薄汚れている上に落書きもされています。
昼間でも暗い雰囲気のため、この道を通らないようにしている人もいるといいます。
この高架下で15年営業している居酒屋の店主も長年悩まされていました。
【居酒屋「大国京橋」店主】
「1つ書かれると誰かが…たぶん人が違うんでしょうね」
さらに店の看板にも落書きの被害が…
【居酒屋「大国京橋」店主】
「なぜこういうことをするのかな。傷つけてどうしたいのかな」
長年ここに根付いてしまった「暗い」「汚い」というイメージを払拭するため、あるプロジェクトが始まりました。
その名も「Re Design KYOBASHI」。
警察や地域の商店会などが立ち上げ、アートの専門学生やプロのデザイナーが、高架下の壁4カ所を塗り替えていきます。
専門学校でファッションデザインを学ぶ1年生の佐藤日和さん(18)。
岡山県から2021年に引っ越してきて、京橋に来るのは初めてです。
【大阪デザイナー専門学校 ファッション学科1年 佐藤日和さん】
「商店街が多くて活気があるところだと思いました。夜はわからないですね、暗いから。壁に絵を描くって生きててなかなかできないじゃないですか、落書きとかは別としてちゃんとした絵を描くのって」
参加した専門学生は約30人。
佐藤さんのチームが描くのは「海と陸の共存」をテーマにしたイラスト。
高さ3メートル、横14メートルの大きな壁を彩っていきます。
この取り組みに地元の人は様々な期待を寄せています。
【京橋地区商店会連絡協議会 玉置紘一会長】
「ごちゃごちゃしたような街のイメージだけど、安心で安全、楽しい町を目指したい」
【学生】
「あそこ埋めたいよね」
「あそこ塗ったらダメって言われたけど…」
「塗っちゃった」
「でかいでかい、難しい」
制作期間は1週間、毎日7時間も作業し続けます。
不思議の国のアリスが迷い込んだのは海と陸の世界。
ジンベエザメなど様々な動物と架空のキャラクターが迎え入れます。
【佐藤日和さん】
「道通ってた兄ちゃんが『こんなかわいい絵描かれても、何日後かには落書きされるんやろな』って言っててすごく悲しかった」
「壁に落書きなんかしないでほしい」
「すごい汚くなりましたよね。これやばいですよ」
ーーQ:かっこよく見えます
「ありがとうございます」
【佐藤日和さん】
「終わりました」
1週間後、薄汚れた暗い壁が見違えるように変わりました。
大きな作品を作った学生たち。
完成しても名残惜しそうです。
【佐藤日和さん】
「すごい、よく書いたねこんなでかいの。1週間で終わると思ってなかった。もっとかかると思ってた。100年もつかな」
作品が完成してから約3週間後、居酒屋の店主は…
ーーQ:ごみの量はどうですか?
【居酒屋「大国京橋」店主】
「なくなりました。飲んだ缶置いていったり、捨てて帰ってしまっていっぱいでしたので。今のところはないですね」
【学生】
「元気な地域になってほしいです。子供とかにも来てほしいな」
ーーQ:出来栄えは何点?
「120点満点、いえーい!」
学生たちの想いがこもった壁画アートの彩りは京橋の街を明るく照らしてくれそうです。
(2021年10月15日放送)