"観光客だけ"バス運賃値上げ? 京都市が国に要望書を提出 住民の運賃と“差別化”で「赤字脱出」…そして“ぎゅうぎゅう”市バスの「混雑緩和」狙う 2023年06月06日
観光客が増えて観光公害に悩む京都市が市バスで驚きの一手です。「観光客の運賃を住民よりも高く」、そんなことも視野に入れた制度の導入を国に申し入れました。
■ バスの運賃の”差別化”を要望 狙いは?
京都市は6月5日、市バスを利用する観光客の運賃を市民よりも高く設定することも視野に入れた制度の構築を求め、国土交通省に要望書を提出しました。
背景にあるのは、新型コロナの影響です。京都市交通局では、3年前から市バスや地下鉄の利用客が減少し、大幅な赤字が続いています。
市はこれまでもバスや地下鉄の「廃品」をオークションに出すなど、経営改善に取り組んできましたが、観光客の利用が多いバスの運賃を上げることで、さらなる増収を期待しています。
さらに、もう一つの狙いが、”混雑の緩和”です。
コロナの感染が落ち着いたことに加え、700円で1日乗り放題というお得なチケットの影響も重なり、閑散した状況から一転、バス停は長蛇の列ができ、車内も”ぎゅうぎゅう”の状態に。
市は「観光客の運賃が上がれば混雑が緩和し、市民が利用しやすくなるはず」と期待していますが、利用者からはさまざまな声があがっています。
【京都市民】
「(運賃は)一緒でいいんじゃないのかと思います」
【横浜からの観光客】
「地元の人が困っちゃうのも気になる。(値上げは)しょうがない」
【京都市民】
「地元と観光客どうやって区別するの?私にはわからない」
【岡山からの観光客】
「値段が高くても利用する方は絶対利用するだろうし、観光におけるバスは景色を見ながらいくというのでマスト。必ず必要なもの」
地元の人だけでなく、観光客にとっても大切な移動手段になっているバス。京都市の門川市長はあくまでも運賃改定は「混雑の緩和」が1番の目的だと強調します。
【京都市・門川大作市長】
「市民生活と観光、この両方の快適度を高めていく。料金に差をつけることが目的ではなく、どうしたら混雑を回避できるかという方策の一つ」
―Q:観光客から多くお金を取りたいという狙いではない?
【京都市・門川大作市長】
「全く違います」
■観光客と市民をどう区別する?
京都市によると、このような試みは全国で初だということです。「観光客と市民をどうやって区別するのか」について、市に聞きました。
あくまで市がイメージとして検討しているのが、「マイナンバーカードとひもづけされた交通系ICカードの導入」と「観光地行きの路線では観光に特化した専用バスを別に走らせる」という方法です。
市は観光客と市民との区別はできると考えていますが、値上げ幅や実施可能かも含め、国と調整したいとしています。
運賃の改定に様々な課題がある中、市民と観光客の双方が納得する形に着地できるのでしょうか。
(2023年6月6日 関西テレビ「newsランナー」放送)