■「アレ」「お~ん」「そらそうよ」岡田語録のすごさ
「アレ」とか「お~ん」といった独特な岡田語録が話題になりました。球界最年長の監督の何がどうすごかったのでしょうか。
17年間、優勝から遠ざかっていたチームを就任1年目にして「球団最速V」へと導いた岡田彰布監督を象徴する言葉といえば…
【阪神タイガース 岡田彰布監督 2022年10月就任会見】
「ずっと優勝は“アレ”しか僕は言っていなかった」
優勝を意識し過ぎないために、1年間、優勝という言葉の代わりに使い続けた“アレ”。チームスローガンにも起用しました。 選手たちも…
佐藤輝明選手
「みんなやっぱり、“アレアレ”言っています」
中野拓夢選手
「“アレ”という所に向かって」
大竹耕太郎投手
「“アレ”できるようにがんばりたい」
合言葉として浸透し、チームとファンの一体感を生み出しました。
そんな岡田監督について選手たちは…
青柳晃洋投手
「本当に監督と選手が密にしゃべっているのを僕は見たことがないです」
佐藤輝明選手
「お話したりがそんなになくて、メディアやコーチを通じてコミュニケーションを取るのが多いんで…」
選手とはほとんど話さず、間接的に教え子にメッセージを伝えてきた岡田監督です。例えば、試合後の監督インタビューで、
岡田監督
「打席に立ったもんがボール球ばっかり振ってね、だからこんな苦しい展開になった」
カメラの前であえて厳しいコメントをして選手に届ける、“岡田流”コミュニケーションです。これを選手も理解し、日に日にチームの絆が深まっていきました。 優勝を決める前日には…
岡田監督
「あした(の先発)は誰だ、才木か。おーん。まあ力み倒すだろうな」
その言葉を目にした才木投手は、気迫の投球で見事、優勝決定戦の勝利投手になりました。
(Q.前日に岡田監督が「力み倒すだろう」と言っていたが?)
才木浩人投手
「しっかり文字通り、力み倒した。岡田監督、大好きです」
選手もファンも岡田監督を信じ、歴史的な快進撃を続けてきたタイガース。次に見据えるのは38年ぶりの日本一です。
■岡田監督は“アレの次”を募集中
優勝を決めた後のインタビューで、岡田監督は、「“アレ”を決めたんは優勝までだったんでね、日本一は決めていないんですよ、言葉をね。だからもしいい言葉があったら、また教えてほしいと思いますね」と、“アレの次”を募集すると話しました。 阪神のスペシャルアンバサダーを務めている糸井嘉男さんですが、どんな言葉がいいと思われますか?
【糸井嘉男さん】
「もう決まってるんじゃないですか。“コレ”か“ソレ”かどれでしょう?」
■「暗語」の力 言語心理学の専門家が“アレ”を大絶賛
「アレ」を旗印に優勝に導いた岡田監督の「言葉」を専門家に分析してもらいました。 言語心理学が専門の東京工科大学の榎本美香准教授は、「“アレ”という言葉のすさまじさ」を大絶賛しています。特定の人同士だけが通じる言葉を「暗語」というそうです。
「同じ目標に向かうチーム内でこの暗語を巧みに使うことで、一体感だけでなく親密感も強まる。さらにメディアにユニークさを交えて話すことで、日本中の阪神ファンの一体感を生んだ」と指摘されています。 選手はもちろん、ファンも巻き込まれましたね。
【関西テレビ 神崎報道デスク】
「優勝という言葉が禁句になるぐらい、私たちもテレビでしゃべる時に必ず言い換えるようにしていましたね」
さらに榎本准教授は、岡田監督は「選手ファースト コミュ力の策士」だと指摘しています。岡田監督は、基本、直接選手に言わずにメディアを使います。これは「評価や指摘は直接本人に伝えるより、第三者から伝わるとより浸透する。メディアに公表する=監督の公式見解になり、言葉に対して責任が生じる。選手は、客観的に冷静に受け取れる」と指摘されています。
「すてき」って直接言われるよりも、「『すてき』って言われていたよ」と周りの人から言われた方がうれしかったりしますよね。 岡田監督の言葉の力を、糸井さんはどうご覧になりますか?
【糸井嘉男さん】
「優勝を決めた14日のインタビューとか、ビールかけの前もすごいユーモアがあると思いましたし、本当にみんなに一体感を持たせるのが上手やなって思いましたね。ミエちゃん(ミエセス選手)に『成績に見合った暴れ方してください』とかね」
■クライマックスシリーズ 「勝てます」と糸井さん
ここで関西テレビ「newsランナー」視聴者からの質問です。
「Q.クライマックスシリーズは勝てますか?」
【糸井嘉男さん】
「勝てます。どんだけ信頼できるか皆さん知ってますね」
「(優勝が決まったのが早過ぎて緊張感が途切れないか心配ですが)短期決戦の難しさはそういうところにもあるんですけど、やはり今のタイガースの強みというのは投手陣です。短期決戦で重要なのはやっぱり投手陣になるので、問題ないなと僕は思っています」
「Q.クライマックスシリーズのキーパーソンは?」
【糸井嘉男さん】
「特にあげるなら、近大の後輩である佐藤輝明選手です。この8月、9月の優勝を決める大事な月でこれだけ活躍しているので。きのう、おとといとホームランを打ってますし 、彼が打つと本当に勝つんで キーパーソンだと思います」
クライマックスシリーズを勝ち進んで、関西のファンとしてはオリックスとの日本シリーズを期待したいところです。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年9月15日放送)