京都府で、全国的にも珍しい取り組みが始まりました。それは民間企業と連携した「若年性認知症」の患者が働く場の提供。現場を取材しました。
京都府向日市で10月3日から開設された、「OTOKUNIシゴトバ」。洗濯物をたたむ仕事に取り組むのは、「若年性認知症」の患者です。
認知症は、65歳未満で発症すると「若年性認知症」とされます。体力面ではまだまだ働ける年齢ですが、判断力の低下などにより、発症後に退職を余儀なくされるケースも多くあります。
そんな中で京都府は、介護施設ではなく、若年性認知症の人たちが、さらにやりがいを持って働ける場所をつくろうと、地元のクリーニング会社と共同でこの「シゴトバ」を開きました。
【京都府こころのケアセンター 木村葉子さん】
「病気のために今までしていた仕事が続けられなくなったり、(仕事を)したいと思っても見合った仕事がなくて困っている人がたくさんいる。民間の企業だとやった分だけ対価が得られるやりがいにもつながっている」
このシゴトバで、熱心に仕事に取り組む58歳のAさん。2022年6月に、若年性認知症と診断されました。
【若年性認知症患者Aさん(58)】
「東京でサラリーマンしていました(※現在は休職中)。営業ですね。こういう状況ですから仕事できないです。お客さんとお話しないといけないですから。営業なのでまったくできないですね」
今回、京都府からの紹介を受けて参加したAさん。「シゴトバ」は、仕事場として、また、同じ境遇の人たちと自由に話せる場としても、有意義なものとなったようです。
【若年性認知症患者Aさん(58)】
「怖くなかった?」
【若年性認知症患者の男性】
「怖いというのはなかったけど、弟から言われたのは『お兄ちゃん、前を向いていくしかないやんか』と言われた」
今後も仕事を続けていきたいという、Aさん。
【若年性認知症患者Aさん(58)】
「人生まだまだ長いですから、それなりにいろいろ勉強して、働ける間は働けるようにがんばろうと思ってます」
認知症でも働きたい…その思いを社会がどう受け止めるのか、考える必要がありそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2023年10月3日放送)