■「伝説のビール」復刻のワケ
【薄田キャスター】
「今ではなかなか手に入らない、復刻商品がこちらに若干あったということで、早速お邪魔しましょう」
約30年ぶりに復刻されて、大ヒットしている商品とは・・・
【薄田キャスター】
「お酒コーナーここですね・・・お!見つけました、ありましたよ、これが今ではなかなか出会えないビール。非常にレアですね」
その名は、アサヒ生ビール「マルエフ」。
1986年に発売されてからアサヒビールの低迷期を支えた伝説のビールだそう。
その後1993年に、アサヒ・スーパードライを広めるために姿を消しましたが、もう一つのビールの柱にするため、9月「マルエフ」の名で復活しました。
【フレッシュマーケット アオイ 内田寿仁社長】
「発売の次の日に休売の報道がありましたので、1週間で殆ど売れてしまいました。もう在庫はこれだけに、もうこれでおしまいでございます」
あまりの売れ行きで生産が追い付かなくなり、販売を一時休止に。
メーカーは11月、販売再開を目指していて、その後は定番商品として売り出す予定です。
なぜ今、復刻商品が注目されているのでしょうか?
取材すると、昭和の時代にブームを起こした、ある「柄」の商品が、今人気だそうで…
【街の声】
「使ってましたよ、はい。懐かしい」
「レトロで可愛い、私はこれが好き」
「いや、見たことないです。可愛いので、テーブルに花が咲いた感じでいいと思います」
■“昭和の象徴”花柄ポットが復活!人気のワケ
それはなんと、花柄のポット。
大阪市北区にある象印マホービンで人気のヒミツを伺いました。
【薄田キャスター】
「こちらがその復刻商品ですか?」
【杉山一美館長】
「はい、昔の花柄をそのまま再現いたしております」
【薄田キャスター】
「なんかノスタルジックでもあるし、ちょっと新鮮な印象も受けますね」
【杉山一美館長】
「高度成長期の時代に殺風景な食卓を少しでも華やかにということで非常にブームになった」
【薄田キャスター】
「今から考えると花柄が主流だったのが想像できないんですがそういう時代もあった?」
【杉山一美館長】
「当時はこういうポットだけではなくて本当にいろんな商品に花柄が展開されておりましたので、いろんな商品を同じ(花)柄で揃えられるとそういった方もいらっしゃったようです」
シンプルさを求める時代の中で徐々に姿を消していった花柄ですが、花柄のデザインをスマホの壁紙として自由にダウンロードできるサイトをつくったところ話題に。
花柄商品を「復刻してほしい」という声が多く上がり、携帯用のステンレスボトルも併せて販売したところ売り切れる商品が出るほどの人気となりました。
【薄田キャスター】
「昔あったデザインをもう一度利用するというのはどういったメリットがあるのですか?」
【杉山一美館長】
「懐かしさも含めて、『どうしてこの商品売ってないの』という声もたくさん頂いていました、若い方だと『すごく可愛いしこんなのあまり売ってないよね』と、好感を持たれる方も多い。レトロで新鮮という両方だと思います」
復刻商品は2つの年齢層を同時に狙えるメリットがあり、さらに、すでにあるデザインを有効活用できるため、開発の手間を省くことができるそうです。
また、調査をすすめると、こんな復刻商品も発見!
【薄田キャスター】
「もしかして話題の復刻商品ってこちらのことですか?」
【梅田ロフト 文具売り場 木下こころさん】
「はいそうです。販売前から問い合わせをいただいていまして、販売開始後もすぐに売り切れてしまう商品が出るほど人気の商品でございます」
■“昭和レトロ柄”が再注目!多様な商品に導入
こちらは包装紙メーカーの「シモジマ」が生み出したデザインで、「ストップペイル」と呼ばれているものです。
1970~80年代にかけて、文具店などで商品を入れる小袋に使われていました。
2000年代になり徐々に姿を消しましたが、去年の夏に復刻されて話題となり、ノートやレターセットなど数々の商品が販売されています。
【薄田キャスター】
「ストップペイル柄を知らない世代のスタッフと、すごく馴染みがある世代のスタッフ。いままで見たことは一度もないですか?」
【梅田ロフト 文具売り場 木下こころさん】
「記憶ではいちどもないですね、色使いやイラストの雰囲気などが個性的でとてもおしゃれな商品だなと思いました」
【梅田ロフト 文具売り場チーフ 与儀恵美 さん】
「私達の世代は懐かしくて買う、で木下さんのような若い世代は可愛いと思って支持して買う、商品としては大成功だなと」
2021年6月から発売しているこのトートバッグを開発したのは、47歳の女性。
ストップペイル柄への思い入れはとても深くて・・・
【宝島社 佐藤 瑞恵さん】
「ほんと見た瞬間に、なんかもう・・・沸き起こる感情がありましたね」
【薄田キャスター】
「佐藤さんなんか溢れてますね、ストップペイル愛が」
【宝島社 佐藤 瑞恵さん】
「一言でいうと“エモい”気持ちにさせる柄ですね。自分が子供の頃のキラキラした時代というか世界というか、それを人に言いたくなる感じのモノじゃないかなと」
そして復刻商品の中でも大ヒットしているというのがこちら。
■おじさん上層部の反対を押し切り大ヒット!
【薄田キャスター】
「これがいま人気のレトログラスですね、動物の柄にこれはチューリップですかね?他にはこれ、すごくかわいいマーガレットですかね満開ですよ。何を入れて飲もうか考えるとワクワクしますね」
創業約200年の石塚硝子が、1960年代から70年代に販売していたグラスを復刻した「アデリアレトロ」。
1年に数万個売れたらヒットと呼ばれる世界で、発売から3年弱で57万個を売る大ヒット商品ですが、開発までには大変な苦労もあったようです。
【アデリアレトロ開発担当 桐本夏希さん】
「開発メンバーが(20代の)女性3人、レトログラスをこれ可愛いよね、そうだよね、となったのですけど、上司の方々に(復刻する案を)見せた時に、40〜50代の方は実際に使っていた世代で、どうしてもダサい花柄に見えてしまって、かわいさというのを理解されたなかったというのが大変なポイントでした。」
なんと、社内で新旧の世代が対立する事態に・・・。
そこで桐本さんらはレトロなグラスのファンと交流し、約1年かけて消費者のニーズを調査。その人気の高さから、復刻すればすぐに売れると、反対する上司を説得しました。
試しに3種類の柄、500個をテスト販売したとろすぐに売り切れた商品もあり、昔と変わらないデザインが“レトロで可愛い”とSNSで話題となって大ヒットに繋がりました。
【アデリアレトロ開発担当 桐本夏希さん】
「どや!っていう感じではありましたね」
【薄田キャスター】
「すごく成功したわけですけど、今後何か展開は考えていますか?」
【アデリアレトロ開発担当 桐本夏希さん】
「考えています。レトロが好きな人っていうのは、愛が深いので一過性のブームで終わるとは考えにくくて、カルチャーとして楽しんでいただける場を設けることが大事かと思っています」
桐本さんたちはインスタグラムでアデリアレトロの魅力を伝える動画を発信。
架空の喫茶店をイメージした、期間限定のイベントを開催して、復刻ブームをカルチャーにまで高めようと、日々活動を続けています。
まだまだ盛り上がりそうな復刻ブーム。
懐かしいだけでない魅力が、そこには詰まっていました。
(2021年10月19日放送)