7月10日投開票の参議院議員選挙。
奈良選挙区では、1議席をめぐり、激しい戦いが繰り広げられています。
奈良のシンボルである鹿の鳴き声が聞こえました。
【鹿の鳴き声】
「ピィ~~」
まるで、戦い開始の合図のようです。
この選挙区では、現職に新人5人が挑みます。
■”奈良県初の女性の参議院議員を”そして物価高に消費税の減税で対応へ・・・立憲民主党・猪奥美里候補
“奈良県初の女性の参議院議員を”そう訴えるのは、立憲民主党の新人・猪奥美里(いおくみさと)候補(42)です。
【新人・立憲民主党・猪奥候補】
「奈良県で初めての女性の参議院議員を皆さん方から誕生させていただきたい」
猪奥候補は、奈良県議会議員を10年務め、2021年の衆議院選挙では、自民党・高市早苗政調会長に挑みましたが、落選しました。
今回の選挙では、自民党政権を強く批判します。
【新人・立憲民主党・猪奥候補】
「日本の物価上昇率を2%で抑えられているのは、一人一人の事業者の努力によって、一人一人の消費者のほんまは欲しいけどっていう、モノを買うのを減らす我慢によって、ようやく成り立っている。この我慢を『皆さん平気でしょ』と言ってしまえるのが、今の自民党政権です」
猪奥候補と共に選挙区を走り回るのは、夫のちひろさん。
ちひろさんは、東京都の多摩市議会議員だった経験を活かし、猪奥候補の選挙戦をサポートします。
【夫・ちひろさん】
「我々男性の議員は、抵抗しても無駄だなというのがあれば黙ってますけど、それでもガンガン言うっていうのはすごいですね」
—Q:それは猪奥さんが県会議員の時から?
【夫・ちひろさん】
「主に家庭で感じますけどね」
一人でも多くの人に声を届けようと、有権者を見つけるとすぐさま選挙カーから降りて、駆け寄ります。
訴えるのは、物価高騰への対策、主に消費税率の引き下げです。
【新人・立憲民主党・猪奥候補】
「10%の消費税を5%に減税することで、エネルギー・電気・ガス食品もありとあらゆる値上げを、猪奥美里は物価高に消費税の減税で対応していきたい。物価高と戦う夏にしていきましょう」
■防衛費増加への反対を!将来の子供たちが武器を持って戦うことがあってはならない・・・共産党・北野伊津子候補
【新人・共産党・北野伊津子(きたのいつこ)候補(46)】
「今回の参議院選挙は未来を選ぶ選挙です。北野伊津子は戦争しない未来を選びたい」
演説のとき、かなり緊張した様子の北野候補。
【新人・共産党・北野候補】
「皆さん、(私は)緊張しています。ちょっとだけ。財源を示さない中での、軍事費2倍非常に危険です。軍事費2倍か・・・あっ!忘れてた」
挨拶回りのときに、グータッチしながら支援者と交流しています。
【支援者】
「素敵やったわ」
【新人・共産党・北野候補】
「緊張しちゃったわ~」
奈良県大和郡山市の市議会議員を1期務め、「物価が上昇する中でも生活を守りたい」と、今回の国政選挙に初めて挑戦しました。
2人の子供を育てる北野候補。
選挙中の支えは子供たちの存在です。
娘さんと一緒に写っている写真を見せてくれました。
【新人・共産党・北野候補】
「うちの娘ちゃん、かわいいでしょ」
—Q:何歳ですか?
