新型コロナ対策で市民の外出が制限されている中国・上海。
最近になって、ようやく一部の地域で外出の許可が出始めました。
およそ2カ月ぶりに外に出た、関西テレビのカメラマンが見た光景とは。
【粟村カメラマン】
「封鎖が始まってから今日で55日目です。突然外に出ることが許されました。今、各世帯に外出許可証が配られています」
マンションの高層階に住む上海支局・粟村カメラマンに突然配られた「外出許可証」。
【粟村カメラマン】
「早速、この許可証を持って街へ出かけたいと思います。外に出る前に、あらかじめ決められた『2時間以内』に戻ってくるようしっかりと念を押されます」
【係員】
「ここに書かれた時間ですよ」
【粟村カメラマン】
「はい、謝謝。あー久しぶりにバリケードを超えて…外に出ることができました!あー久しぶりですね、この高さ(地上)からこの景色を見るのは本当に久しぶりです」
久しぶりに踏みしめる地面の感覚に、感慨もひとしおです。
この地区の事実上の「都市封鎖=ロックダウン」が始まったのは、4月1日のことでした。
【粟村カメラマン(4月1日)】
「午前3時になりました。私が住んでいる西側エリアでもこれから全面封鎖が始まります」
それ以来、通りを歩く人はなく、公園で遊ぶ子供の姿もなく、マンションから見えるのは閑散とした風景でした。
【粟村カメラマン(4月15日)】
「封鎖が始まってから15日目を迎えました。冷蔵庫の中はほとんど空の悲惨な状況です」
外出できなくなる前に買っておいた食料は、およそ2週間で尽きかけました。当局から野菜や調味料の配給はあるものの、その頻度はばらばら。
飲み水がなくなりかけた時には、極力動かないようにして対処したといいます。
感染が抑えられている地域では外出が許される市民もいて、隔離されている理容師に頼んで髪を切ってもらう様子も。
一体、隔離の意味はあるのでしょうか。
そして、粟村カメラマンの外出が禁止されてから55日がたった、5月25日。
限られたエリア内で「2時間以内」という制限があるものの、突然、外出許可が出たのです。
【粟村カメラマン】
「大型の交差点です、車がいないのが信じられません。いろんな人が道路の真ん中に出て写真を撮っていますね、この時期にしか見られない光景です。犬を散歩させている人もいます、少し日常が味わえます」
久しぶりに友だちとおしゃべりしたり、ランニングしたり…それぞれの自由な時間を過ごしていました。
【粟村カメラマン】
「こちらではバドミントンをしてますね。久しぶりの外で楽しいでしょうね、楽しそうです」
しかし、外出許可が出たといっても、元通りの生活ができるわけではありません。
【粟村カメラマン】
「地下鉄の入口ですが、シャッターが下ろされています。お店は全て閉まっています、開いているお店は1つもありません」
店はバリケードで封鎖され、24時間営業のコンビニも閉まっています。
一方、どこへ行くのにもPCR検査で48時間以内の「陰性証明」が必要なため、いたるところに臨時の検査場が作られていました。
粟村カメラマンは、営業中のスーパーへおよそ2カ月ぶりの買い物に。
スマホに表示した「陰性証明」をスキャナにかざして、建物の中に入ります。
スーパーの入口も厳戒態勢。防護服の人にうながされ、消毒して手袋をつけます。
【粟村カメラマン】
「中は商品が豊富に置かれています。みなさん久しぶりの買い物だと思います。こちらの男性もたくさん買ってますね、久々の買い物でいろんな商品を買っています」
次はいつ外出できるか分からないため、袋いっぱいに買い物をする人の姿が目立ちました。
スーパーから出た粟村カメラマン。残された猶予はあと1時間です。
【粟村カメラマン】
「制限時間が2時間しかないので、精神的に圧迫感、窮屈感を感じます」
少し足を伸ばして、まだ外出が禁止されている地域を覗いてみると…
【粟村カメラマン】
「バリケード越しに外を見ている人がいます。住民が声を荒げています、何でしょうかこれは…」
外出できない住民が「不平等」だと警察に訴える姿がありました。
【外出禁止の住民】
「私たちも同じ人間よ!」
「外出制限」が続く上海。生活がもとに戻るのはいつになるのでしょうか。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年5月26日放送)