大ヒットした丸亀製麺「うどん弁当」…開発者は「最初は不安だった」 2021年のヒット商品を総力取材 【ヒットにワケあり! オカネのヒミツ】 2021年12月21日
インテージが調査した、食品・飲料・日用雑貨品などでの『ことし(2021年)売れたものランキング』が発表されました。
1位となったオートミールは、前年比291%増。2位は麦芽飲料の同182%増。これらは、健康志向の高まりから上位にランクインしたようです。
3位は、玩具メーカー菓子の同137%増。『鬼滅の刃』が最強のコンテンツだったということで、これもヒットしました。
このほか、コロナ禍の中で生まれたヒット商品がたくさんありますが、開発のウラにあった知られざる秘密について、関西ゆかりの商品を取材しました。
■手軽な“弁当”で敷居を低くし新規客ゲット
【薄田ジュリアキャスター】
「丸亀製麺の店内メニュー。種類もいろいろありますが、見つけました。このうどん弁当が今年ヒットした商品なんですね。種類も5種類あって値段が390円のものもあります」
2019年東京に本社を移すまでは神戸に本社があった丸亀製麺。
2021年4月に発売した「丸亀うどん弁当」は、約8カ月で累計1600万食を突破した大ヒット商品だそうです。
【客】
「うどんの上に直接おかずがのってるのが初めてでびっくりしました。(おかずも)一緒になってるから自分で選ばなくてもいいんで、パパッと買えるからいいかなと」
「満足できて好きです。僕は普通に安いと思う」
【丸亀製麺 野田阪神店 新澤幸大店長】
「集まりで買われる方ですとか、大量注文とかもよくありました」
丸亀製麺では、これまではテイクアウトにあまり力を入れていませんでしたが、新型コロナの影響で客からの要望が増え、去年「うどん弁当」の企画が始動。ただ、そこにはいろんな苦労があったそうで…。
【丸亀うどん弁当の開発担当 浦郷裕介さん】
「最初は結構不安だったんですよ。『うどん弁当』というネーミングもそうですけど、この世にないものを発売していった時に、うどんの時間経過での麺の劣化は結構検証しました」
販売するにあたって、うどんを容器に入れて持ち歩いたり、車に乗せたりしても味や食感に変化はないかなどを検証。
その結果、冷たいうどんなら1時間以内であれば、麺の食感や風味は維持できることが分かったそうです(推奨は20分以内)。
そしてうどんに合う「おかず」を見つけるため、100種類以上の食材を用意し、何度も試食を繰り返しました。きんぴらごぼうや玉子焼きはあえて甘めの味付けにして、うどんとの味のバランスをよくするために工夫したそうです。
そして、弁当ならではの魅力もありました。
【開発担当 浦郷さん】
「手軽さと持ち運びしやすさ、あとは食べやすさですね。(テイクアウトより)お弁当にした方が、手に取っていただきやすい。新規のお客様でうどん弁当を買いに来てくださるお客様が丸亀製麺を知って、イートインでも食べてくださるという形に繋がってますね」
■アレンジできる面白さ
続いては、『フィシュマロバアアアアン!!』というインパクトがある名前のマシュマロ。大阪にあるマシュマロの製造会社・八千代堂が販売し、売り出した当初は数える程しか売れなかったといいます。
しかし、2021年6月からの3カ月で6000個売れ、一躍店の看板商品になりました。そのきっかけはSNSに挙げられた画像。
焼いている様子が大ウケし、瞬く間に注文が殺到して、生産が追い付かなくなるときもあったそうです。
【八千代堂 堀江聡社長】
「何かこれ一緒に焼いてみたいなとか、みんなも一緒に焼いた時に一緒に居る仲間達が喜ぶ顔がすごくイメージしやすいと言うか。『これ何?』とかそういう声が聞こえてくる商品だったのかなって」
コーヒーから釣れたように見える画像など、楽しくアレンジできることがヒットに繋がったようです。
■部員の“好き”から生まれる新たな発想
2021年のヒット商品の傾向について、流行を研究している専門家に話を聞くと…。
【日経BP 総合研究所 品田英雄さん】
「ちょっと面白いよね、可愛いよねっていう。そういう心を温かくしてくれる、癒してくれるようなものが売れたりするっていうのはコロナ禍の特徴だと思います。とにかく新しいもの、変わったものをやってみよう。それが喜ばれるところが結果的にはヒットになるっていう時代のような気がします」
また、コロナの影響で海外旅行など非日常の楽しみが制限されたことで、新たな需要も出てきたといいます。
【日経BP 総合研究所 品田英雄さん】
「推し活っていうのが日常生活の中でできること。特にエンターテインメント業界では注目されるようになりましたね」
“推し活”グッズでヒット商品を生み出していたのが、神戸にあるフェリシモ。
こちらの会社では、「OSYAIRO(オシャイロ)」というブランドで、推しの担当カラーいわゆる“推し色”を意識した商品を作っています。
ネイルシールは7色あり、オシャイロだからこそ発売された色も…。
【フェリシモ 皆川絵利奈さん】
「オフィスで使えるようなベージュとかピンクが多かったんですけど、実際黒とか緑とか紫とかもすごく需要があって。緑はお客様のアンケートで人気だったので追加した色なんです。このネイルシールの人気を受けて作ったのが、こちらの推し文字のネイルシールです」
開発にあたってはこの会社ならではのヒミツがあるそうで…。
【フェリシモ 皆川絵利奈さん】
「実は、このOSYAIROはブランドなんですけれど、このブランドはオタク活動推進部という部活の中のブランドなんです」
社内でそれぞれの好きな分野で部員を募り、「社会にプラスの影響を及ぼすもの」などの条件を満たすと部活として会社から認定されます。今では、「女子DIY部」「魔法部」「猫部」など14個の部活があり、本業と並行して活動しています。
「オタク活動推進部」部長の山川さんは、日常でももっと推しを身近に感じて楽しむことができれば…という思いから3年前、部を立ち上げました。
【オタ活部 部長 山川真記代さん】
「仕事だけど、やっぱ好きなことをやらせてもらってるっていう気持ちのほうが大きいかもしれないですね。とても楽しいしありがたいです。(新しい物を生み出そうとする)前のめり感っていうのは、部員みんなそうですけど、すごくあります」
(関西テレビ12月21日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)