【新人・共産党・北野候補】
「11歳。頑張れるわよ。でも意外と、お母さんの仕事は外でしゃべるのが仕事やから、それをしているだけで、なんで例えば平和の問題とか意外と聞いてくれない。また言ってるわ、みたいな感じで(笑)」
子供たちのために、と北野候補は防衛費増加への反対などを連日必死に訴え続けます。
【新人・共産党・北野候補】
「将来子供たちが、武器を持って戦うようなことには、絶対にしてはならないというのが活動の原点なので。今回ウクライナの問題で軍事が増えそうになっている。そこにNOと言える候補者がいないので、しっかりと訴えて頑張っていきたい」
■安全確認されている原発の一時稼働など”経済の対策”を・・・日本維新の会・中川崇候補
奈良県議会議員を6年務め、“維新が大阪で実現した改革を奈良県にも”と出馬を決めた、日本維新の会の新人・中川崇(なかがわたかし)候補(36)。
【有権者】
「これから大丈夫だからね!よろしく!」
【新人・日本維新の会・中川候補】
「今、日本の社会奈良県の暮らしを変えていけるような政党はどこでしょうか。それは日本維新の会でございます。日本維新の会は劇薬のような政党です。けれども、そんなくらいの政党じゃなければ、奈良県の暮らし、社会、世の中が変わっていきません」
連日、都市部から山間部までくまなくあいさつに回りますが、中川候補のこの選挙区での課題は”知名度”です。
【有権者】
「日本維新の会はこの方が出るんやね。いくつやっけ」
【新人・日本維新の会・中川候補】
「36です」
【維新陣営】
「中川崇をお願いします、人柄は間違いない」
奈良県でも、議席を獲得しようと日本維新の会・松井代表も応援に駆け付けます。
【日本維新の会 松井一郎代表】
「中川さんが今、奈良で勝とうと思うと至難の業。自民党が強いわけですから。大物もいます。でもそんな厳しい中でも、挑戦するスピリッツがあるんだから。この自民党が強い奈良でね、本当に大どんでん返し出来れば日本は変わります」
中川候補が訴えるのは”経済の対策”です。
【新人・日本維新の会・中川候補】
「安全が確認されている原発は、一時的再稼働しましょう。その方がお財布にも優しい。極めて現実的な提言をしている日本維新の会、見逃して何もしてこなかった自民党・岸田政権どちらに政権担当能力があるのかは明らかです」
■”経済産業省の大臣政務官”経験から物価高騰への対策をしたい・・・自民党・佐藤啓候補
前回の選挙で初当選を果たした佐藤啓(さとうけい)候補(43)が、現職で自民党から立候補しています。
有権者の中から佐藤候補を見て、「若い」という声が上がりました。
【現職・自民党・佐藤候補】
「若いですか?43ですけど」
奈良県のように、緊急事態宣言やまん延防止措置が出ていない地域でも、新型コロナの影響を受けた中小企業が支援金を受け取れるようにするなど、”経済産業省の大臣政務官”として果たした実績を訴えます。
6年前はワイシャツを着て選挙戦に挑んでいた佐藤候補でしたが、今回はTシャツ姿で駆け抜けます。
【現職・自民党・佐藤候補】
「私の経歴とかいろんなものを見て、気難しい人なんだろうなと思う人もいると思うんですけど、同じ身近な生活者ですというのを服装で」
参院選では過去3回、自民党の候補者が当選し続けているものの、情勢の変化を感じています。
–Q:6年前よりも維新の維新のいきおいを感じますか?
【現職・自民党・佐藤候補】
「そうなんでしょうね…。(維新は)わかりやすい主張をされている。我々は責任政党なので実現、実行できることしか訴えることができませんので」
2021年の衆院選では、一部の地域で維新の比例票が急増しました。
自民党も「激戦区」と位置づけ、選挙戦では大物政治家がそれぞれ駆け付けました。
【自民党・安倍晋三元首相】
「厳しい戦いなんです。佐藤啓、佐藤啓働かさせてください」
【自民党・高市早苗政調会長】
「日本を守る自民党、未来を創る佐藤啓」
佐藤候補が訴えるのは、物価高騰への対策です。
【現職・自民党・佐藤候補】
「どの分野の価格が上がっているのか見ていって、流通段階に補助金を大規模に十分に入れておくことで、一つ一つの価格を抑制していく」
■NHK党、諸派からも
また、NHK党からは、新人の冨田哲之(とみだてつゆき)候補(70)が出ています。
【新人・NHK党・冨田候補】
「私は鍼灸師です。奈良の都にのぼってきた一寸法師。東洋医学、針の力で政治を変える。公党に超有利な選挙制度をぶっ壊す!」
他には、諸派の新人で、中村麻美(なかむらまみ)候補(43)も出ています。
自民党も「激戦区」と位置づけ、安倍元首相など大物政治家たちが応援に駆け付けた奈良選挙区。
1議席をめぐり、激しい戦いが繰り広げられています。
有権者は誰に一票を投じるのでしょうか。
投開票日は7月10日です。
(2022年7月7日放送)