大阪市南東部の4つの区から成る「大阪2区」。
2020年のいわゆる「大阪都構想」の住民投票では、全てで「反対」が上回る結果になったエリアですが、「都構想」のブレーンの1人でもある 維新の新人が、地元を離れて挑みます。
受けて立つのは1年前、「都構想反対」を掲げた前職2人。
岸田首相のもと、党の要職を務めるようになった自民党の前職と、当事者として性的マイノリティなどの政策を訴える立憲民主党の前職です。
■自民・左藤章候補
【左藤章候補】
――Q:岸田内閣の顔ぶれどうですか?
「鮮度、新鮮味が出てきたと思うし、能力ある人たちがそれぞれの立場に配置されてるんじゃないかな」
発足したばかりの岸田新内閣の顔ぶれに納得の表情を見せるのは、自民党の左藤章さん(70)。
3代続く政治一家で、これまで5期を務め、防衛副大臣や大阪府連会長を務めましたが、今回はいつもと違う追い風があります。
【左藤章候補】
「私、宏池会なんで。会長が総理総裁になったのは30年ぶりやからね。非常に感無量」
30年ぶりに総理を輩出した宏池会(岸田派)の一員として、政権を担う決意を固めています。
今年1月に亡くなった左藤さんの義理の父親で、法務大臣や郵政大臣を歴任した左藤恵さんの合同葬では、岸田首相が弔辞を述べました。
【岸田首相】
「先生のあとを継がれた章先生が、同じ宏池会の同士として私を総理総裁に押し上げていただきました。私も先生のように、我が国の将来を正確に見通し、章先生と共に力を尽くすことをお誓い致します」
【左藤章候補】
「総理がですよ。たった1時間のためにここにいる。わざわざ来て頂けるなんてこんなありがたいというか感謝するしかないし、逆にそれだけ期待をされていることになる」
左藤さんは新政権で、党の「幹事長代理」という要職に就くことになりました。
【左藤章候補】
――Q:どんな仕事?
「党務やな。政策部分で僕は部会にいつも行くが、業界団体とか地元議員や首長など色んな人が来る。(事情を)分かってないとあかんでしょ。結構幅広い知識がないとダメだなと」
衆議院解散当日のこの日も、次々と官僚があいさつに訪れます。
自身を「勉強家」と語る左藤さんにとって、政権を支えるための1議席は絶対に落とせません。
【左藤章候補】
「やはり大きな転換というのは、みんなの給料を上げようと、安倍総理の時からやってはいるんですよ、賃金アップを経済界にお願いしている。ですがなかなか実現はしないのでそれをもっと声高にやっていく」
「格差を、豊かな人から、悪いけれど所得の低い人にシフト替えをしていく」
■尾辻かな子候補
前回左藤さんに敗れ比例復活となった立憲民主党の尾辻かな子さん(46)。
同じ大阪選出の副代表・辻元清美(つじもと・きよみ)さんも、「絶対に落とせない候補」と早々に応援に入りました。
【立憲民主党・辻元副代表】
「国会ではうるさい女と思われとるんですよ。尾辻かな子も辻元の妹分というか。確かに国会でおかしいやないかいいますよ。それはなぜかというたら、みなさんの命を守るため。尾辻もその仲間なんです」
尾辻さんは府議会議員だった2005年、議員としては全国で初めて同性愛者だとカミングアウトし、党内では同性婚などジェンダー問題で議論を引っ張っています。
【尾辻かな子候補】
「私自身は、自分がマイノリティであるがゆえに排除されてしまうことや不可視化されていることの生きづらさをずっと感じてきました。同じように排除されてしまったり、マイノリティであることで問題にされない、そういう問題は私も共感し、同じような構造があると思って議会で取り上げてきた」
マイノリティという立場から、社会で光が当たらない人たちを救うために国会で戦う尾辻さん。
介護士として働いた経歴もあり、新型コロナの影響を受けるエッセンシャルワーカーの待遇改善にも取り組む中で、国会では幾度も政府を追及しました。
【尾辻かな子候補】
「介護従事者の施設の人しか、ワクチン優先順位になっていないんですよ。実は半分の在宅の人たちは一般の人と同じである。総理、(在宅介護従事者の)ワクチンの優先接種も施設の方と同じにすべきじゃないでしょうか」
国会での質問や議員立法の提出に力を入れています。
【尾辻かな子候補】
「マイノリティが生きやすい社会は、誰がマイノリティになっても安心できる社会なので。全てにおいてマジョリティな人はいないと思います。大阪2区は厳しい選挙区で一番私が厳しいと思うので必死で。自民も強いし維新も強いですから、そこに挟まれて埋没せんように頑張ります」
マイノリティの立場だからこそ「誰も置き去りにしない」というスローガンを掲げ、勝利を目指します。
■守島正候補
【守島正候補】
「本当に10年半の思い出たくさんあるんですが、先輩方の寛容な心で許容してくれたおかげでここまで議員生活を送ることができて本当に感謝しています」
3期10年にわたる大阪市議会議員を辞職して臨むのは、日本維新の会の新人・守島正さん(40)
【大阪府 吉村知事】
「改革が必要だというのを国政にどーんと持って行って、自民党にどかーんとぶつける。それだけの力はあると思ってます。これをするのが守島さんです」
守島さんは大阪府知事の吉村副代表とともに、2011年に市議会議員に初当選した同期です。
維新の次世代を担うエースとして、松井代表も期待を寄せます。
【日本維新の会 松井代表】
「(当時)面接したのは僕。政策立案能力、人に訴える演説力は、吉村さんは、今すごくやれているけど、当時は守島さんのほうが勢いがあった。光っていた」
「どちらがどっちでもおかしくないくらい能力高かったよ」
守島さんは去年行われた大阪都構想の住民投票で、大阪維新の会の政調会長として、政策の取りまとめなどを担ってきました。
東淀川区選出の大阪市議でしたが、今回の選挙では住民投票で維新と協力した公明党の候補者がいるため、地元を離れ、大阪2区からの出馬を選びました。
維新はここでまだ、当選したことがありません。
【守島正候補】
「地盤看板だけで受かり続けることができない世の中になっているということも見せたい。僕は地盤看板捨ててこっちで闘う」
実家が部品加工の町工場で、中小企業診断士の資格を持つ守島さん。
10年あまりの市議生活で大切にしてきたのは、維新が目指す、民間の力を使った改革です。
【守島正候補】
「公の土地で民間の資本やアイデアで運営していこうというのは、橋下元市長の当初から僕が推してた」
大阪城公園といった一部の大規模な公園では、これまで大阪市が管理・運営をし、コストがかかっていましたが、民間企業に任せるエリアを作ることで、市が収益を得られる取り組みを進めてきました。
【守島正候補】
「財源生み出して将来世代に投資する。こういう循環を作り出してきました。大阪での改革をしっかりと国につなげて、この国をやっぱり希望がもてる持続可能で成長する国家にしていくために、みんなで自民党にプレッシャーをかけてこの国を一緒によくしていこうではありませんか」
維新が掲げる改革の実行にとって欠かせない1人として、前職2人に挑みます。
カンテレ「報道ランナー」10月18日放送