大阪教育大学附属池田小学校で起きた児童殺傷事件から20年となります。
子どもが安全に学校生活を送れるようにするためには、何が必要なのか。
改めて考えると、「地域とのつながり」が一つのキーワードとして浮かび上がります。
大阪府・箕面市の取り組みを取材しました。
箕面市内の学校の通学路で、オレンジの腕章をつけた地域の人たちの姿がありました。
箕面市では地域の人が、登下校時の見守りだけでなく、 「通学路にある危険箇所」の点検までも行う仕組みが40年前から続いています。
地域住民が「箕面市青少年指導員」として、この取り組みを担っているのです。
通学路を歩き、危険な場所をチェックする指導員たち。
踏切が危険だという意見が寄せられ、現場に向かいました。
【指導員】
「歩道が途切れてしまって、狭い踏切内の歩道を歩行者と自動車が交錯して危険なので改善してほしい…ということです」
「歩道が途切れたから渡っているわけやね…なんとかせなあかんのちゃうかなあ」
箕面市では、通学路の安全対策について、児童や保護者などに行ったアンケートをもとに「箕面市青少年指導員」による点検が行われ、 毎年500件以上の改善が行われています。
去年の点検で「危険箇所」と判断された場所には、カーブミラーが設置されました。
過去に改善された場所も、安全が守られているか「地域の目」で確認し、 より良い形を模索します。
【箕面市青少年指導員・岸上孝司さん】
「世間の風潮は安全も学校がする、みたいな感覚が微妙にあります。しかし、地域住民がゆるい関係をいろんなところで認識することがいいのでは。どこかで見たことあるな、きっと近所の子だなというのが、犯罪の防止に繋がる」
今、学校現場に求められる安全は「防犯」、「災害」、さらには「感染対策」まで 多岐に渡っています。
【箕面市立箕面小学校・尾崎勝彦校長】
「授業を教える人も一緒になってこれもあれもできるというのは不可能だと思います。地域の人が参加していただくことで、とても助かっています」
「箕面市青少年指導員」は、形の上では市の嘱託職員。
月々に受け取るのは、実質的には800円の報酬だけですが、それでも、活動中の事故に対する保険への加入など、公的なフォローがあります。
学校や通学路を安全に保つ取り組みを、どのように維持していくのか。
地域社会の課題解決に向けた、1つのヒントを与えてくれます。
(カンテレ「報道ランナー」6月7日放送)