「中華まんの皮だけが欲しい」というファンのツイートをきっかけに誕生した、井村屋の『すまん』。
【薄田ジュリアキャスター】
「すごくモチッモチでほんのり甘めの生地で、このままでも食べられますね」
そのまま食べたり、好きな具を挟んだりと食べ方も自由で、注文が殺到するヒット商品に。
さらに、シュークリーム専門店・ビアードパパでも「おうちでアレンジして楽しんでほしい」と、今年6月からクリームの入っていない『オリジナルシュー生地』を販売しています。
【ビアードパパ 営業企画部 白石郁弥さん】
「想像以上に売れていると思います。本当に食材の一つとして様々な食べ方をお客様に考えていただけたら」
今人気を集める、「一部分だけに特化した商品」。
どんなアイデアから生まれているのでしょうか。
■シャリだけを味わう
回転寿司チェーン・かっぱ寿司。今年5月から、まさかのメニューを販売していました。
なんとネタのない、シャリだけを味わうという斬新な一皿『本気シャリ』です。
【かっぱ寿司 営業部 部長 大坪茉央さん】
「お米をブランド米に変更したので、そのプロモーションの一環として商品となりました」
回転寿司チェーンではブレンド米が主流ですが、かっぱ寿司は一種類の銘柄にリニューアル。
シャリ本来の味を伝えるため、あえてそのまま出すことにしたそうで、シャリ好きや生モノが苦手な子供などからの注文が多いといいます。
【かっぱ寿司 営業部 部長 大坪茉央さん】
「想定以上にご好評いただきましたので、定番で販売させていただいています」
■皮だけのどら焼きも
続いて向かったのは、大阪府門真市の住宅街。
ひっそりと構える和菓子店、花かんざしの小さな作業場で作られていたのは、その名も「どら焼きの皮だけ」。
実は、大阪や東京など百貨店の催事に今引っ張りだこの大人気商品だそうです。
【花かんざし 店主 小林秀之さん】
「このままでもいいですし、お客様によってはバニラアイスとかクリームチーズとかをのせて。色んな食べ方ができる生地になっています」
小林さんは、もともとお菓子の問屋業に勤めるサラリーマンで「自分の作ったお菓子を食べてもらいたい」と15年ほど前に一念発起。
全くの素人でしたが、手作りでの販売を始めました。
これまで様々な商品を手掛けてきましたが、どれも思うように売れず、「これが最後」と3年前に作り始めたのが、どら焼きでした。
【花かんざし 店主 小林秀之さん】
「僕が手焼きで焼いていて、大きさがバラバラになるので。(残った皮を)僕らだけで食べてても飽きてくるので、買ってくれ、と」
商品の開発中に、山積みになった不揃いの皮を「もったいない」と思い、常連客に販売してみたところ、これが予想外に大ウケ。
商品化した途端に話題となり、今ではオンライン販売や百貨店の催事で1日3000枚も売れる看板商品となりました。
【花かんざし 店主 小林秀之さん】
「完全に僕の失敗からできている商品です。お客さんが笑ってくれたらなんでもいいんです。『皮だけ』ってゆうたら結構笑ってくれるんでね」
■靴下の「片方だけ」も
そして、まさかの商品は食べ物だけではありません。
奈良県広陵町にある馬見靴下事業協同組合が今年3月から始めたのは「靴下の片方だけ」の販売です。
【馬見靴下事業協同組合 米原友紀子さん】
「靴下ってだいたい両方一緒に破けることってなくて、歩くクセとかで片方だけ破れちゃうと思う。破れた足だけ新しく買ってずっと長く履いてもらえたら」
オンラインショップで販売される『指なり足なり5本指くつした』は、時間をかけて丁寧に編まれた履き心地の良さがクセになる看板商品。
値段も決して安くはないため、「片方が破れる度に両方買い替えてもらうのは申し訳ない」と、半額で片方だけの販売を始めたそうです。
■顔そり専門のサロン
また、美容業界でも1つのサービスに特化した店が人気を集めています。
メゾンビューティーフェイスは、全国に75店舗を展開する女性のための顔そり専門のサロン。
眉毛のカットも含め、顔そりにかかる時間は20分ほど。
産毛をそることで、化粧のりがよくなるなど、様々な嬉しい効果が期待できるということです。
年齢問わず幅広い世代から支持されているといい、取材したハービスエント店だけでも月に500万円以上売り上げているということです。
通常、男性がメインターゲットのはずの顔そりで女性の需要に目を付けたのが、理容師として理髪店を経営していた大西社長です。
【リビアス 大西昌宏社長】
「散髪屋さんは(理容師も客も)男性が多いので、そういった中に行くのが恥ずかしいという声をよく聞いていたので、それなら全員女性の理容師でお客様も女性のみにしてしまえば、恥ずかしくなくお顔そりに来ていただけるなと思いました」
ただ、カミソリを使うには理容師の免許が必要で、女性の理容師は、美容師に比べ圧倒的に少ないという現実も。
そこで、理容師免許も取れる学校を自社で作ったのです。
【リビアス 大西昌宏社長】
「免許のない方を社員として雇用して、お給料は全額支給しますし、自分のお給料で学費を払っていただく形です。平日の4時半までは学校で勉強、5時から店舗で実習としています」
手厚い待遇で店に必要な人材を育てる仕組みを確立し、着実に店舗数を増やしてきたそうです。
【入社1年目の社員】
「やっぱり資格が取れるのは大きいなと思って。仕事と学校を両立しながらできるのがいいなと思いました」
【薄田キャスター】
「きれいに歯車が回っているビジネスですね」
【リビアス 大西昌宏社長】
「そうですね。顔そりというのが日本人女性の当たり前の習慣になることを目指してやっています」
(関西テレビ「報道ランナー」2021年10月19日放送)