【解説】5類になれば何が変わる? 医療費の自己負担発生で「受診控え」を専門家が懸念 第9波の懸念の中での移行は 感染症専門の医師に聞く 2023年05月05日
来週からは、新型コロナの位置づけが、「インフルエンザ」と同じ「5類」となりますが、「第9波」が来るという懸念の声も上がっています。
5類になると何が起きるのか? 新型コロナの治療を続けている感染症の専門家、葛西医院の小林院長に話を聞きました。
―Q:感染者が増える中で5類移行をどう思いますか?
【葛西医院・小林院長】
「今後ウィズコロナを迎えるにあたって、5類は通らなければならない道なので、我々はそこに向かって準備を進めていくのは必要なことなのではないかなと思います」
■ 今の感染状況は?
全国の感染者数の推移ですが、週ごとの感染者の合計が、4月1週目から4週目では、2万人以上増加しています。
―Q:感染者の増加は、実感されていますか?
【葛西医院・小林院長】
「急激な増加の実感はないですが、発熱外来や往診は少しずつ増えてきています」
―Q:次の波に向けた対策の進み具合はどうでしょうか?
【葛西医院・小林院長】
「2月から準備を進めていますが、増えるタイミングがはっきりわからないので最悪を想定しながら最善の準備を進めています」
今、主流の新型コロナは、XBB1.5という株です。厚労省のアドバイザリーボードによりますと、44.3%この株に置き換わっています。
感染力は、比較的強く、症状は、激しいせき、頭痛・腹痛などですが、軽めだということです。そして、ワクチンに関しては、免疫をすり抜ける可能性が高いということです。
―Q:診察していて患者の症状はどう感じていますか?
【葛西医院・小林院長】
「症状の差を実感できるほどのものではありません。のどが痛い、咳が出るなどの一般的な症状が出てくると認識してもらえたら」
―Q:ワクチンを打っている人も感染しやすい?
【葛西医院・小林院長】
「そうですね。過去にも変異株が出現するたびに、免疫をすり抜けることが出ています。ただワクチンの効果が一定程度残っているのは確実なので、高齢者やリスクの高い方は引き続きワクチンの接種をお願いしたいです」
■ 5類に移行でどう変わる?
新型コロナの扱いは、これまで2類相当でしたが、これからは、インフルエンザと同じ5類になります。
医療費は、これまで無料でしたが、これからは、自己負担で3割負担の場合およそ4千円となります。
受診は発熱外来や指定病院に行く必要がありましたが、全ての医療機関で受診することができるようになります。
ワクチンの無料接種は、来年3月まで無料が決定していますが、それ以降については、決まっていません。宿泊療養は、大阪で3684室確保されていますが、宿泊療養自体が終了となります。
―Q:無料だった自己負担が4000円ほどかかるようになりますが、医療現場に影響は考えられますか?
【葛西医院・小林院長】
「若い方を中心に自分が多少の症状があっても4000円も費用がかかるのであれば、治療をやめておこうという受診控えが起こる可能性が高いです。対策として自分で解熱薬や抗原検査キットを持っておくなどができます。ただ、周りにリスクが高い方がいれば、医療機関受診の閾値を下げてもらう方がいいと思います」
―Q:家庭内感染も心配ですね?
【葛西医院・小林院長】
「今までは、ホテル療養があったので比較的スムーズに家庭内の隔離ができていました。8日からはホテル療養がゼロになるので、感染者と非感染者が共同して生活することになるので、部屋を分けて隔離をする、食事を準備するときに必ずマスクをして喚起をするなどの準備が必要になると思います」
視聴者から番組公式LINEに質問が来ています。
【LINEの質問】
「50代なんですが、今後もワクチンを打った方がいいですか?」
【葛西医院・小林院長】
「いろんな考え方があると思います。1つは世界的に見てワクチンの接種の推奨度があります。高齢者やハイリスクの疾患がある人は強く推奨されています。特に基礎疾患などがなければ中等度の推奨度となります。家庭の状況や仕事などで感染させてはいけない状況などがあれば変わると思うので、医療機関やかかりつけ医に相談するのが良いと思います」
(2023年5月5日 関西テレビ「newsランナー」放送)