みなさんは、モノを買ったり、サービスを受けた後に、「値段の割には微妙だな…」と思ったりしたことはありませんか?
【街の人】
「通販のものとかで、手に取れないやつが来た時に、これこの値段するかなって言うのが何回かはあった」
――:Q最近何買われました?
「服。あ~ちょっと高いなと確かに思いますね」
“利用者に納得してもらってから、お金を払ってもらいたい“と、実は今「モノやサービスを体験した後に、自分で値段を付けられる決済サービス」が広がりつつあるんです!
■客が値段を決める「あと値決め」ビジネス 企業側は“損”をする?しない?
【利用者】
「実際自分が使った上で、値段が決めれて、ちょっとコメントも送れてというのは良いかなと思います」
サービスを提供する側は一見、損をしそうな仕組みですが…
【事業者】
「はっきり言って定価の3,4倍ぐらいの価格をつけてくださってる」
利用者も企業も嬉しい?!今話題の新しい決済サービスに迫ります!
訪れたのは、京都府に住む中山さんのご自宅。
【薄田ジュリアキャスター】
「今回はどういったサービスを利用されるんでしょうか?」
【中山礼奈さん】
「家事代行サービスを受けてみたいなと思っていて…日々子育てに追われて忙しいので・・・」
働きながら、4人の息子を育てている中山さん。
【中山礼奈さん】
「朝ごはんも食べっぱなしで行ってるから…壁を拭いて欲しい…」
【ベアーズ岩嵜紀子さん】
「リビングと、キッチンとトイレ、玄関、順番でさせて頂いて…」
家事代行サービスを行う「ベアーズ」に、日頃なかなか手が回らない床や壁、水回りなどを3時間かけて掃除してもらいました。
【ベアーズ岩嵜紀子さん】
「できるだけしっかりさせて頂いたのですが…」
【中山礼奈さん】
「キレイになってます、本当にありがとうございます」
そして、お支払い…なのですが、取り出したのはスマートフォン。
【薄田ジュリアキャスター】
「これなんですか」
【中山礼奈さん】
「礼儀正しさ…すごく丁寧な方だったと思います」
【薄田ジュリアキャスター】
「評価高めですね」
悩みながら金額を入力していきます。
実は、ベアーズでは、初めて利用する人に限り、「あと値決め」というシステムを導入しているんです。
■“あと値決め”で次につながる?!固定客を取り込め!
“あと値決め“は、利用者がサービスを受けたあとに、内容を評価して最低価格に上乗せするかたちで、自ら値段を決めることができます。
ベアーズでは通常10817円のサービスを最低価格6417円に設定。
中山さんがこの日付けた価格はなんと12217円と最低価格の倍近くの値段でした。
【薄田ジュリアキャスター】
「定価より少し高いですが、なぜですか?」
【中山礼奈さん】
「期待値以上のものを今回サービスで得られたので。自分が納得して支払うから、次も使おうと思う」
ベアーズでは“あと値決め”を導入し、新規の利用者が約1.2倍に増加。
利用者が価格を決めることを前向きに捉えているといいます。
【薄田ジュリアキャスター】
「値段を(利用者に)決められるのはどう?」
【ベアーズ岩嵜紀子さん】
「自分の評価を決めていただけるというのは、頑張りどころかなと思うので、すごく楽しみになりますね」
“あと値決め“の決済サービスを1年前に開発した「ネットプロテクションズ」によると、新型コロナの影響で、問い合わせが以前の8倍に増えたといいます。
【薄田ジュリアキャスター】
「1年ちょっとされていて、どれくらいの企業が(あと値決めに)参加している?」
【ネットプロテクションズ 専光建志さん】
「約1000事業者の方が今ご利用いただいている。我々の想像よりも早い速度で伸びています。(中でも)イベント・ライブといった今までオフラインだったものがオンラインに完全移行せざるを得ない事業者さまの割合が高いです」
大阪市城東区で活動している若手音楽家のグループ。
定期的にクラシックの演奏会を開いていましたが、新型コロナの影響で活動停止に追い込まれました。
9月から再開した演奏会では、最低価格0円であと値決めを導入すると、平均6000円から7000円の値が付きました。
【ライゼ・カンマー・オーケストラ 長尾賢代表】
「気に入った分だけ納得した分を支払ってもらえるので、次につながる。固定客が本当に増えやすい。一番効果を感じてるのは、もちろん値段は言うまでもないところで、はっきり言って、定価の3,4倍ぐらいの価格をつけてくださってる」
■コロナ禍にもってこい?!”あと値決め”で売り上げアップ
東大阪市にある鞄メーカー「エルグラン」
こちらでは、これまで鞄を百貨店などに卸していましたが、新型コロナがきっかけで、「あと値決め」を導入しました。
【エルグラン林明大常務取締役】
「緊急事態宣言があってから、販売が全然できないという状況になり、なんとか自分たちでも販売できる方法はないかと考えたところ、あと値決めに出会ってスタートするようになりました」
定価4900円のエコバッグを最低価格4000円から販売。
2週間実際に使ってもらってから値段をつけてもらうようにすると、最高6500円の値が付くなど、売り上げが約3倍に伸びたといいます。
エコバッグを2週間前に購入した女性。
買い物などで実際に使ってみて、この日、値段を決めることにしました。
【購入した女性】
「最初鞄届いたときに本当に使っていいのかなと思った。モノを実際見てみて、使ってみて、今までだと色がちょっと、あれ写真と違うなとか…実際こうやって見ると納得いくので、良いかなと思います」
「機能性」や「デザイン性」、「品質」などを評価し、定価以上の5300円で購入することに決めました。
【エルグラン林明大常務取締役】
「まず、お客様に手に取っていただくハードルを下げることができるというのがすごくメリットだと感じています」
さらにこんなところにも「あと値決め」が…
【薄田ジュリアキャスター】
「自分のスキルを活かした副業として現在、こちらでは看護師資格を持った方が、カウンセリングを行っています」
看護師として緩和医療に携わってきた米田恵美さん。
【相談者】
「気持ちの上でやっぱり暗くなっちゃいます」
【米田恵美さん】
「自分って大丈夫?みたいなそういう気持ちに襲われてるって感じですか?」
自由な時間に働きたいという思いから、医療や介護、福祉のスキルを持った人たちが副業として自らを派遣するサービスに登録。
最低価格0円から様々な人の相談に乗っています。
【薄田ジュリアキャスター】
「あと値決めを提供する側としてどうですか?」
【米田恵美さん】
「そこでつけられた値段っていうのは、ある程度一つの指標にはなると思うんです」
この日は、手術後の後遺症や発作などに悩む男性の相談を1時間受け、1500円が支払われることになりました。
【相談者】
「経験積んではるみたいなので、いい形でのお話は聞けたと思っています」
【米田恵美さん】
「働き方をすごく変えたいと思っていて、今の働き方を選んですごく満足しています」