですね。
【鳥谷敬さん】
「きのうの試合前の練習では、オリックスは甲子園でほとんど投げたことがないピッチャーが多いので、マウンドに集まって中継ぎのピッチャーとかがマウンドの高さを確認してるんですよ。それが楽しそうに確認しているんです。オリックスの選手はこの雰囲気を楽しめるんだなと感じました。楽しむ方が有利ですね」
「オリックス先発の東投手も投球乱すことなく、初回からガンガン行ってました。そのあたりオリックスのほうが、リラックス感がありますね」
球団公式インスタグラムにこのような投稿をする広報もすごいですよね。ハッシュタグは「#モグモグタイム」でした。
【鳥谷敬さん】
「からくりがあって、投げ終えている先発ピッチャーなんですよ。きのうスタメンの選手がこんな投稿していたら『ウッ!』ってなるんですけど、周りの空気も悪くならないように、うまいこと選手を出しているんです」
■ポイントになる選手 阪神・大山選手、オリックス・宗選手
ますます熱くなっている日本シリーズですが、今後ポイントとなる選手として、阪神・大山選手とオリックス・宗選手を、鳥谷さんはあげています。
【鳥谷敬さん】
「阪神は1番近本選手、2番中野選手の状態が非常にいいです。きのう3番森下選手も2本打ちました。非常につながってきているので、それを返す4番大山選手というところが今後得点を取るポイントだと思います。いい当たりもしているんですけど、やっぱり選手としてはヒットになってくれないと気分的に上がっていかないので、ランナーが出て返せなければ返せないほどプレッシャーになってくるので、今日の試合のいいところで打てればチームとしても乗っていくと思います」
「宗選手はきのう2点タイムリーがありましたが、オリックスの打線では3番森選手、4番はきのうホームランを打った頓宮選手と後ろのバッターが非常に調子が良いです。阪神とは逆で、オリックスは後ろの調子が良いバッターに、宗選手たち前のバッターが塁に出て点数にする形がほしい。タイガースとは逆に、先に出る選手たちの活躍がポイントになると思います」
戦略的に今後のカギは「中継ぎ」だと鳥谷さんは見ています。
【鳥谷敬さん】
「阪神の中継ぎはたくさんいます。逆にオリックスはきのうも回またぎしたりしていて、数が少ないです。そうなるとシリーズの後ろにいけばいくほど、中継ぎが疲れてきます。阪神は余裕がある中でやりくりできるので、シリーズの後ろまでなんとか伸ばしていって、中継ぎの豊富さで有利に戦っていくのが一つのポイントになるんじゃないかと思います。岩崎投手はまだ投げてなかったりします」
■日本一はどちら?「有利なのはオリックス」と鳥谷さん
やっぱり聞きたいのが、阪神とオリックス、どちらが日本一になるか?鳥谷さん、ズバリお願いします。
【鳥谷敬さん】
「有利なのはオリックスです。1勝リードしていることがあります。それから初戦で山本投手負けましたけど、山本投手と宮城投手がこの後投げられるんですよ。この2人が投げて勝てば、それで4勝になります。もし今日、明日負けても、その後2勝と計算すると現状オリックスが有利なのかなと思います。けども中継ぎのこととかあり、後ろにつないでいくと阪神にも可能性もあります。結局『どっちも』ということです」
どちらにもがんばってもらって、できれば第7戦まで面白い試合を見せてもらいたいですね。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月1日放送)