参議院選挙の最大の争点とも言える「急激な物価高への対策」。
6月には日銀の黒田総裁が、「家計の値上げの許容度も高まってきている」と発言したことで、批判を浴びました。
実際のところ、「値上げ」は受け入れられているのでしょうか。街の声を取材しました。
■安さが魅力の回転寿司店にも値上げの波
大阪府北部にある回転寿司店。
新型コロナウイルスの規制緩和などを受け、週末は客でいっぱいですが、5月、ついに値上げの波が…
【三府フードサービス 岸中健人さん】
「一部のお皿について、値上げすることにしました。286円のお皿と352円のお皿を、それぞれ20円値上げしました」
1番人気のサーモンも、値上げしたものの一つです。
2年あまりで仕入れ値が6割以上も上昇、それでもこれまでは価格を維持してきましたが、業界最大手のスシローが値上げを決めたこともきっかけとなり、価格への転嫁を決めました。
【三府フードサービス 岸中健人さん】
「色々なものが上がっている中で、値上げするのは致し方ないのかなと。これから売上を戻そうという時に物価が上がって値上げせざるを得なくなったという状況は、心苦しいところがあります」
安さが魅力の回転寿司での値上げについて、客はどう受け止めているのでしょうか。
【客】
「あまり気にしないくらいの値段に収めてくれてるんじゃないかなと」
「利益が残らなかったらその店がつぶれる。痛みはみんなで分かちあわないと」
この店では、値上げ後も来客数に大きな影響はなく、客単価も上がったおかげで、売り上げは少し増えたということです。
【三府フードサービス 岸中健人さん】
「やはり、お客様に安い値段で美味しいお寿司を食べていただくことを目標にやっておりますので、(値上げは)極力したくはないです」
■価格据え置きの焼き肉店は…「こういう時だからこそ」
一方で、「1000円で食べ放題」が売りの焼肉店は、価格据え置きを決めています。
【あじびるグループ 本岡玲二代表】
「もともとは3000円の食べ放題のお店。それが2000円になり1800円になり、周りの競合店と価格競争をしていって最終的にここ以上いけないというところで1000円と」
一括で大量の肉を仕入れ、加工してから店舗へ配送するなど、経営の効率化を図ることで破格の食べ放題を実現してきました。
物流網の混乱や円安などで、アメリカ産の輸入牛肉の卸売価格は、去年に比べて1~2割ほど上がっていますが、今後も、1000円は貫くつもりだということです。
【あじびるグループ 本岡玲二代表】
「今更、1100円だとか1200円に(値上げを)してしまうと我々も怖いですから。こういうインフレの時だからこそ、1000円の焼肉をもっと広めていきたいなと」
値上げをするのかしないのか。
企業は難しいかじ取りを迫られています。
■政府の対策、街の人の声
政府もまた、物価高を受けて対策に乗り出しています。
輸入小麦の価格が高騰しているのを抑えるため、政府から製粉会社への売り渡し価格を据え置くことを表明。
また、エネルギーの分野では、ガソリン価格の激変緩和策に加えて、節電に協力した企業や家庭にポイントを付与する制度を導入する方針です。
果たして街の人たちは、どんな対策を望んでいるのでしょうか?
【主婦(40代)】
「(物価高を受けて)家計簿をつけるようになりました。消費税がこのままで良いのかと言っている党が多いので、消費税切り込んでほしいなと。ちょっと下げたりとかね」
【会社員(30代)】
「他の国を見ていても、物価が上がるのは仕方がない、普通のことだと思うので、やはり給料とか手当とかでバランスを取れればなと思います。日本全体で、オカネの回り方全体で上がっていくのが良いかなと」
【主婦(20代)】
「私も専業主婦なので、夫の給料で生活していく中で、やっぱり支出が増えるので貯金ができないっていうのが将来の不安にはなってくるんで。少しでも(給料が)上がったらいいなとは思いますね」
【会社員(40代)】
「(物価高は)どうにもできないと思います。誰が何をしても、何も変わらないと思っちゃうので、あまり期待はしないです」
物価高の対策へ、各党、力を入れますが、賃上げや消費減税など、与野党で違いは際立っています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年6月27日放送)