日本人にとって身近な食材『たまご』。
2020年の1人当たりの年間鶏卵消費量は340個と、日本は世界第2位となっています(IEC統計を基に鶏鳴新聞社が集計)。
そんな、たまご市場が今さらに盛り上がっています。
最新事情を取材しました。
■世代を超えて人気の「たまごサンド」
日本の食卓に欠かせない、たまご。
キユーピーが発表している「たまご白書」によると、たまごが好きと答えた人は、約9割にものぼり、まさに日本の国民食と言っても過言ではありません。
大阪・中崎町に8月オープンしたばかりの、たまごサンドの専門店『パタパ』。
すでに行列の出来る人気店になっていて、中でも1日200食販売する看板メニューというのが、厚焼き、たっぷりたまごなど、3種類の味が食べ比べできる「パタパサンド」。
中でも人気なのが、ふわふわの厚焼き玉子に衣をつけて揚げた「たまごカツ」です。
【薄田ジュリアキャスター】
「(食べて…)優しい甘い味付けで、食感がすごい楽しいですね。オープンしてまだ1カ月足らずですけど、なぜそこまで人気なんでしょう?」
【パタパ 藤原さん】
「たまご自体好きな方が多いというのと、インスタ映えするいう事で並んでいただいたりする事が多いですね。どの世代の方にも食べていただける物になっていると思います」
JR森ノ宮駅近くにあるサンドウィッチ専門店『かえるスタンド』も、たまごサンドが大人気。
こちらでも「たまごカツ」が一番人気です。
たまごサラダを挟んだ定番の味だけでなく、ひと工夫加えた進化系たまごサンドが、最近のトレンド。午前中で、あっという間に完売するそうです。
【かえるスタンド 成見さん】
「味もなんですけど食感もおいしさを感じる一つだと思っていますので、揚げてみたら面白いかなと思って、こういう商品を作らせて頂きました」
■たまごに注目集まる背景に“コロナ禍”
総務省の家計調査によると、たまごの消費支出額は、2年前と比べて100円近く増加しています。
なぜ今、たまごが改めて注目されているのでしょうか。
たまごのスペシャリスト「たまごソムリエ」の児玉さんに聞いてみると…。
【キユーピータマゴ 経営企画室 児玉さん】
「コロナ禍の影響で巣ごもり需要が増えていまして、おうちご飯を楽しむ人が増えております。その影響で、家庭でのたまご消費が非常に伸びています。そのほかにも、コロナ太りで、自宅でトレーニングですとか、運動や散歩をする人が増えています。たんぱく質を気軽に取れる食事として、たまごというのが再ブームとなっているのではないかなと感じます」
おうち時間が増え、タンパク質を気軽に取れる事から、改めて注目されているのです。
また、たまご料理のバリエーションが豊富なのも人気の秘密。
たまご料理と言えば…。
【児玉さん】
「最近のたまごでは、賞味期限だけじゃなくて、産卵日ですとか採卵日が記載されている物があるので、ぜひそう言った所を見ていただくと、生まれてから賞味期限までの間で、おススメのたまご料理というのが実はあります。例えば、たまごかけごはんの場合は、だいたい産卵日から4日目ごろまでが、卵白がプリっとした食感が楽しめます」
5日目以降は、卵白がサラサラしてくるので、たまご焼きや、たまごスープがおススメ。
たまごを使い分けると、一層おいしくいただけるのかもしれません。
そして、児玉さんいわく、たまご人気の秘密は、もう1つあるそうで…。
【児玉さん】
「家庭で気軽に食べられるたまご商品が実際市場で増えていますので、そういった影響でもたまごの消費が伸びているんじゃないかなと思います」
実は最近、家で楽しむたまご調理グッズや、たまご商品が急増しているのです。
■100円ショップにズラリ「たまご調理グッズ」
例えばキユーピーが販売している、その名も、「そのままパクっと食べられるゆでたまご」。
【薄田キャスター】
「液体もほとんど入ってなくて、このままいけちゃうんですね。(食べて…)ほんのり塩味もついてておいしい。お鍋出してきて湯を沸かして殻をむくと言う面倒な作業が全て省かれている。らくちんですね、これは」
開発の裏には、意外な事実が…。
【キユーピー 新規市場開発室 仲條さん】
「最近の家庭の調査の中から、若者がゆでたまごをあまり食べなくなっているという事と、殻をむくのが面倒だとか、そういったような聞き取りのヒアリングのニーズもありましたので、そういったお悩みを解決できるんじゃないかと、開発に着手しました」
1カ月で、なんと16万個も売り上げる大ヒット商品に。
また家電メーカー『アピックス』が今年4月に発売した「エッグマイスター」。
生たまごを機械にセットして水を注ぎ、スイッチを押して15分待てば、ゆでたまごが出来あがります。
あとは殻をむくだけです。
火を使わず、ゆでたまごが簡単に作れると話題となり、発売から1カ月で、3万台以上売れたそうです。
半熟や温泉たまごなど、硬さも自由に選べます。
そしてたまごブームの波は、100円ショップ『ダイソー』にも。
店内には30種類以上のたまご調理グッズがズラリと並んでいます。
どれも売れ行きは好調だそうで…。
【ダイソー 大阪梅田店 小笠原さん】
「たまご調理グッズで月に700~800アイテムぐらいは出ています。時短調理っていう所で非常に今スポットを浴びてるんだなという風に思います」
ゆでたまごの殻をキレイに向けるアイテムや、たまごと一緒に鍋に入れると、ゆで具合を色で教えてくれるものまで多種多様ですが、中でも人気だというのが…。
【小笠原さん】
「『味付けたまごメーカー』という商品です。お好きなお出汁とかを入れていただいて、ゆであがったたまごを入れていただくだけで簡単に煮たまごが出来てしまいます」
例えば、ゆでたまごをセットした容器に、麺つゆを注ぎ、冷蔵庫で冷やすこと1時間。
すると…。
【薄田キャスター】
「均一に色がついてますね。(食べて…)しっかり中まで染み込んでますよ。便利な世の中ですね。こんな簡単なものが出てきたんですね」
今年2月に発売して以来、毎月300個売り上げる人気商品。
売り切れ続出で生産が追い付かない程だそうです。
他にもウスターソースなど、オリジナルの味付けたまごが作れるのも人気の秘密。
【薄田キャスター】
「ウスターソースだから色も濃いですね。(食べて…)家庭でお店の料理みたいなものが簡単に出来ちゃいそうですね。こういうグッズを色々駆使してみると、家の料理のレパートリーも格段に充実するのかなって感じました」
手軽においしくおうち料理を楽しみたい。
その救世主が、たまごなのかもしれません。
(カンテレ9月28日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)