およそ1キロも先の的をめがけて、素早く正確に射撃、そのごう音が駐屯地に鳴り響きます。
滋賀県の自衛隊駐屯地で開かれた「戦車の射撃競技会」。
西日本から総勢80人の陸上自衛官が参加し、日頃の訓練で培ってきた技術などを競い合います。
この大会に、滋賀県高島市にある今津駐屯地の女性自衛官2人が挑みました。
■大会で5連覇目指す!今津駐屯地「第三戦車大隊」 女性自衛官2人も競技会で”重要任務”
滋賀県高島市にある陸上自衛隊の今津駐屯地。
「戦車の射撃競技会」まで、あと4日に迫っていました。
今津駐屯地に所属する「第三戦車大隊(第一中隊)」では、隊員が集められ、中隊長がげきを飛ばしていました。
【第三戦車大隊第一中隊長 本村武久1等陸尉】
「きょう、我々が達成しないといけない目標は今までの自分たちを超える。具体的には、一昨日実施した射撃の成果を超えろ」
「第三戦車大隊」は、競技会で5連覇を目指す精鋭部隊です。
集められていた隊員の中に、2人の女性自衛官の姿がありました。
2人の女性自衛官に、陸上自衛隊を志望した”動機”を聞きました。
【第三戦車大隊第一中隊 足木君花3等陸曹(24)】
「東日本大震災とかそういうのを見て、私もこういう災害派遣とかに貢献していきたいと思って自衛隊に希望しました」
【第三戦車大隊第一中隊 村上日菜子陸士長(21)】
「(陸上自衛隊を志したのは)国や国民を守る仕事をしたいと思ったからです」
■女性自衛官は全体の8% 女性活躍推進の取り組み進む ”身体的負荷大きい”職種などにも活躍の場広がる
女性自衛官は年々増加していますが、まだ全体の8%ほどにとどまっています。
身体的な負荷が大きいため、女性自衛官が戦闘を伴う職種に就くことを制限していました。
しかし高齢化や自衛官の人手不足などを背景に、女性の活躍推進の取り組みが進み、足木さんや村上さんのような女性自衛官も、戦車の部隊に配属されました。
【第三戦車大隊長 足立賢一2等陸佐】
「自衛隊の任務が多様化・複雑化する中で、より有用な人材を確保する目的で、女性にも自衛隊としても職域を解放して取り組んでいます」
念願の「第三戦車大隊」へ入った足木さん。
競技会では、重要な戦車の“操縦”を担います。
【第三戦車大隊第一中隊 足木君花3等陸曹】
「私は操縦手なので、隊形の維持とか色々あるのですけど、そういうのを保持していけるように、最後は完璧に仕上げていきたいと思います。目標は優勝です!」
弾薬を込める役割(装填手)を担う村上さんは・・・
【第三戦車大隊第一中隊 村上日菜子陸士長】
「緊張もしているのですけど、緊張もしすぎずにリラックスもして、自分の任務をやりとげ・・・やりとべれば…いいなと思います」
緊張からか噛んでしまった村上さん・・・苦笑いです(笑)
戦車に挟まれた場所で、”束の間”のお昼休憩です。
先輩自衛官と、戦車の射撃について話していました。
【先輩自衛官たち】
「パイプが経年劣化で破裂して。ぶわーって右半身が油まみれになって。ほぼ全身」
「それでも戦車射撃続けたもんな」
「僕は帰ります。油に濡れたら」
「俺も帰ります」
そして、競技会を前にした村上さんを励まします。
【先輩自衛官】
「村上は伸びしろの塊。これから伸びてくれ」
【村上さん】
「頑張ります」
訓練の成果は発揮できるのでしょうか…
■「戦車の射撃競技会」本番当日! 第三戦車大隊は5連覇なるか?
いよいよ「競技会」本番当日。
足木さんと村上さんが乗る戦車がやってきました。
4両の戦車が、一糸乱れぬ動きで、横一線に走ります。
そして、1キロ以上も先にある1.8メートル四方の小さな的を撃ち抜きます。
「発射!」
しかし、どの部隊も命中率が高く、“接戦”となりました。
2人の5連覇をかけた結果はいかに…。
【第三戦車大隊第一中隊 足木君花3等陸曹】
「惜しくも部隊対抗の部では優勝できなかったのでまだまだ課題はあるのかなと。ほど良い緊張感をもって射撃競技会に臨めて、悔いなく操縦手として役目は果たせたのかなと」
【第三戦車大隊第一中隊 村上日菜子陸士長】
「ゆくゆくは自分が操縦手、砲手となって結果を出せたら良いなと。先輩や上司にいろいろ聞いてどんどん成長していきたいと思っております」
「第三戦車大隊」という憧れの部隊で躍動する2人の女性自衛官。
彼女たちの挑戦はまだまだ続きます。
(2022年7月21日放送)