【解説】auの大規模な通信障害 例えるなら「高速道路の渋滞」 車線規制で更なる混乱 ユーザーへの情報発信も十分できず 緊急通報の「ローミング」は? 2022年07月04日
KDDIで2日未明から最大で3915万回線に影響が出た大規模な通信障害。
問題の原因や対策をITジャーナリストの石川温さんに聞きました。
ーーQ:今回の一番の原因は?
【ITジャーナリスト・石川温さん】
「古い機材を新しい機材に変える工事に失敗して、それによってデータ通信が渋滞してしまって大きな障害になってしまった」
石川さんは、今回のケースを以下のように、高速道路の渋滞に例えました。
音声通話ができなくなった最初の失敗は、道路が通れなくなる事故のような状態で、
事故処理をするために、車が入らないように、2車線のうち1車線を規制(50%規制)した結果、さらなる道路の渋滞を招いたようなものと説明しました。
KDDIはホームページやツイッターで情報発信を行いましたが、周知には至らず土日のauショップには多くのユーザーが駆け込みました。
しかし、auショップでも十分な情報周知がなされず、ユーザーの混乱を招いたと指摘します。
【ITジャーナリスト・石川温さん】
「KDDIも事態の把握がままならない中で情報発信をするのは難しくはあるが、1時間ごとに情報発信をするなどしておけば良かったかもしれない」
全国的な通信障害は去年、NTTドコモでも起きていてKDDIは通信障害に対応する拠点を、東京に続き大阪にも設置するなど対応に取り組んできました。
石川氏は「どんなに準備してもそれ以上が起きてしまうのがこの業界だ」と対策の難しさを語ります。
その上、通信障害が起きた際には被害を最小限にすることが重要で、最低限110や119といった緊急通報については「ローミング」をできるようにすべきと提言します。
ローミングとは、1つの事業者がエリア外になっても、提携している別の事業者の回線を使うことで、通話・通信ができるようにすることです。
石川氏は「技術的なハードルは解決できるはず」としていますが、総務省は「緊急通報だけを別扱いにするのは難しい可能性がある。現時点で議論には上がっていない」としています。
菅前総理の指揮のもと、実現した携帯電話各社の値下げ競争で、ユーザーの懐は助かる一方、事業者が危機管理へのコストカットをすれば、今回のような問題が再び起きてしまうかもしれないと石川氏は警鐘を鳴らします。
ユーザー1人1人がいざという時のためにどう備えるかとともに、国レベルでの対策がいま問われています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月4日放送)