新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けについて、議論が続いています。
現在、新型コロナは厳しい感染対策が行われる「2類相当」に位置付けられています。
しかし、季節性インフルエンザと同じ「5類相当」に移行すべきだという意見があります。
発熱外来と往診診療を積極的に行っている葛西医院の小林正宜院長は、「段階的に“手厚い”5類への移行が現実的」とみています。
「手厚い5類」とはどういったものでしょうか。
2類相当と5類相当の違いと共に、詳しく話を聞きました。
【1】感染者数
2類相当:全数把握
5類相当:全数把握せず
【小林医師の見解】
「現状では『全数把握する』という作業が負担になっている。しかし重症化した患者がどこに、どれだけいるかの情報共有は必要なので、重症者・重症化リスクの高い陽性者数は把握すべき」
【2】対応する医療機関
2類相当:一部
5類相当:全て
【小林医師の見解】
「2類相当から5類相当に変わったからといって、ウイルスの感染力が変わるわけではない。5類のインフルエンザよりは感染力が高いのが現状。第7波が落ち着くまでは、全ての医療機関に受け入れを要請するのは難しいと思う」
【3】費用
2類相当:公費負担
5類相当:一部自己負担
【小林医師の見解】
「誰でも感染する可能性がある以上、しばらくは手厚いサポートがほしいところ。しかし、少しずつ自己負担していく方法に移行せざるを得ないのでは」
大阪市立総合医療センターによると、コロナ診療が自己負担になった場合、発熱外来でのPCR検査が2万円(3割負担で6000円)、基礎疾患のない人が中等症で5日間入院した場合の費用は、22~27万円(3割負担で7~8万円)前後かかるとのことです。
小林医師は、「うまくバランスをとりながら、無理のない形での切り替わりが現実的」と話します。
2類相当の位置付けで行われる「手厚い」患者への対応は残しながら、全数把握をやめることによって、行政にかかる重い負担をなくそうという「手厚い5類」への移行。
それが実現できないか、現場の医師から声が上がっています。
第7波の中で、これまでのコロナ対応の経験が試されています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月2日放送)