ずぼらすぎる主婦の生活や、お手軽すぎる「ずぼら飯」など、今「ずぼら」が大ブーム。
「ずぼら」を肯定的に捉える、新たな価値観を調査しました。
■「文明の利器」で時短調理 作るのは「ゆとりのある時間」
レシピのほとんどが「混ぜる」「つけおき」「レンジでチン」程度のお手軽工程、その名も「ずぼら飯」。
SNSでバズり中の「ずぼらめしじぇーぴー」は、インスタグラムのフォロワーが40万人超えで、レシピ本も発売されるほどの人気です。
【ずぼらめしじぇーぴー 原敦雄代表】
「『ずぼら飯』ということで、帰ってすぐ、どれだけ“時短”で“手軽”で“おいしいもの”ができるかと始めました」
この日、調理の様子を撮影していたのは「大葉と紫蘇の京風飯」です。
【吉原功兼アナウンサー】
「これで出来上がりですか…調理時間3分くらいじゃないですか?私でもできそう!」
ということで、吉原アナもずぼら飯に挑戦しました。
作ってみるのは、「ちくわと三つ葉の玉丼」。まずは、長ネギ、ちくわ、三つ葉をちゃちゃっと切っていきます。
いい加減な切り方でも許されるのが、「ずぼら飯」のいいところ。
あとは、切った食材と溶き卵、めんつゆなど調味料をまぜてレンジでチンするだけ。
あっという間に、ボリュームたっぷりのどんぶりが完成です。
【吉原アナ】
「おいしいです!甘辛い感じ。作るのに8分しかかかってないのに…もはやずぼら飯じゃない。工程はずぼらかもしれないけど、味はずぼらじゃない」
【ずぼらめしじぇーぴー 原敦雄代表】
「“ずぼら”って便利を追及して『どんどん楽になろうよ』っていうこと。電子レンジ・トースターとか文明の利器を有効に使った上での時短料理で、みんなのゆとりのある時間を作れたら」
■本屋に並ぶ“ずぼら本” YouTubeでは「丁寧じゃない暮らし」が100万回再生
「ずぼら」は、料理だけに求められているわけではないようで、本屋をのぞくと…
「暮らし」のコーナーにも、「お金」のコーナーにも、「健康」のコーナーにも、ずぼらをテーマにした本がずらり。
2022年6月に出版された「丁寧じゃない暮らし日記」は、YouTubeで軒並み100万回再生を超えた、ずぼら主婦「もも子」さんの日常を書籍化したものです。
おしゃれなインスタグラマーを目指した時期もあったというもも子さんですが、ストレスがたまるばかりだったそう。
「丁寧な暮らし」とは反対の「丁寧じゃない暮らし」が一番合っているのではないかと思い、あえて、ありのままの日常を発信し始めたんだとか。
【もも子さんのコメント】
「YouTubeのコメントなどでたくさんの方々の共感を得られて、『ズボラは自分だけじゃないんだ』とうれしく思い安心しました。完璧にできなくても無理なく生活できたら、それでいいんじゃないかと私は思います」
■「文明は“ずぼら”から始まる」 SNSや街に広がるポジティブな声
SNSで活躍するはずぼら主婦は、もも子さんだけではありません。
例えば、ずぼら主婦の生活の知恵を発信する「せこ」さんは、企業の目にも留まり、“ずぼらグッズの紹介”などのお仕事にもつながっているそう。
「ずぼら」は良い意味の言葉として捉えられ始めているようです。
街でも…
【30代女性】
「『ずぼら』って良くいうと、“要領よく”、“ポイントを押さえて”、“短い時間で効率を求める”ってポジティブな解釈をしています」
【30代男性】
「『抜いてるとこ抜いてる人やな』って感じで悪い印象はないです。抜くとこ抜かないと人間やっていけないと思うんで…」
【30代女性】
「洗濯は乾燥機を使うとか、洗い物も食洗器を使って。家電を頼る、使えるものは使って時間を確保した方が、子供との時間もいっぱいとれる」
仕事に家事に育児に、時間はどれだけあっても足りません。
「ずぼら」をポジティブに捉える皆さんが、共通して口にしたのが「時間の有効活用」です。
【40代女性たち】
「やりたいことがいっぱい。家のこと以外にも『友達と会いたい』とか『おいしいもの食べに行きたい』とか、『仕事行かなあかん』とか。家のことがあるからって我慢するのは嫌やから、ずぼらして全部したい」
「一生座れへんな、丁寧にしてたら。一生掃除しなあかん」
「ほこりで死にませんから…」
「あんまり根詰めると良くないしね」
「今まで3日でやってたことを1日でやらなあかん時代やから、どっかで手を抜かなあかんよね」
「『文明はずぼらから始まる』みたいな。文明って『これがあったら便利よね』って、逆転の発想だと思う」
■“ずぼらは「褒め言葉」マインド”で幸せに 目指すのは「ご機嫌な暮らし」
2020年5月に発足し、およそ3500人の会員を抱える『全日本ズボラ主婦連盟』の浅倉ユキ会長は、「“ずぼらは褒め言葉”というマインドを持てれば、みんなが幸せになれるはず」だと話します。
【全日本ズボラ主婦連盟 浅倉会長】
「頑張って歯を食いしばるよりも、お互いのずぼらを認めあって笑顔でいられる“ご機嫌な暮らし”を目指すのが重要かなと思う。100人主婦に会ったら100人が『私なんて完璧にできていない』って言うので、実在しない“完璧にできている人”をみんなで夢見て目指して、『自分が劣っている』って勝手にショックを受けているんじゃないかな。実在しない理想像を自分におしつけるのをやめれば苦しまなくて済む、それを端的に表すのが、『ずぼらな自分を認めていいんじゃない』って方向性ですね」
■“ずぼらさん”向け最新家電 カーテンの開閉すら面倒な人に…
ひと昔前と違って、今は“ずぼら”をポジティブに捉える方が増えていますが、そうした中で、“ずぼらをサポート”する家電がたくさん出ています。
例えば、インスタントラーメンを調理するための専用の家電「俺のラーメン鍋」。
ふたを開けると、おいしいラーメンが!
器を洗うのが面倒で、鍋のままラーメンを食べるずぼらな人向けの家電です。
販売元のおすすめは、麺を食べた後のシメのご飯。温め直しが簡単なので、最後までおいしく食べることができるそう。
3カ月で3500個を売り上げている人気商品です。
快適すぎて人をダメにしてしまいそうなその正体は、手元のスマホを操作するだけでカーテンを開け閉めしてくれる「スマートカーテン」です。
工事は不要で、本体をカーテンレールに設置して、スマホにアプリをDLするだけ。
タイマーを設定しておけば、起床時間などに合わせて自動でカーテンを開閉することもできるんです。
「ずぼら」がポジティブに捉えられるようになった今。
レシピや家電、生き方まで、これからも目が離せません。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月4日放送)