兵庫県宝塚市でコロナ患者の対応にあたる中核病院では、7月以降、深刻な変化を感じています。 医療がまさに今、直面している現実を取材しました。
『第二波が襲来している…』地域医療の現場を取材
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
関西では、7月29日、過去最多となる326人の感染を確認。
【兵庫県・井戸敏三知事(7月29日会見)】
「本日46名の新規発症者が兵庫県で数えられまして、とうとう感染拡大期に入ることになりました」
今年3月から始まった第一波。
兵庫県では5月中旬から6月中旬にかけて、新たな感染者はいなくなりました。
しかし、7月に入り右肩上がりとなり、31日には過去最多の62人を記録。第二波が、襲来しています。
医療現場の今を取材しました。
【宝塚市立病院・小林敦子感染対策室長】(陽性患者との電話での会話)
「新型コロナの検査陽性ですので、今症状ありますか?非常に軽症なので、いったん病院で医師のもと、観察をして、その後に恐らくホテルになると思います。自宅(療養)は今ないんです」
【宝塚市立病院・小林敦子感染対策室長】
「急に増えている。めっちゃやばい。この3日間くらい。兵庫県も、あっという間に増えている。第二波ですね」
宝塚市立病院は、第一波で重症者4人を含む7人の患者を受け入れました。
状況が変わったのは、7月に入ってから。
受け入れた患者は、ひと月で14人に上りました。
【看護師】
「(陽性)確定が二人来る。30代と70代で、70代は陰圧室に入れようと思っている」
この日、新たに2人の患者が入院することになりました。
【看護師】
「症状が今のところ人数増えても軽症の人が多かったが、きょうは70代とか80代とか年齢層が高くなってきている感じので、そういう方は重症化しやすいので、気は引き締めて、みていきたい」
8床ある病床は、空いても、すぐに埋まり、最近は、満床の状態が続いています。
【看護師】
「すごい(患者が)増えたなと思います。第一波から一回が~んと減った。病棟的にも(使われる)病床が減ったが、またすぐに埋まるぐらいに増えましたし、退院したらすぐに入院してくる感じで、間がなくずっと患者さんがいるなという感じです。いつまで続くのかが分からないので不安ですね」
感染が確認された70代の女性です。
徐々に高齢者の入院も増えてきました。
【看護師】
「お食事来たのマスクしていただいて、お盆を持って前に来ていただいてもいいですか」
――Q:症状は、ない感じですか?
【感染した女性】
「ないです。症状はね」
無症状や軽症で入院した人が、急激に重症化するのも、コロナ感染症の特徴の一つです。
【小林医師】
「全体的に患者が増えてくると若い人にまずバーッと(感染が)広がって、インフルエンザと一緒で、次の2週間くらいに高齢者がかかる。孫や家族からかかって、たまたま誰かがぽんと悪く(重症化)なる。(重症者が)ぽっぽっと出てくる。出てきたら長いよ1カ月くらい。治らへんからね」
コロナとの闘いで…「赤字経営」が続く
長期化する新型コロナウイルスとの闘いは、地域医療に大きなダメージを与えています。
【宝塚市立病院・今中秀光病院長】
「4、5、6の三カ月で、赤字額は3億4500万。ひと月1億(の赤字)」
病院の経営を、圧迫しているのです。
院内感染を防ぐため宝塚市立病院は今年5月、救急医療センターを閉鎖。コロナ専門病棟にしました。
救急態勢の縮小などによって、入院の受け入れが月に1000件ほど減少。
手術や外来診療を控える動きもあり、赤字経営が続いています。
――Q:経営は厳しいですか?
【今中病院長】
「痛い・・・。経営は正直コロナと一緒の状態で、黒字化を目指すのは出来る病院があれば見てみたい。もともとギリギリの状態でやっている病院がほとんどだと思う。我々と同じだとすると、公的な支援がないと潰れていくというか疲弊してしまう。これを言い訳にして逃げるのはあれだが、ちゃんと経営のこととも考える。最善を皆さんと一緒にやって、それでも赤字になるのなら、そこは助けてほしい」
向き合えば向き合うほど、疲弊していく地域の医療。
第二波のピークは、まだ見えていません。