新型コロナウイルスをきっかけに、変わりつつある私たちの生活。
そんな中で改めて注目されているのが…
【イベント来場者】
「大阪や兵庫に住まなくても地域に移住っていう…」
「移住をもうちょっと真剣に考えていこうと」
実はいま、地方の魅力が再認識されているんです。
9月1日には、総合人材サービス「パソナグループ」が、東京の本社機能の一部を、兵庫県の淡路島に移すと発表。それに伴い、社員約1200人が移住することに。
【パソナグループ・南部靖之社長】
「コロナっていうのは、働き方を変えた。東京にいると味わえないかもしれないけど、淡路島ならできます」
さらに、これまで目を向けられていなかった意外な“モノ”も売れています。
【薄田ジュリアアナウンサー】
「どれくらいの広さでいくらで買った?」
【三久保志緒里さん(37)】
「3000坪で400万円」
脱“密”で快適ライフ?地方に集まる熱視線に迫ります。
訪れたのは、兵庫県の淡路島。
【薄田ジュリアアナウンサー】
「とってもおしゃれな別荘ですよ。内装も本当にステキですし、ちょっと外見てください。オーシャンビューですよ」
実はここ、宿泊施設として人気の「貸し別荘」。
感染リスクを抑えながら、家族や友人とゆっくり過ごせるとして需要が高まっています。
――Q:貸別荘には前から興味が?
【兵庫・丹波市からの宿泊・櫻井和美さん】
「このコロナの状況で大きいホテルで沢山の人とすれ違うよりかは、こういった自然に触れ合えたり海が見えたりとか、家族で好きにできるので」
また別の貸別荘では、プール付きの庭でバーベキューも楽しめます。
最大5人まで宿泊することができ、その場合、料金は約4万8000円から7万円と、一人1万円ほどで非日常を味わうことができます。
淡路島で5軒の貸別荘を運営する「シェアバケ」では、去年よりも利用者が増え、今月は予約でほぼ満室だといいます。
【シェアバケ・藤井渉さん】
「(今年は)82%ぐらいの稼働率にはなっていますね。去年は1年で65%稼働率だったので」
――Q:しぶしぶ断ってる状況?
「そうですね。店舗数も限られてるのでお断りするケースも」
さらに今、レジャーだけではなく地方への移住を希望する人も続々と増えているんです。
大阪市内のホテルで行われた『田舎暮らし』の相談会。
【岐阜県の担当者】
「就職活動は?」
【大阪に実家がある大学生】
「就職は(東京の飲食店に)決まってたんですけど、コロナの影響でちょっと厳しい。岐阜県で就職できるのであれば、アリかなって」
【三重県の担当者】
「なぜ地方へ行こうと?」
【妻と二人暮らし 兵庫・尼崎市在住の人】
「決め手というか、やはり今回のコロナですとか。(テレワークで)遠隔でも仕事ができる環境を体験してしまったのもひとつあったりとか、それであれば、大阪や兵庫に住まなくても、地域に移住っていうところに憧れが再びできた」
イベントを主催する大阪ふるさと暮らし情報センターによると、緊急事態宣言が解除された翌月からの3か月間で、相談件数が去年の同じ時期と比べ、4割増えたといいます。
8月末、東京から、淡路島に移住した岡田さん一家。
【千葉県出身・岡田智一さん】
「元々は(職場まで)電車で1時間半くらいのところに住んでたので、通勤も満員電車の中でそれがストレスで、1LDKで子供がいる中で住んでいたんですけど、こっちに来て、3LDK。10万円くらい落ちているので本当に快適ですね」
【青森県出身・妻・智実さん】
「食品もこっちのほうが安い。例えば鯛のお頭とか6個入っても200円。東京だったら2つで300円とか」
【千葉県出身・岡田智一さん】
「地元で採れたものが安く手に入るのでいいですね」
岡田さん夫妻は総合人材サービス「パソナグループ」の社員。
東京の本社機能の一部が今月から淡路島に移転されることになり、その先発隊として、一家3人で移住しました。
【岡田智一さん】
「今、自分が働きたい場所が自分で選べる環境にあるので、楽しく色んな景色を見ながら仕事をしています」
パソナグループでは、地方創生を掲げ、淡路島で商業複合施設やテーマパークなどの事業を続々と展開しています。
2024年5月までに社員1200人を段階的に異動させる計画で、淡路本社や社員寮も新たに建設します。
淡路島への大移動。その狙いは何なのでしょうか?
【パソナグループ・南部靖之社長】
「大阪から近い、1時間。神戸からも30分。四国からも近いと。人材を大マーケットから得ることができるんですよ。いろんな人材もここで採用してみたい。コロナっていうのは、働き方を変えた。僕は東京から淡路島に行こうという決断をしたわけです。『ワークライフバランス』。東京にいると味わえないかもしれないけれども淡路島ならできます」
【パソナ・山下裕宜さん】
「(異動を聞いて)ビックリしました。淡路島に移っても東京の仕事は変わらずに淡路島でやるって話をまず聞いてたので、来ることはすごい楽しみにワクワクしていましたね」
【パソナ・青木瞭子さん】
「海とか山がめっちゃ好きなので、環境に関しては大満足」
改めて注目されている地方の魅力。
さらに意外なものも売れているといいます。
大阪・箕面市に住む三久保志緒里さん(37)。
2人のこどもを幼稚園などに預けたあと、毎週1~2回、片道2時間かけて淡路島に通い、夫と交代しながら山を切り拓いています。
購入当初、上流からむき出しになっていた排水管も、夫の洋さんがスコップできれいに埋めました。
【三久保志緒里さん(37)】
「この辺りからずっとこういう笹が生い茂ってたんです。ここをずっと刈っていって」
ーーQ:ご夫婦で?
「そうです。この辺りも木がたくさん生えてたので、刈って倒して集めたりとか」
――Q:この山はどれくらいの広さでいくらで買った?
「3000坪で400万円で購入しました」
【薄田ジュリアアナウンサー】
「3000坪・400万!ふつうの土地だと買えない価格」
実は今、山を購入する人が急増しているんです。
例えば長野市の山は6000坪で35万円。
兵庫県姫路市の山は1万坪で120万円と、格安で販売されていて、固定資産税も年間数千円ほど。
これらの山を扱う「山林バンク」の辰己社長によると、都会から離れたい人や、自分だけのキャンプをしたい人たちが増えたこともあり、売れているということです。
【山林バンク・辰巳昌樹社長】
「極端に問い合わせ件数が増えましたから。(去年の)約10倍近くといってもいいかもしれない」
――Q:こういった経験はこれまでにありましたか?
【山林バンク・辰巳昌樹社長】
「初めての経験です。ことしのコロナになってからですね。そこでキャンプをしたいって方が圧倒的に多いですね。問い合わせが女性からすごく増えているんです。購入したいという方が。それは今まで全くなかったことですし、そういう方でも『チェーンソー使えますか?』と本格的なことにチャレンジされる方がいるのでビックリしてる」
三久保さん夫妻も3000坪の敷地に、10区画あるキャンプ場を作ることが目標で、2年後には一部を開業したいと意気込んでいます。
【三久保志緒里さん(37)】
「主人がキャンプ(場)をしたいということもあったりとか、私が庭のようなくつろぎ空間を作りたいなということもあって。夫婦で満足の行く空間が作れればなって。そこにお客さんが来てくれたりすれば嬉しいかな」
こんな時だからこそ…。
それぞれが追求する快適ライフが地方には秘められています。