サッカーのFIFAワールドカップ・カタール大会で、23日、日本が優勝候補の一角・ドイツ相手に見事な逆転勝利を収めました。
日本サッカー史上最大ともいえるサプライズはなぜ起きたのか、ドイツW杯日本代表の加地亮(かじ・あきら)さんの解説です。
■森保監督の神すぎる采配
――Q:試合前は「1-1の引き分け」を予想されていましたが、勝ちましたね
【加地亮さん】
「予想は超えるものなので。予想を超えてきた日本代表、素晴らしいです!」
――Q:なぜ後半、逆転することができたのでしょうか?
「ポイントは、森保監督の『ズバズバ代えた神すぎる采配』です。システム変更もそうですが、交代選手が全て当たった。この采配は見事でした」
――Q:実況では『3バックにしたのでは』と言っていましたが、守備の枚数を減らした、ということでしょうか?
「そうですね。4枚を3枚に減らして前線を増やしたというところは、非常にポイントだったと思います。特に長友選手を三苫選手に代えて、より攻撃的に出たいということで、サイドの選手を代える。普段は三苫選手はサイドをやらないんです。もう一つ前のところで使うんですけど、より守備もしなければいけないポジションで三苫選手を使ったというところは意外でした」
――Q:その三苫選手が左サイドを駆け上がって、同点のゴールにつながりましたね
「前線3枚置いて、ワイドに伊藤選手と三苫選手。相手のDFが4枚のところ、5枚で攻撃を仕掛ける。数的優位をつくりながら攻撃できたことが、勝利のポイントだったのかなと思います」
■“ジャガー浅野”の勝ち越しゴール
後半38分、板倉選手からのロングボールを浅野選手が足元で止めて、角度のないところからゴールを決めました。
「後方から来たボールって、一番トラップしづらいんですよ。難易度の一番高いトラップ。これをワントラップでしっかりと前に置けたということと、ツータッチ目でもう一つ前に運んで、DFと競りながら、角度のない、ニアの上しかないところへ」
――Q:ふわりと浮かせて、あそこしかない!というところに入れたんですね
「そうです。こういうコースがない、相手と競っているときというのは、逆に気分が楽なんです。難しいので、決まらなくてもいいっていう」
■1点目の同点弾の裏にも浅野選手?
後半30分、三笘選手が左サイドから駆け上がり、前方にパスを流し込みました。これを南野選手が中央に折り返し、相手キーパーが手で弾いたこぼれ球を堂安選手が蹴り込んで、同点となりました。
加地さんはこのゴールにも、浅野選手が絡んでいたといいます。
「三苫選手から南野選手へとパスが通ったとき、ノイアー選手の後ろに浅野選手が走り込んでいました。この攻めがなかったら、ノイアー選手はあそこには弾かなかったんです。キーパーは中ではなく外に弾くのが鉄則なんですが、浅野選手が目に入ったので、中にしか弾けなかった。そこに堂安選手が詰めていたんです。これは浅野選手が取らせたゴールだったと思います」
■キーパー権田選手のメンタルの強さ
――Q:キーパーの権田選手も、前半でPKを許してしまいましたが、後半で大活躍でしたよね
「PKを与えてしまった後は精神状態も不安定になるんですが、その後の切り替えの見事なこと!精神力の強さ。『前を向いていく』という気持ちで、やるべきことをしっかりと果たしてくれましたね」
■今後の日本戦は…
初戦を勝利した日本は、次にコスタリカと対戦します。コスタリカはスペインに0対7と大敗しているので、楽観的な見方もある中、加地さんは「コスタリカに負けたら、決勝トーナメント進出は厳しくなる」と警鐘を鳴らします。
――Q:3戦目のスペイン戦を考えると、ということですか?
「そうですね。しかもコスタリカはスペインに負けていますから、かなり守備を立て直してくるんじゃないかと。選手の入れ替え、システムの変更というところを、かなり厳しくディフェンスに入ってくると思います。プラス、スペイン戦で得点を取れていない以上、日本に対しては絶対に勝たないといけない。より前に前にアグレッシブに、対ドイツ戦後半の日本の後半のようなかたちで出てくる可能性があるので、日本としてはかなりやりづらいかと」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月24日放送)