体長15メートル・体重40トン 大阪湾の"迷いクジラ" クレーンで海から引き上げてガス抜き 体内には希少な「龍涎香」も? 19日にも紀伊水道沖まで運び沈める予定 2023年01月18日
大阪の淀川河口で死んでいるのが確認されたクジラが、体にたまったガスを抜く作業などを行うため、海から引き上げられました。
■クレーンで海から引き上げられたマッコウクジラ 体長15メートル・体重40トン
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「今ゆっくりとゆっくりとクジラが水中から上がってきまして、その姿がほぼ全て見えました」
大阪市此花区の岸壁に吊り上げられたのは、9日、淀川河口に迷い込みその後、死んでしまったマッコウクジラ。
死んでしまった後、淀川の河川敷に流れ着いていましたが、調査のため場所を移動することになり、18日朝からクジラの体にネットを掛け、運び出す作業が行われました。
川岸には最後の別れを言いに、多くの人が訪れました。なかには登校前の小学生もいました。
【小学生】
「ヨドちゃんとお別れしたい」
【小学生の母親】
「朝からちょっと学校行きなさいってケンカもしながらですけど、どうしても本人が来たいってことでお別れに来ました」
【カメラマンリポート】
「岸で多くの人が見守る中、今ゆっくりと船が動き出しました」
慎重に大阪市此花区の岸壁まで運ばれます。
■市場で流通していない希少な「龍涎香」 クジラの体内に?
岸壁に引き上げられ、専門家による学術調査が行われますが、インターネット上ではこんなことが話題になっています。
【インターネット上では…】
「淀ちゃんから龍涎香(りゅうぜんこう)は取れないのか?」
「龍涎香が入ってるかも…調べたい」
龍のヨダレと書く「龍涎香」、マッコウクジラの腹の中にできるという「結石」のことです。
大阪の本町にあるお店に”サンプル”があるということで、見せてもらいました。
【松栄堂 調合師・藤本梯志さん】
「こちらが龍涎香になります」
【記者リポート】
「嗅いでみたいと思います。馬小屋って言いますか…鶏小屋?糞の臭いがします」
何度嗅いでも臭い「龍涎香」ですが、細かく砕いて、専用のアルコールにつけていくと、「なんとも言えない香り」になるそうです。
【松栄堂 調合師・藤本梯志さん】
「深みがあって、ある意味セクシーな香りになります。ヨーロッパなどでは香水の香りとして使われたり、大昔の方は媚薬として使ったりもしてきました」
しかし、この「龍涎香」、ほとんど流通しておらず、現在あるものは、「合成香料」なのだそうです。
「龍涎香」はクジラの中でも脂が多いマッコウクジラからしか取れないのだと専門家は話します。
【アンバーグリスジャパン・吉田恭隆代表】
「日本でも昔、100kgの物が見つかったこともありまして、それだと3億円ぐらい」
希少な「龍涎香」、このクジラの中にも眠っているのでしょうか?
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「淀川の河川敷沿いから運び始めて3時間半ほど経過して、今、大きな船の上に船にクジラが乗せられました」
此花区内の岸壁まで運ばれたクジラは、クレーンで吊り上げられ、作業用の船に乗せられました。
大阪市によると体長は推定15メートル、体重は推定40トンとされ、クジラの体を刃物で切る様子も見られました。
岸壁では体内にたまったガスを抜く作業のあと、胃の中の内容物を調べるなどの専門家による学術調査が続けられていて、19日にも紀伊水道の沖に運ばれる予定です。