大学1年の時に未婚のまま出産したシングルマザー 子育て支援施設「PORTO」設立にかけた思い 『子育て中だからできない、子どもが小さいうちは我慢』そんな思いを減らしてあげたい 子どもも親も楽しめる空間を提供 2023年08月17日
子どもができると「我慢しなければ」といろいろ諦めてしまう親がいる中、子育てしながら子どもも親も楽しめる空間が話題になっています。一体、どんな所なのでしょうか?
■子どもも親も楽しめる おしゃれな子育て支援施設「PORTO」
ハンモックやすべり台が置いてあり、青を基調にした遊び心があるおしゃれなカフェで、子どもたちがのびのびと自由に遊んでいます。
実はここ、神戸市にある子育て支援施設「PORTO(ポルト)」。利用料は1時間900円からです。親子で遊んだり、保育士もいるので子どもを一時的に預けることもできます。
一般的な児童館と大きく異なるポイントは、“親も過ごしやすい空間”になっていて、子どもたちが楽しめるだけでなく、親も「自分の時間」をつくることができます。
【3歳の子どもを持つ利用者】
「一緒に関わってくれる人が多ければ多いほど精神的に楽。子どもも家で1人でずっと遊んでいると退屈だと思うので、場所を変えて同じ年ぐらいの子どもやお兄ちゃんお姉ちゃんと遊んでいるのが楽しそう」
【2歳と0歳の子どもを持つ利用者】
「保育士だったり幼稚園の先生がいるので、子育ての聞きたいことも聞けるし、仕事や夫婦関係の大人の話もできるし、両方が実現できる場所だと思います」
中にはこの時間を利用して自分磨きに励む人もいます。
【3歳と1歳も子どもを持つ利用者】
「資格を取る勉強がメインですね。この1年で資格自体は取れる想定なので、副業で自宅とかで教室を小さく開けたらいけたらいいなって」
■親が子育てで疲れている状態は良くない シングルマザーの強い思い
この施設をつくったのは、ラヴィベル代表の佳山奈央さん(31)。実は、佳山さんは小学6年生の息子を持つシングルマザーです。佳山さんが大学1年生だった19歳の時に、未婚まま出産しました。
この子育て施設をつくろうとした並々ならぬ思いがあります。
【ラヴィベル・佳山奈央代表】
「長女で、みんな年子で一番下は双子で生まれつき車いす乗っていてみたいな4人姉妹で、母もシングルマザーで『あなたたちがいるから、いろいろ私は諦めている』っていうような感じのことを、多分何気なく言っていることもあって。(子どもが)自分の存在を否定したくなるぐらい、親が子育てで疲れている状態は、実は子どもにとってマイナスなんじゃないかな」
佳山さんが、2011年に19歳で出産した時に決めたことがあります。
【ラヴィベル・佳山奈央代表】
「『あなたを学生の時に早く産んだから、やりたいことができなかった』って絶対言わないでおこうっていうのが自分の中ではあって。『あなたをあの時に産んだから私は人生すごく色々広がったし頑張れたし、楽しかったよ』っていう風に、後から言ってあげられるようにしたい気持ちが、すごく私の中では強くて」
■夜になるとバーに…子育て中でも純粋にお酒を楽しみたい
午後6時になると、施設内にズラッとワイングラスが並びます。実はこの子育て支援施設「PORTO(ポルト)」では、夜になるとバーになります。
子育て中の親たちにとって、家の外でお酒を飲む機会はかなり限られていますが、こちらでは、「子どもがいながらにしてお酒が飲める」そんな空間をつくっています。
【2歳8カ月の子どもを持つ夫婦】
「インスタ(投稿)の『子育てしながらワインが飲みたい』っていうそのままの気持ちだったので、前日に『飲みたい!』と思って。(普通の居酒屋は)『子育てしていない人はうるさいと思うかな』とか、そっちの方にアンテナを張って、純粋にお酒を楽しめない」
【3歳の子どもを持つ夫婦】
「(子どもが)遊びたがりなので、ゆっくり飲めない。『食べてすぐ帰ろう』みたいな感じだもんね。ここだったら(子どもが)遊ぶ場所もいっぱいある」
子育てしている親にとって、「我慢しなければ」、「諦めるしかない」という思いを、佳山さんは少しでも減らしたいと考えています。
【ラヴィベル・佳山奈央代表】
「子育てを機にできなくなってしまったことや子どもが小さいうちはちょっと今は我慢というか仕方ないよねって思っていることに、『それもできますよ』と選択肢を提示する。もっと自分のための時間を持って、『自分のことを大事にしていいんですよ』と言ってあげたい」
子育て支援施設「PORTO(ポルト)」…佳山さんはこれからも子どもも親も幸せになる子育てを目指しています。
(関西テレビ「newsランナー」8月16日放送)