西日本豪雨の発生から、7月6日で4年になります。
土砂崩れで大きな被害を受け、存続の危機に直面する集落の今を取材しました。
2018年7月、西日本を襲った豪雨災害。
兵庫県宍粟市では土砂崩れが発生し、道路が寸断されました。
集落の住民たちは、ヘリで救助されるまで孤立する事態に。
そして、住宅が土砂に押しつぶされ、中にいた男性(63)が死亡しました。
あれから4年、崩れた山の斜面の復旧工事は完了しました。
一方で、住民たちの心境には変化が…
【住民】
「ちょっと考えもんやで。完全に迷っている、ここからどこかへ出ることを」
「いつまで私たちもいられるか…不安です。災害が大きいです。生活の場を考えようと思い始めました」
災害を機に、この集落を離れる人が増えています。
いまだに土砂崩れの危険が残った場所があり、けがをしても病院が近くにないため、多くの人たちが不安を感じていたのです。
高齢のため病気で亡くなった人もいて、今、集落にいるのは4年前の半数になりました。
存続の危機に直面する集落。
それでも豪雨当時の自治会長だった田中さんは、災害の記憶を伝える大切な場所を守ろうとしています。
【当時の自治会長 田中市郎さん】
「人が集まってほしいよな、あそこに」
【現自治会長 石田郁朗さん】
「集落に人が少ないけど、特に(被害が大きかった)北部は人が行く機会がないからね」
【当時の自治会長 田中市郎さん】
「7月6日のことを我々は忘れてはいけないということで、何か残していかないと…」
田中さんたちが、新しく始めたことがあります。
2022年4月、豪雨の被害があった跡地に、桜の木を50本植えたのです。
土砂崩れで亡くなった男性が、生前、一番好きな花だったといいます。
【当時の自治会長 田中市郎さん】
「天国で喜んでくれているかなと思うんです。憩いの場所、人が集まる場所にしたいと思っています」
集落では、7月6日を前に、田中さんたち有志が犠牲者を追悼しました。
「集落の存続」と「記憶の継承」に悩む被災地。
災害がもたらした厳しい現実の中で、住民たちは生きています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月4日放送)