「退職金」や「通勤手当」も課税・増税の対象に? 議論が進む"サラリーマン増税" 現役世代からは「老後のプランが変わる」 雇う側の企業は「人材流出につながる恐れが…」 2023年07月26日
退職金や通勤手当などへの課税いわゆる“サラリーマン増税”が今、議論を呼んでいます。
岸田総理は25日「全く考えていない」と否定しましたが、今後この議論はどのように進んでいくのでしょうか。
■ネット上で大きな議論を呼んでいる「サラリーマン増税」
【自民党・宮沢洋一税制調査会長】
「総理からは、自分がまったく考えていないサラリーマン増税うんぬんといったような、一部マスコミの報道があると」
25日、政府の税制を実質的に決定する自民党の宮沢洋一税制調査会長にこう話した岸田総理。
今、ネット上で大きな議論を呼んでいる「サラリーマン増税」について、打ち消した形です。
そもそもこの議論は6月30日、首相の諮問機関が中長期的な税制のあり方について答申した内容が発端でした。
その中で注目されたのが、「通勤手当」や「退職金」などについて課税や増税の対象にすることを検討すべき、という提言。
会社員にまつわる税金が対象になっていることから「サラリーマン増税」といわれています。
例えば「退職金」について。現在の制度では勤続年数が20年までの場合1年につき、40万円の控除を受けることができます。
これが20年以降になると、控除額が1年につき30万円増額し70万円の控除を受けられます。
答申ではこの部分について「勤続年数で控除額を変えない」ことを検討する必要性を指摘しているのです。
当事者となるサラリーマンは…
【60代男性】
「通勤手当、近い人と遠い人で税金が変わるっておかしな話や。会社行くのは一緒なんでね」
【40代男性】
(Q.退職金増税について)
「老後のプランが変わる。頼りになるのは退職金なのでそこから減らしちゃうと、働く楽しみも減っちゃう」
■サラリーマンを雇う”会社側”も懸念
こうした声が上がるなか退職金を増税することを「会社側」も懸念しています。
この会社の退職金制度は勤続年数や役職・勤務評価に応じて、1年間で従業員が”退職ポイント”を獲得する仕組みになっていて、勤続年数が長いほど退職金が増えていきます。
40年働けば、退職金は1000万円ほどになるといいます。
【理化工業・森嶋勲社長】
「できるだけ長く働いた人にはそれだけ多くの退職金を払えるようにしたい。それが少なくなってしまうのは、すごく残念」
【従業員は】
「正直痛いっすよね。金額が減るっていうのは」
【従業員は】
「いろいろ考え直していかなあかんのかな。どこまで減るのかもわからんし不透明な部分が増えるので」
労働環境を流動的にし、労働市場をより活性化させることが、答申の狙いとみられていますが…
【理化工業・森嶋勲社長】
「人材の資源が少ない中小企業において、流動化が進むというのは人材流出という意味では大変だと思う」
2022年度の日本の税収は、およそ71兆円と3年連続で過去最高となったなかで、議論を呼んでいるサラリーマン増税。
今後、議論はどんな方向に進んでいくのでしょうか。