1970年の大阪万博の時に特注で3台作られ、来場者を楽しませた「万博ピアノ」。
そのうち1台が奈良県にあり、来年の大阪・関西万博でも演奏しようという取り組みが行われています。 奈良県宇陀市の県立宇陀高校から聞こえてくるピアノの音色。
このエメラルドグリーンのグランドピアノは通称「万博ピアノ」です。
作られたのは1970年の大阪万博のため。
このピアノはイベント会場でのコンサートで使われたり、キッコーマンが出展した「水中レストラン」に置かれたりしていました。
河合楽器製作所が特別に受注し3台製造。鍵盤には象牙が使われました。
このうち1台は万博が終わった後に売りに出されたとみられ、入手した奈良県内の企業が高校に寄贈。今でも音楽の授業で使われています。
このピアノ、何と…
【河合楽器製作所 一級ピアノ調律技能士 佐藤祥史さん】「サイズとしましては一番大きいサイズ。フルコンサートグランドと同じサイズなので、当時の一番いいモデルだと思います」
グランドピアノの中でも最大級で、大きなコンサートホールでオーケストラとの共演にも使われる「フルコンサートグランド」のサイズなのだそうです。
先週、奈良県から依頼を受け、3日間にわたって河合楽器製作所の調律師・佐藤さんが調律を行いました。 このピアノの保存状態がよいことから、奈良県が2025年の大阪・関西万博で、演奏することを検討しているのです。
【河合楽器製作所 一級ピアノ調律技能士 佐藤祥史さん】「50年たっているとはとても思えないぐらい、いい状態だと思います。弦って大抵切れちゃうんですけど、切れている様子もないんで、これは多分作った当初のままですかね」
大切に使われてきたピアノ。調律を終え、この高校で音楽を教える米田先生に弾いてもらいました。
【奈良県立宇陀高校 米田珠代教諭】「(音色は)やわらかくて、奥行きがあって、包み込まれるような、ふくよかな感じが私はします。素晴らしい音色がまたよみがえって、数多くの人々にうちの学校に置いてあったピアノっていうのを知っていただくとともに、また万博の会場でも貢献できるということ。これは素晴らしいことだと思っています」
ピアノの音色が、1970年と2025年、2つの万博を結びます。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月18日放送)