自転車販売市場は、ここ数年右肩上がりで推移していて、帝国データバンクの調査では、2020年度には2100億円を超え、過去最高を更新する見込みです。
今、絶好調の『自転車市場』。その最前線を取材しました。
■移動手段の見直し増加と自転車の進化
巷で広がる自転車人気。
取材する薄田ジュリアキャスターも自身の自転車に乗って登場です。
【薄田キャスター】
「今はもうクロスバイクですね、ずっと。やめられないです、このスピード感。この子は相棒です。色んな所に連れて行ってくれました」
5年前から自転車を趣味に。
各地を自転車で巡るほど魅了されています。
なぜ、今自転車が人気なのでしょうか。
やってきたのは『サイクルベースあさひ』。
全国に500店舗展開する自転車の大型チェーンです。
【サイクルベースあさひ 吹田グリーンプレイス店 平店長】
「電車やバスといった密になる所を極力避けて、電動自転車で通勤する人が増えたのが一番の理由ですね。今は距離が多少あっても、自転車の性能がいいので極力体に負担をかけず長い距離走れるということがあります」
中でも一番売れているのが電動アシスト自転車だといい、帝国データバンクによると、電動アシスト自転車は5年前と比べ、販売台数が1.5倍になっていて、今大人気なんです。
そんな電動アシスト自転車は進化を続けています。
中には、ペダルをこがなくてもボタン一つでアシストしてくれる業界初の「押し歩きモード」が搭載された自転車『ビビ・L・押し歩き』(パナソニック)や、世界初となるチェーンのない電動アシスト自転車(HONBIKE)も。
また子供用自転車では、成長に応じて、足けりバイクを自転車にもできる『ケッターサイクル』(ピープル)まで登場しています。
商品の企画担当者によると、売り上げは去年と比べ、1.5倍になったそうです。
■要望をすぐに製品化する企業努力
多様な自転車が注目される中、特に自転車業界を大きく引っ張っているのが『サイクルベースあさひ』の存在。
あさひでは、プライベートブランドの自転車を販売していて、お客さんから要望が寄せられた際、すぐに対応・改良することを大切にしています。
【あさひ 商品開発セクション 土屋マネージャー】
「今出ているモデルの改良であれば半年ぐらいでお店に並べています」
例えば、個性的なカゴが特徴の『CARGシリーズ』は、狭い駐輪場でもストレスなく止められるようにカゴが縦長になっていたり、大きさを変えられたりします。
客からの要望に応えたものです。
高齢者向けの商品『ENERSYS Life』は、またぎやすくするためフレームを低くし、モーターもふらつきにくい安定感のある走り出しに設計。
「あればうれしい声」が反映されています。
今ではプライベートブランドだけで45種類あり、全店舗の売り上げの半分を占めているということです。
■自転車好きの間口を広げる多様なサービス
そんな自転車人気に伴い、星野リゾートが去年秋に茨城県にオープンしたホテル『BEB5土浦』
自転車を持ち込める部屋や、愛車を抱いて寝られるオプションも登場しています。
さらに、大阪には自転車専門の「洗車店」まで。
薄田キャスターが知人から譲り受けた15年物の自転車を洗ってもらうと…。
【SENSHA Bicycle 大阪 梅野代表】
ーーQ汚れはひどい方ですか
「そうですね、結構汚れが蓄積している状態ですね…」
場所によってブラシを使い分け、細かい部分の汚れもしっかり取り除いていきます。
クロスバイクはもちろん、電動アシスト自転車や、車いすの洗浄も受け付けています。
自転車を洗っている最中、梅野さんが気になったことが…。
【梅野代表】
「タイヤがヒビというか、すごいパンクしやすい状態になっています。もう限界を突破しているような…」
洗車を通じて故障の早期発見も可能となります。
作業開始から1時間。油まみれのギアも、泥だらけのブレーキパッドもキレイに。15年物のクロスバイクが美しく生まれ変わりました。
■コロナ禍ならではの貴重な観光資源
続いてやってきたのは、兵庫県丹波篠山市。
ここではコロナの影響で団体ツアーが96%も減少。
そこで、自転車の個人観光に目をつけたイベント『丹波篠山サイクリングワールド(秋)』を11月30日まで開催しています。
【イベント企画者 自転車工房ハイランダー 村上代表】
「スマートフォンのアプリを使用してもらって、僕たちが設定した場所を巡っていただくというイベントになっています」
チェック地点に自転車で向かって「写真を投稿」などといったミッションをクリアしていき、たまったポイントを使うことで、豪華賞品の抽選に応募できます。
自転車なら、徒歩では回れなかった範囲まで行けるのも魅力の一つです。
ちなみに薄田キャスターに与えられたミッションは、解禁されたばかりの丹波地方が誇る『黒枝豆』を収穫し、写真を投稿するというもの(11/3まで※要予約)。
【薄田キャスター】
「え!こんな大きいんですか?これちょっと黒っぽくなっているのが黒枝豆ですか?」
【丹波たぶち農場 田渕さん】
「そうです。これから寒さにあたればあたるほど、どんどん黒っぽくなって、中身が甘くなっていきます」
【薄田キャスター】
「(スマホを操作しながら…)この写真を投稿!30ポイント獲得です」
このモバイルスタンプラリー「DIIIG(ディグ)」は、去年からスタートし、現在7つの自治体で活用されています。
密を避けた新たな観光の形。
コロナの影響で自転車の価値は大きく変わりつつあるのかもしれません。
(カンテレ10月5日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)