フリースクール支援は「国家の根幹を崩しかねない」「不登校の責任の大半は親にある」などの発言が波紋を呼んでいる東近江市長。発言の“真意”を説明すると臨んだ、25日の会見で語ったこととは。
■フリースクール支援めぐり…波紋呼んだ発言
25日の午前、時折、声を大きくしながら会見した東近江市の小椋正清市長。
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「傷をつける結果になったから、そのことについて謝る。(発言を)撤回してなんの効果があるのか」
不登校の子供を支えるフリースクールへの支援について、1週間前の発言の“真意”を説明するとした場でこう述べました。
フリースクール支援をめぐり、波紋を呼んだ小椋市長の数々の発言。17日に行われた、滋賀県の知事や県内の首長が集まり、不登校対策について話し合う会議で出たものです。
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「フリースクールといって、良かれと思ってやることが、国家の根幹を崩してしまうことになりかねないくらいの危機感を持っている」
さらに、18日に行われた滋賀県首長会議で「不登校になる大半の責任は親にある」との発言も。
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「親の責任は大きいですよ、それは私の感覚的なもの」
■発言の背景に…国の方針への疑問
国が、2023年3月、不登校の子供に勉強や、社会とのつながりなど多様な「教育」を提供するフリースクール支援する方針を打ち出したことを、小椋市長は疑問視していました。この発言の背景には…
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「(フリースクールは)教育になってない。言い方悪いけど、遊んでいるみたいな。安易なんです、一言で言えば。『僕もフリースクール行きたい』と言ったら、義務教育というカテゴリーが雪崩現象を起こして、教育がおざなりになってしまう」
これらの発言に対し、全国から批判の声が届くとともに、フリースクール側が発言撤回と対話を求める事態に。24日、小椋市長は取材に応じてこう述べました。
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「私が言いたかったのは制度の問題で、それはしっかりと説明させていただけたら。謝罪する必要が何であるの?だから、フリースクールやっている人、(子どもを)送っている親御さんに誤解を与えるように伝わった、それについては舌足らずであったと申し訳なく思っている。そういう言い方はしましたよ」
–Q:それはイコール謝罪ではない?
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「違う。全然違うだろ。(Q:発言の撤回は?)それは、全く考えていない」
■フリースクールに対する考え方は変えず
そして、25日の会見を迎えました。その中で小椋市長は…
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「私の配慮の足りないワンフレーズで伝わってしまった。これは深く反省して謝罪したい」
フリースクールについては…
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「『フリースクールが果たして義務教育を補完するという役割を持っているのか』という疑問が始まりです。学校へ行くことそのものに嫌悪感を感じる人は、民間の居心地の良いところに流れてしまう」
フリースクールに対し、考えを変えることはありませんでした。本当にそうなのでしょうか。
■フリースクールは学校以外の“居場所”
大阪・泉佐野市のフリースクール「キリンのとびら」。生徒それぞれの状況に合わせて、学習だけでなく運動などの課外活動にも取り組んでいます。
【「キリンのとびら」水取博隆代表】
「午前中は学習の時間があって、お昼休憩があって、昼からアクティビティーがあって。昼から子供たちがすっと遊んでいるような場所ではなくて、一個一個に意味がある」
【「キリンのとびら」に通う中学3年生】
「学校全く行ってなくて、家にずっと居たときは、結構マイナスな気持ちばっかりだったけど、今は家に居てもここのことを考えて、『みんな何してるやろう』って。あんまり気負わなくていいというか、安心できる」
【「キリンのとびら」水取博隆代表】
「必要なのは、義務教育施設の補完施設であるフリースクールではなく、学校以外の居場所、学校以外に選択できる場所だと思う」
日々、子供たちと向き合うフリースクール。
■「市にはフリースクールがない」と市長 実は2つあることを知らず…「すみません」
一方、会見で小椋市長に投げかけられたある質問。
–Q:フリースクールの現場は行ったことあるか?
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「ありません。実は、東近江は支援してないんだけど、支援する必要がないからしていないんじゃない、(施設が)ないからしてないんですね。そういう理解をしている」
その時、小椋市長に職員がささやきます。
【滋賀県東近江市・小椋正清市長】
「2つあるって、教育委員会。これは私の勉強不足、認識不足。すみません」
いま求められている、“多様な”教育。市長の目にはどう映るのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月25日放送)